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第2章(3)ギャランside

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今の状況で、ヴァロンの身元や過去の事をむやみに人に多言する訳にもいかないし。
相手は、ヴァロン。
自分の周りの調査員が強化されれば、間違いなく何かに気付きワシ等に問い詰めてくるだろう。


「ワシ等がもう少しヴァロンの過去について分かるまで、このままであってほしいの……。
これ以上、何も起こらん事を祈ろう」

「……はい。
ヴァロン、今日はアカリさんと初めての夫婦旅行だってすごく楽しみにしてました。
たくさん笑って、幸せな時間を過ごしてると……いいな」

そう言って、微笑むシュウの横顔が母親にそっくりだった。


特に多くの幸せを望んでいる訳ではないのに……。
何故、そんな人の周りに程。
色んな事が起こるのだろう?

普通でありたいという願いは、ある意味1番難しくて、1番大層な願いなのだろうか?

……
…………。
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