夢の言葉と失われた追想【続編④】

☆リサーナ☆

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第8章(2)ヴァロンside

2-6

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「……っ……付いてくるな。
いいな?絶対来るんじゃ、ねぇぞ……っ」

必死に冷静を装おうとしたが、声が震える。
早くこの場を去ろうと背を向けると……。


「あ~!……ぱ~。っ……ぱぁ~!」

ヒナタが、俺の背中に向かって……叫んだ。

”あ~”なのか、”ぱ~”なのか、”ぱぱ”って、言ってんのかは分からないけど……。
間違いなく、俺を呼んでくれてるのは、分かったよ。

アカリが一生懸命、俺の為に”ぱぱ”ってヒナタに教えてくれていたのを思い出す。
任務で何日も家を空ける俺をヒナタが忘れない様に、ベビーベッドに俺の写真貼って、きっと毎日毎日”ぱぱ”って教えてたんだ。


振り返らなくても、分かる。
ヒナタは今、俺の背中に向かって必死に小さな手を伸ばして、抱っこを待ってる。

いつもみたいに、わざと倒れ込むように向かってきて、俺が慌てて受け止めるのを……。期待して待ってるんだろうな。


「っ……」

胸が、締め付けられる。


っ……ごめん。
ごめんな、ヒナ……ッ。

でも、今はまだヒナタをこの手に抱けない。
だって俺は、父親失格なのだから……。

アカリがさらわれて、それだけで頭がいっぱいになって……。自分を気遣ってくれる人達を傷付けたあげく、愛おしい筈の娘の安否さえ……。
今顔を見るまで、忘れていたんだ……。

今の俺には、ヒナタに”ぱぱ”と呼んでもらう資格なんて……ない。


天を仰いで、目を閉じて、込み上げそうだった熱い想いを瞼の奥に封じる。


「……ごめん」

誰にも聞こえない声で小さく呟いて、俺はその駆け出した。

”待って”、”行かないで”……。
背後に響く、まるでそう叫んでいるように聴こえた愛娘の泣き声。
初めて聴く、その火が付いたような泣き声は……。

暫くしても、俺の鼓膜に張り付いていた。

……
…………。
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