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第9章(2)ヴァロンside
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【アランの別荘】
「っ……嘘吐き」
そう言ったアカリが、俺の手を自分の頬に当てたまま見上げて微笑む。
「何か、あったの?」
見つめられたまま、そう問い掛けられた瞬間。
胸が、トクンッと暖かい鼓動を響かせて……。さっきまで必死に創っていた、笑顔の仮面が溶かされるように外れていく。
「誰かに、酷い事言われた?
それとも傷付くような事、しちゃったの?」
「っ……」
アカリの言葉に導かれるように、封じていた後悔が押し寄せる。
アランの行動や言葉に心が揺れて、過去の記憶が蘇りそうな恐怖に負けて……。
俺は、シュウや、大切な人達に、当たった。
隠れ家での出来事が……。
最後に聴いたヒナタの泣き声が、消えない。
「っ……俺を、見るなッ」
シュウも、マスターも、レナも、レイも……。
悲しそうな瞳で、俺を見てた。
「……もうっ、見たくない!……ッ」
”なんで、あんたなのよ!”
”あんたなんか、生まなきゃよかった……!!”
母さんも、泣いてた。
そして……。
”……続きなんて、ある訳ないだろ?
幸せな夢の話は、もうおしまいなんだよッ。”
……。
1番、聞きたくなかった言葉だった。
アナタカラハ、キキタク、ナカッタ……!!
「っ……もう、聞きたくないんだよ……ッ!!」
俺はアカリの手を振り解くと……。
目をギュッと閉じて、自分の両手で両耳を塞いで、首を横に振った。
俺の頭の中で、薄っすらと浮かぶ……。
優しい笑顔の、男の人。
いつも味方でいてくれたあの人が……。
穏やかな雰囲気で、嬉しそうな口調で、いつも慰めて褒めてくれたあの人が……。
ボクノ、テノトドカナイトコロへ、イッテシマッタ……。
「っ……嘘吐き」
そう言ったアカリが、俺の手を自分の頬に当てたまま見上げて微笑む。
「何か、あったの?」
見つめられたまま、そう問い掛けられた瞬間。
胸が、トクンッと暖かい鼓動を響かせて……。さっきまで必死に創っていた、笑顔の仮面が溶かされるように外れていく。
「誰かに、酷い事言われた?
それとも傷付くような事、しちゃったの?」
「っ……」
アカリの言葉に導かれるように、封じていた後悔が押し寄せる。
アランの行動や言葉に心が揺れて、過去の記憶が蘇りそうな恐怖に負けて……。
俺は、シュウや、大切な人達に、当たった。
隠れ家での出来事が……。
最後に聴いたヒナタの泣き声が、消えない。
「っ……俺を、見るなッ」
シュウも、マスターも、レナも、レイも……。
悲しそうな瞳で、俺を見てた。
「……もうっ、見たくない!……ッ」
”なんで、あんたなのよ!”
”あんたなんか、生まなきゃよかった……!!”
母さんも、泣いてた。
そして……。
”……続きなんて、ある訳ないだろ?
幸せな夢の話は、もうおしまいなんだよッ。”
……。
1番、聞きたくなかった言葉だった。
アナタカラハ、キキタク、ナカッタ……!!
「っ……もう、聞きたくないんだよ……ッ!!」
俺はアカリの手を振り解くと……。
目をギュッと閉じて、自分の両手で両耳を塞いで、首を横に振った。
俺の頭の中で、薄っすらと浮かぶ……。
優しい笑顔の、男の人。
いつも味方でいてくれたあの人が……。
穏やかな雰囲気で、嬉しそうな口調で、いつも慰めて褒めてくれたあの人が……。
ボクノ、テノトドカナイトコロへ、イッテシマッタ……。
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