夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

☆リサーナ☆

文字の大きさ
188 / 213
第18章(2)マオside

2-3

しおりを挟む

「いいですね!
鳥かぁ~。……うん!すごく良いと思います!」

隣から聞こえる弾んだ声が、心地良い。
僕を決して裏切らない彼女。

ーーいや。
アカリさんは良い意味で、僕を裏切るんだ。


「貴方と一緒なら、きっと何に生まれ変わっても楽しいと思います」

「!……え?」

その言葉に思わず目を向けた僕を、彼女の瞳が真っ直ぐ貫く。
哀れみの言葉でも、慰めの言葉でもない。そんな感情を微塵も感じさせない、曇りのない瞳で見つめたままアカリさんは言葉を続ける。


「そしたら、いつでも何処に居てもすぐにお互いの所へ行ける。
一緒に、色んな所へも行けますね!」

彼女があんまり普通に"一緒に"って言うから、聞き間違いなんじゃないかって思った。
だから、僕はゴクッと唾を飲み込んだ後、勇気を出して聞き返す。


「僕と、一緒に……」

「え?」

「僕と一緒に……生まれ変わって、くれるんですか?」

そう口にしたら、まるで此処ここが僕とアカリさん、たった二人だけの空間のような感覚に陥っていた。


波の音も、風の音も、鳥の鳴き声も聞こえなくて……。ただ、彼女だけを見つめていた。

アカリさんは僕の質問に一瞬驚いて、その後頬をほのかなピンク色に染めて、笑顔で一言答える。

「はいっ」

って……。

たった、一言だった。
でもその返事は、僕にとってこれ以上にないもので……。いっぱいに満たされた想いが溢れた。

ありがとうーー。
そう言う前に身体が動いていて、僕はアカリさんを引き寄せると、思いっきり抱き締めていた。


……しかし、そのまま動けない。

嬉しい?
泣きたい?
幸せ?
痛い?

色んな感情が一気に襲って来て、上手く呼吸が出来なくなりそうだ。

どうすればいい?
僕は、どうしたいーー?

今まで空っぽだった心が満たされた途端、突如訪れた幸福に自分は追い付けなくて取り残されていた。


「……マオさん」

そんな僕に、アカリさんが呼び掛ける。
そして……。

「好きです」

今まで聴いた中で1番美しい声色でそう告げると、アカリさんは僕にそっと口付けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

籠の鳥〜見えない鎖に囚われて✿❦二人の愛から…逃れられない。

クラゲ散歩
恋愛
私。ユリアナ=オリーブ(17)は、自然豊かなオータム国にあるグローパー学院に在籍している。 3年生になって一ヶ月が経ったある日。学院長に呼ばれた。技術と魔術の発展しているフォール国にある。姉妹校のカイト学院に。同じクラスで3年生の男子3名と女子3名(私を含め)。計6名で、半年の交換留学をする事になった。 ユリアナは、気楽な気持ちで留学をしたのだが…まさか学院で…あの二人に会うなんて。これは…仕組まれていたの?幼い頃の記憶。 「早く。早く。逃げなきゃ。誰か〜私を…ここから…。」

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

沈黙の指輪 ―公爵令嬢の恋慕―

柴田はつみ
恋愛
公爵家の令嬢シャルロッテは、政略結婚で財閥御曹司カリウスと結ばれた。 最初は形式だけの結婚だったが、優しく包み込むような夫の愛情に、彼女の心は次第に解けていく。 しかし、蜜月のあと訪れたのは小さな誤解の連鎖だった。 カリウスの秘書との噂、消えた指輪、隠された手紙――そして「君を幸せにできない」という冷たい言葉。 離婚届の上に、涙が落ちる。 それでもシャルロッテは信じたい。 あの日、薔薇の庭で誓った“永遠”を。 すれ違いと沈黙の夜を越えて、二人の愛はもう一度咲くのだろうか。

二度目の初恋は、穏やかな伯爵と

柴田はつみ
恋愛
交通事故に遭い、気がつけば18歳のアランと出会う前の自分に戻っていた伯爵令嬢リーシャン。 冷酷で傲慢な伯爵アランとの不和な結婚生活を経験した彼女は、今度こそ彼とは関わらないと固く誓う。しかし運命のいたずらか、リーシャンは再びアランと出会ってしまう。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

処理中です...