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7話 リドルとの会話 その1
しおりを挟む「やあ! メイサじゃないか!」
「リドル……?」
私はあまりに明るいリドルの声に戸惑ってしまった。意味が分からない……この明るさはなんだろうか。
「どうかしたのか、メイサ? せっかく、幼馴染の私が訪ねて来たと言うのに……もっと喜んでくれても良いんじゃないか? いらっしゃい! リドル! くらいにさ」
「????」
彼のこの態度はなんだろうか……今までの記憶が全て消去されているような気さえする。私はそんな彼に不気味ささえ覚えていた。
「リドル……良く分からないのだけれど、私はあなたに婚約破棄をされたのよ? 幼馴染を馬鹿にしていたのはあなたじゃない。どういう心境の変化かしら?」
「幼馴染を馬鹿に? そんなことしたっけ」
「幼馴染なんてそんなもの」と言っていたのは、リドル自身だ。この時点で信じられない……彼に一体、何があったのだろうか?
「幼馴染という関係性を馬鹿にしたのはあなたでしょう? 今さらそれを忘れたとは言わせないわよ?」
「そんなこともあったか……そうだとしたら、本当に申し訳なかった。許して欲しい」
「リドル……」
この態度は婚約していた時の優しい彼そのものだ。思わず騙されそうになるが、私は彼の本性を知っている。婚約破棄をした彼こそが本当の姿で間違いないはずだ。
「本題に入りましょう、リドル。あなたと長話をするつもりはないの」
「そうか……残念だよ。じゃあ早速、本題に入ろうか」
「ええ、そうしてちょうだい」
リドルは少し不満気になっていた。あの程度の謝罪で私が許すと思ったら大間違いだ。彼の真意は分からないが、私と仲良く話すことも検討していたのかもしれない。
「私の婚約者であるフィーナが面白い話を持ち掛けて来てね」
「フィーナ・アランカステル令嬢の面白い話……?」
「もう少し具体的に言うと、儲け話さ」
「儲け話……?」
何だろう……一気に胡散臭くなった気がするわ。
「その通りだよ、メイサ。きっと後悔はさせないからさ。婚約破棄のお詫びに持ってきたと思って欲しいんだ」
「……」
怪しい、怪し過ぎるわ……それにこういうのは普通、お父様に言うべきことだし。私に直接言っている時点で怪しい。リドルは私を信じているのか、目をキラキラさせているけれど。それから……彼の後ろからはクラウドが近付いて来ていた。
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詐欺を知っているかどうかに掛かっていますかね
メイサ視点でも完全に怪しいですしね……どう見ても
リドルは頭が変だと思います……