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第1章(2)アカリside
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しおりを挟む「ヒナタ!ちゃんと挨拶しなさ……」
私は、必死にヒナタに言い聞かせようとした。
でも、そんな私をユウさんは止めると……。
「いいよ、いいよ。
ヒナちゃんだって女の子だもんな~?
レディには悩みがたくさんあるよな~?」
そう言って。笑顔でヒナタを抱き上げて、高い高いをしたままクルクルと回し出す。
「わっ!……わわっ!
ユ、ユウさんっ……!はやいよ~!」
「ははっ!そんな悩み、ユウ兄さんが吹き飛ばしてあげよう~!!」
すると……。
自分を抱いてクルクルと回り続けるユウさんに、最初は驚いた表現していたヒナタが微笑った。
すごく楽しそうに、笑ってた。
私の大好きな、久々に見る愛娘の笑顔。
嬉しさと同時に、私には決して埋めてあげる事が出来ない”父親”という存在の力を……。
思い知らされた。
どんなに頑張っても、出来ない事もある。
そう改めて思い知らされた1日だった。
ユウさんに抱き上げられる娘に、「ぼくも!」と無邪気にせがむ息子。
二人とも、ここ最近の自分といるよりもとても楽しそうに見えた。
……。
着ぐるみショーの会場でも、ユウさんは娘と息子を抱っこと肩車で観せてくれた。
人の多い、人気の着ぐるみショー。
連れてきたのが私だけだったら、子供達は人混みに遮られてまともに観る事は出来なかったかも知れない。
賑やかなショー会場。
楽しい雰囲気の中だけど……。
もう、私の耳には歓声や拍手が遠く聴こえる。
たまにユウさんや子供達に話し掛けられて、笑顔を返すのが精一杯だった。
……。
私だけじゃ、もう……ダメなのかも知れない。
思わず脳裏に浮かんだ、そんな想い。
悲しいような、苦しいような、気持ち。
……寂しい。
寂しいよ、ヴァロン……ッ。
誰にも言えない想いが、今にも溢れそうだった。
……
…………。
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