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第7章(2)ディアスside
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しおりを挟む「……僕の考え、おかしいかな?」
「いいえ、しっかりとなさったお考えです。
猫を預かって下さっている方にも、きっとマオ様のお気持ちが伝わるでしょう」
私が微笑むとマオ様の顔からも不安が消え、再びおもちゃを懸命にお選びになっていた。
記憶を失って以来、御自身の考えにすっかり自信を失くしていたマオ様が自ら起こしている行動。
これを良い傾向だと思った私は、この後積極的に相談に乗り、買い物を一緒に楽しんだ。
子猫を預かってくれている人物が、まさかあの方だとは知らずにーー。
……
…………。
「マオ様、そろそろ12時です。
気が進まないやも知れませんが、昼食を何か召し上がりませんか?」
買い物を一通り済ませ、現在の時刻を確認した私はマオ様の様子を伺った。
ヴァロン様だった時とはガラッと変わり、まるで幼少期のように食が細くなってしまったマオ様。
精神的なストレスから起きる味覚障害で、まるで味のないガムを噛み続けるような飲食は苦痛以外の何者でもないだろう。
けれど、生きていく為に食は必須。
入院中は点滴などで補っていたが、退院されてからはなるべくマオ様が食べやすい物を一緒に選び、少しでも多く食べて頂けるよう促し続けていた。
きっと今日も「あまり食べたくない」や「何でもいい」と申されるだろう、と思っていた私。
しかし……。
「……。ね、ディアス。
僕、食べたい物が……あるんだ」
「!……えっ?」
今日はなんと驚かされる日だろうかーー。
予想外の返答に、私は喜びよりも”本当に私がいない間に何があったのだろう?”と思わずにはいられなかった。
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