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第1章(2)アカリside

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【夕方/自宅】

着ぐるみショーですっかりはしゃぎ過ぎた子供達は帰り際にうつらうつらしてしまい、ユウさんに抱かれて帰宅した。


「ははっ、可愛い寝顔。
二人共アカリにそっくりだな~」

ユウさんは二人をベッドに運んでくれると、そっくりな表情で隣同士で寝ている姿を見て微笑む。

優しい表情と眼差し。
心から、私の子供達を愛してくれているんだと分かる。


こんなに私達を大切にしてくれる人。
もう、この先現れないかも知れない。

弱った私の心に、痛いくらいに滲みて……。
私は今にも泣き出しそうな表情で、ユウさんの背中を見つめていた。


すると。
振り返ったユウさんが、そんな私に気付いて驚いた表情を浮かべる。


「っ……アカリ?」

私の頬に手を伸ばしかけて……。
でも、その手を引っ込めて、ユウさんが苦笑いした。


「……そんな表情されたら、……。
慰めていいのかな、って……。僕でいいのかな、って……勘違いするぞ?」

冗談っぽく笑いながら頭をかくその姿に、嫌な気持ちは湧かない。

ユウさんを愛しているか?と問われたら、正直分からない。

……けど。
弱い私は、ズルくて、逃げようとしていた。


「……帰るわ。
また、明日職場でな」

そう言って、横を通り過ぎて玄関に足を進めるユウさんを……。
私は追い掛けて、止めた。


「!っ……アカリ?」

背中のシャツを両手で握り締める私に、ユウさんはゆっくり振り返ってくれる。


……大丈夫。
きっと、好きになれる。

ユウさんの瞳を見つめ返しながら、私はそう心の中で呟いた。


そして……。


「……行きます」

「え?……」

「ユウさんと……。一緒に、行きます。
っ……よろしくお願い、します」

ヴァロンとの想い出がたくさん詰まった、静かな家の廊下。
私は、ユウさんにプロポーズの返事をした。

……
…………。
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