元婚約者は騙されていたようだけれど、自業自得なので知りません

ルイス

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5話 リドル・ガレッジ侯爵

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(リドル・ガレッジ侯爵視点)


「フィーナ、君をこの屋敷に招けることを光栄に思うよ」

「それはありがとうございます、リドル様。私との婚約を了承していただき、光栄の極みでございますわ」

「それはこっちのセリフだな。私と婚約してくれて、非常に嬉しいよ」

「うふふ……当然ですわ」


 その凛とした表情は実に美しかった……この外見はメイサを大きく超えていると言えるだろうか。おまけに公爵令嬢という地位だ。メイサにはアランカステル家の地位が重要と言ったが、事実を言えばこの美しい身体の方が重要かもしれない。彼女には悪いことを言ってしまったかな。

 私はメイサではなく、このフィーナを選んだのだ……ふふふ、非常に賢い選択だったと言えるな。


「リドル様、実は私、困っていることがございますの」

「どうかしたのか、フィーナ?」

「はい。実は我がアランカステル家はダイヤの採掘に着手しておりまして」

「ほう、それはそれは……興味深い話ですな」

「ふふふ、少しだけ暗部のお話にはなりますが、よろしいですか?」


 暗部の話……か、なるほど。王家にも言っていないことなのかもしれんな。しかし、ダイヤの採掘というのは興味深い。ものすごい利益を生み出しそうな話題じゃないか。

「私、お父様の連絡係でもありますの。率直に申し上げて、ダイヤの採掘に関して共同で行いたいと思いまして」

「ダイヤの採掘を共同で……面白いですね」

「もちろん、莫大な利益はお約束いたしますわ。採掘に関しての資金をお出しいただくことは可能でしょうか?」


 莫大な利益の約束か……果たしてどのくらいの利益になるかは、アランカステル公爵自身に聞く必要があるな。しかし、資金提供は良い考えだ。我がガレッジ家をさらに裕福にしてくれそうだしな

「うふふ、如何でございますか、リドル様? よろしければ、寝室の方でもう少し詳しいお話でも?」

「おやおや、これは大胆なお方だ。お付き合いいたしましょう」


 私はフィーナの誘惑に耐えることが出来なかった。それほどに、彼女は妖艶だったからだ。私は彼女に骨抜きにさせられてしまうかもしれないな。まあ、たまには夢中になるのも面白いか……。

 ふふふふ、ダイヤ採掘の件と言い飽きない要素が生まれて来た。これはなかなか刺激的な夜になりそうだ。
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