この夏が終わっても

☆リサーナ☆

文字の大きさ
上 下
66 / 158
第5章 里奈side

(1)里奈side

しおりを挟む

「百均の物かそうじゃないかくらい、すぐに分かるよ」

涼さんはそう言って、笑った。
自分の嘘がバレバレだったのだと、少し恥ずかしいと思って俯いていると……。そんな私に涼さんが言う。


「……君は、すごく優しいね」

「!……へ?」

返そうと遮られていた手が……。
押さえ込まれていた私の手が、涼さんの手にギュッと力を込めて握られる。


「?……涼さん?」

顔を上げると、涼さんが私を真っ直ぐ見つめながら言葉を続けた。


「あの時からね、もう一度君に会いたいと思ってたんだ」

「……私、に?」

私に、会いたい?
そんな事を男性に言われた事、初めてだった。
だから、涼さんの言葉の深い意味に私は気付かなくて首を傾げる。

涼さんは暫く私を見つめてて、フッと微笑むと手を放して夜空を見上げた。
しおりを挟む

処理中です...