もううんざりですので、実家に帰らせていただきます

7話 リーガス・ドルアット その2

「では、わかってくれるんだね？　シルファ、嬉しいよ！」

「いえ、お待ちください、リーガス様。私は何も言っていませんよ？」

「え、でも……」


　やっぱり勘違いしていたか。まあ、誠意のある謝罪だったかもしれないけれど、あれだけのことをしておいて１度の謝罪で許されるわけはない。

「謝罪そのものはお受け致します。リーガス様も本気で謝ってくれたと思っていますので……」

「で、では！　それは許してくれたと考えて問題ないのだろう？」

「いえ、そういうわけにはいきませんよ……」

「な、なぜだ？　私は二度と浮気をしないと誓っているのだぞ！？」


　リーガス様的には二度と浮気をしなければ、私が全てを許して再婚約すると考えているらしい。それは非常に都合の良い考えだ。ハッキリ言って、自分のことしか考えていない。

「リーガス様、私は正直に言って、あなた様のことをもう信じられないのです。ですから、無理矢理、屋敷から出て行ったのですから。あなた様が謝罪するかどうかは関係ないと言えます」

「そ、そんな……！　ま、待ってくれ、私は君が居ないと駄目だと気付いたんだ！　私の気持ちも考えて欲しい！」

　
　物凄く勝手なことを言っている気がするけれど、気のせいではないわよね？

「それなら、私の気持ちも考えてください。何でも自分本位に考えるのは間違っていますよ、リーガス様」


　少々、冷たい発言かもしれないけれど、中途半端に優しくするのはリーガス様のためにもならない。私とのことはしっかりと忘れて貰う。それがきっと最善な選択肢のはずだから。

「それは……しかし……お前か？　原因は？」

「えっ、私ですか？」


　リーガス様は急にクインスを睨みだした。どうしたのかしら、いきなり……。


「シルファがここまで私を拒否する原因はお前だろう？　クインス殿。彼女に何を吹聴したんだ？　自分と付き合えと強要し、私との仲を裂こうとしているのか？」

「それは……」


　とてつもない程の言いがかりだ。ここまで失礼な言葉は中々ないと思う程に……クインスはすぐに怒鳴ってもいいと思うのに、特に何も言い返さなかった。

　その間にもリーガス様の酷い言葉は続いていく……。