夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

☆リサーナ☆

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(1)アランside

1-5

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***

しかし、翌朝ーー。

自室に付いている風呂でシャワー浴びながら、オレは昨晩の自分を思い返していた。
一晩経つと、何処を思い返しても昨夜は相当酔っていたとしか思えない。
寝ぼけてキスした事も、八つ当たりのような発言をした事も、身体を重ねた事も……。

今まで使用人に手を出した事がなかった訳じゃない。
だが、自分の醜態を曝け出して、しかもあんな処女子娘を相手にしていまうなんて……とんだ失態だ。

女は抱いた後そのまま眠ってしまい、他の使用人達の目に付かぬよう仕方なく自分のベッドに運び寝かせた。今もまだ夢の中だろう。
目が覚めたら何か欲しい物でも聞き出して機嫌を取り、昨夜の事は内密に、無かった事にして穏便に済ませたい。
そんな風に思いながら、オレはシャワーを止めて風呂を出た。


バスタオルで簡単に髪と身体を拭いて、バスローブを着ると女が眠っているベッドへと足を運ぶ。
相当疲れているのか、女はまだ眠っていた。その寝顔を見ると、昨夜見せた母親のような表情はなく、ただのあどけない少女に映る。

やはり、気のせいかーー。

その表情を見てフッと苦笑いを溢した時、「んっ……」と小さい声を発した女が軽く寝返りを打ち、ゆっくりと目を開けた。


「やっと起きたか」

「!……っ、……え?……アラン、様?」

その表情はまさに鳩が豆鉄砲を食ったよう。
声をかけると、女は朧げにしていた視線をハッとしてオレに向け、驚いたように目を見開いて見つめる。
そんな様子から、オレはこの女も今この状況に"なんて事をしてしまったのだろう"と後悔しているに違いないと思った。

それならば好都合。
互いにひと時の夢を見たと思って、忘れられる。

ホッして今後の対処を口にしようと思った。
けれど、…………。

「ーー可愛い」

「!……は?」

「前髪、下ろしていらっしゃる姿。初めて拝見致しました」

「……」

「あ!申し訳ございませんっ……。男性の方に可愛い、というのは褒め言葉ではございませんよね?
……けれど、私は……とても良いと、思います」

「……」

ーーこの女は、いきなり何を言っているんだ?

目の前で微笑む女に、オレは呆気に取られる。
目を覚ましたと思ったら、オレを見て可愛い、だと?
確かに普段顔を合わせるのは仕事に行く前と帰宅した際だから髪はしっかりとセットして、下ろしている状態は風呂上がりから眠って目を覚ますまでの数時間。
この俺の今の姿を知るものはかなりレアだとは思う。

だが、今っ?!
注目する事はそこではないだろうっ?

前言撤回かも知れない。
この女は想像以上にクセ者かも知れないと、オレは内心焦った。
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