もううんざりですので、実家に帰らせていただきます

ルイス

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6話 リーガス・ドルアット その1

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「やあ、シルファ。久しぶりじゃないか! 相変わらず元気そうで安心したよ!」

「リーガス様…お久しぶりですね……」

「ああ、久しぶりだね!」

 リーガス様は私の屋敷を訪れた。追い返すわけにもいかないので、とりあえずは応接室に招いたけれど……。


 あれだけのことを言って私は彼の屋敷から出て来たと言うのに……私の屋敷に来たリーガス様の様子は変わっていなかった。私もクインスも呆気に取られてしまっている。

「お父様は現在不在でございますが、一体、どのような用件でしょうか?」

「別にウォークライ伯爵に用事があって来たわけではないんだ。私はお前に話があって来たのだからな」

「私に用事ですか? あまり良い印象は持たないのですが……」


 リーガス様の用件は明らかに私の望まないものになる。そんな確信が芽生えていた。それでも、話を聞かないわけにはいかないか。私は彼に視線を合わせた。


「リーガス様、話してください」

「良かった、流石はシルファだ。単刀直入に言って、私との仲を戻して欲しいんだ。なんとか帰って来て欲しい」

「やはり、そういう内容の話でしたか……」

「私は反省している。シルファをどれだけ傷付けてしまったのか、それを全く考えられていなかった。シルファが姿を消してから初めて、事の重大さに気付いたよ。父上からも叱責を受けたしな」

「そうですか」

「私にはやはり君が必要だ。頼むシルファ、私の元に戻って来て欲しい。この通りだ……!」


 リーガス様は立ち上がり、深々と頭を下げていた。二度と浮気をしないか……なるほど、謝罪するならそのくらいしないと駄目なことは明白だ。

「シルファ、これは……」

「ええ、クインス。分かっているわ」

 私の隣に座っているクインスは首を傾げながら私に話しかけて来ていた。おそらく、私と同じ気持ちなのだと思うわ。

「お顔を上げていただけますか、リーガス様。侯爵令息であるあなた様に、そんなことをされると気を遣ってしまいます」

「で、では……シルファ!」


 急にリーガス様の顔が明るくなった。もしかしたら許されたと勘違いしたのだろうか? いや、まさかそんなはずわね……。
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