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第3章(3)アカリside
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しおりを挟むまるで私の心が解けるのを今までずっと待っていたかのように、傍にきてくれた。
「……リディア、おいで」
ゆっくりと手を伸ばすとその手に顔をすり寄せながら、猫リディアは喉をゴロゴロ鳴らして甘えてくる。
懐かしい、温もり。
フワフワの毛並みに、まるで幸せなあの日々が還ってきた気がした。
ヴァロンと私と猫リディアで過ごした日々。
暖かい、家庭。
「あ、にゃんにゃー」
「ねこちゃん、でてきたのー?」
「驚かしちゃダメよ?
優しくなでなでしてあげてね?」
今までずっと遠くの隙間から出てこようとしなかった猫リディアが出てきた事に、ヒナタとヒカルは嬉しそうに周りを取り囲む。
ビックリしてまた隠れてしまわないか心配だったけど、もう大丈夫だった。
すっかり和やかになった私達に、猫リディアも安心したように穏やかで、自らヒナタやヒカルにすり寄っていく。
……
………。
新しい気持ちで、私は子供達と一緒に歩んで行こうと思った。
たくさんの想い出や気持ちを力に変えて、毎日一歩ずつでも進んで行こうと決意した。
”みんなで一緒にヴァロンを待とう!”
その希望を胸に踏み出したスタート。
私はこの時、まだ知らなかった。
私達の願いが叶うまでに、また新たな試練が待ちうけている事を……。
そして、”再会の時”はもうすぐそこまで近付いている事を……。
……。
『大手企業令嬢ミネア様!御婚約!!
お相手は……』
新聞や雑誌の見出しに飾られた、その記事の真実を知るのはその時。
私が、彼と再会する……その時。
……
…………。
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