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第1章(2)アカリside
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しおりを挟むすると、ヴァロンはフッと微笑んで、私の頬にそっと手を触れて見つめた。
「アカリは気付いてないよ。
自分がどんだけ魅力的で可愛いか、分かってない」
「っ……」
真剣な瞳で”可愛い”と言われて、ついつい恥ずかしくて黙り込んでしまうと、彼が言葉を続ける。
「俺だって、不安だよ」
「!……え?」
「だってさ、アカリはまだ二十歳でしょ?
これから色んな事を経験して、どんどん魅力的で綺麗になっていくんだから……」
そう言ったヴァロンの瞳が、まるで遠い未来を見ている様に儚げで、切なくて、綺麗だった。
「それに引き換え、俺はもう衰えてく一方じゃん?あと5年したら、40歳。
40歳って、初老って言うんだぜ?最初の老いって書くんだ」
「ひでぇよな~」ってヴァロンは笑った。
でも、すぐに私を見つめて、今度は寂しそうに微笑んだ。
「そん時、アカリはまだ25歳。
大人の女性になって、俺よりも若くて格好良い男に惹かれて……。いつか奪われる日が来んのかな、って……。……」
そこまで言ってヴァロンは、私の頬から手を離して……。俯いた。
……。
私達の間に流れる、沈黙。
自分が不安になって、変な事を口にした為におかしくなってしまった雰囲気に後悔した。
「っ……ヴァロン、ごめっ……」
「渡せる訳ねぇだろっ……!!」
謝ろうとした私の言葉と同時に、心の奥底から絞り出された様なヴァロンの叫び。
後頭部と腰に回された力強い手に抱き寄せられて、私の唇はヴァロンの唇に一瞬で塞がれていた。
っ……ヴァ、……ヴァロン?
普段のヴァロンはどんなに人気のない場所でも注意して、いきなりこんな感情的にキスしたりしない。
……けど、今日は違う。
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