元婚約者は騙されていたようだけれど、自業自得なので知りません

ルイス

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3話 もう一人の幼馴染 その2

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「あの、ええと……」

「久しぶりだな、メイサ。まあ……こうして見る限りでは元気そうで何よりだよ」

「あ、はい……ありがとうございます、クラウド様……」


 かなり気まずい状況だ。応接室では私とクラウドしか居ないのだから……応接室の外では使用人やクラウドの付き人が待機しているけれど、この空間は二人きりだった。使用人達の気遣いかもしれないけれれど、正直言って、緊張してしまう……。

「クラウド様って……メイサらしくないな。やっぱり、元気がないのか?」

「うっ……それは……そうかしれないけれど……」


 リドルに言われた言葉が蘇って来た。クラウドのことを「様」付けで呼んでしまったのは、そのせいもあると思う。つまり、リドルが身分が違うので呼び捨ては止めてくれと言ったことだ。その影響で、クラウドにまで敬語を使ってしまっていた。

 少し考えれば、プライベート空間でクラウドが敬語を好むはずないことは分かるのに……しまった。

「まあ、リドルとの婚約破棄は俺も驚いたよ。その敬語は、それが原因ではないかと予想できるが……間違ってないかな?」

「え、ええ……間違ってないわ。ごめんなさい、クラウド」

「いや、気にしなくても良いよ。気にしないでくれ」


 良かった……なんとか、いつも通りの言葉で話せたわ。クラウドも気にしていないようだし、この話し方を続けた方が良さそうね。

「リドルに言われたのよ……婚約破棄の時に」

「どういう意味だ?」

「婚約破棄をした後は、敬語で話すように言われたのよ」

「なんと……そんなことが! なぜなんだ……?」

「分からないけれど、身分が違うからでしょうね。私は伯爵令嬢でしかないし、彼は侯爵だし」

「なるほど……そういうことか」


 クラウドは小刻みに首を上下に振っていた。納得してくれているみたいなので、少し嬉しいかも。

「しかし……リドルの態度は信じられないな。メイサにそんなことを言うなんて、許せない!」

「う、うん……ありがとう、クラウド」


 クラウドの反応はとても嬉しかった。単純に私の味方でいてくれたからだ。彼は公爵という立場になっているけれど、幼馴染であった時と変わらない雰囲気に私は安心していた。
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