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第9章(1)アカリside
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【アランの別荘】
「……っ」
ここは、何処なんだろう?
気付いたらこの部屋に居て、大きなベッドに寝かされていた。
拘束されていた手足の縄も、目隠しも、さるぐつわも外されていて……。薄暗い部屋に一人きり。
着衣の乱れも、身体に違和感もなくて一安心した。
ベッドから降りると、部屋の中を探索するようにゆっくり歩く。
窓はあるけど鉄格子が張られているし、地面までは結構な距離がある。
扉には当然鍵がかかっていて、逃げられない。
時計もないし。連れ去られて、どれ位の時間が経ったのかさえ分からない。
「……ヒナ。……ユイちゃん。……リディア」
あの場に残してきてしまった、みんなが気になって仕方ない。
窓の外が暗いから、分かるのは夜だという事だけ。
ヴァロンは、もう帰ってきたんだろうか?
会えると期待に胸を弾ませていた朝を思い出しながら、私は左手の薬指に光る指輪に頬擦りした。
私を連れ去った、元婚約者のアラン様。
あの人が言った言葉の数々が気になる。
”ヴァロンを誘き出すには、お前がいれは充分だからな。”
”ヴァロンにとったら、今更人1人殺してもどうって事ないさ。
アイツはすでに、人殺し。だからな。”
”殺してるんだよ、子供の頃に。”……。
……どういう意味、だろう?
詳しい事は分からないが、ヴァロンとアラン様の間に、自分の婚約破棄意外の問題がある事は何となく察した。
ヴァロンが人殺し、なんて信じられない。
でも……。あの時の口調や態度から、アラン様が嘘を付いているようにも思えなくて……。
「きっと、何か勘違いがあるんだ」
私にはそうとしか思えなかった。
例えヴァロンに子供の頃の記憶がないとしても、彼は人を殺めるような人じゃない。
人よりも自分が傷付く方を選ぶ、そんな人だから……。
「……っ」
ここは、何処なんだろう?
気付いたらこの部屋に居て、大きなベッドに寝かされていた。
拘束されていた手足の縄も、目隠しも、さるぐつわも外されていて……。薄暗い部屋に一人きり。
着衣の乱れも、身体に違和感もなくて一安心した。
ベッドから降りると、部屋の中を探索するようにゆっくり歩く。
窓はあるけど鉄格子が張られているし、地面までは結構な距離がある。
扉には当然鍵がかかっていて、逃げられない。
時計もないし。連れ去られて、どれ位の時間が経ったのかさえ分からない。
「……ヒナ。……ユイちゃん。……リディア」
あの場に残してきてしまった、みんなが気になって仕方ない。
窓の外が暗いから、分かるのは夜だという事だけ。
ヴァロンは、もう帰ってきたんだろうか?
会えると期待に胸を弾ませていた朝を思い出しながら、私は左手の薬指に光る指輪に頬擦りした。
私を連れ去った、元婚約者のアラン様。
あの人が言った言葉の数々が気になる。
”ヴァロンを誘き出すには、お前がいれは充分だからな。”
”ヴァロンにとったら、今更人1人殺してもどうって事ないさ。
アイツはすでに、人殺し。だからな。”
”殺してるんだよ、子供の頃に。”……。
……どういう意味、だろう?
詳しい事は分からないが、ヴァロンとアラン様の間に、自分の婚約破棄意外の問題がある事は何となく察した。
ヴァロンが人殺し、なんて信じられない。
でも……。あの時の口調や態度から、アラン様が嘘を付いているようにも思えなくて……。
「きっと、何か勘違いがあるんだ」
私にはそうとしか思えなかった。
例えヴァロンに子供の頃の記憶がないとしても、彼は人を殺めるような人じゃない。
人よりも自分が傷付く方を選ぶ、そんな人だから……。
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