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4話 思っていたのと違う
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(シェリー視点)
ミゼル・コーンス侯爵……元々は姉さまの婚約者だったけど、現在は私の婚約者になっている。えへへ、顔も格好良いし彼ほどの旦那様が居れば、他の貴族令嬢に対して優越感を抱けることは間違いないからね。姉様には悪いと思うけど、これが運命ってやつよ。
元々、姉さまは長女という立場にあるんだから頑張って当然なんだし……それで一定の信頼を得ているんだから、私が彼女の努力の恩恵に与ってもなんら問題はないでしょ。私は次女で自由な立場だし、お父様達も何も言わないしね!
イグリオ家の跡取りとしては、長男のバイアス・イグリオ兄さまがいらっしゃるわけだし、私の立場は本当に自由恋愛が可能だというわけね。それで、ミゼル・コーンス侯爵という上位貴族をゲットしたんだから、まったく問題はないでしょう。
「シェリー、済まないがこの書類を明日までに纏めておいてくれないか?」
「……私がですか?」
「当たり前だろう? 他に誰にやらせるんだ? 王国内の重要な書類の纏めなど、メイド達に任せるわけにはいくまい? 頼んだぞ」
「は~い、畏まりました……」
不満があるとすれば……ミゼル様が私に仕事を押し付けて来る頻度だろうか? 私はまだ婚約者の立場なのに、たくさんの書類仕事を押し付けてくる。これでは、買い物に出かける時間もなくなってしまうんだけれど……。
「ねえ、そこのあなた」
「はい、シェリー様。如何なさいましたか?」
「私の代わりに、この書類を纏めておいてくれる?」
「えっ? しかし、それは……」
私は近くに居たメイドに仕事を押し付けることにした。ミゼル様の屋敷のメイドではあるけれど、彼の婚約者の私に逆らえるわけないわよね。
「なにかしら? 何か文句でもあるの?」
「い、いえ……決してそういうわけではございませんが……」
「ミゼル様には内緒で進めるのよ、いいわね? 私は他の仕事があるから……頼んだわよ」
「か、畏まりました……シェリー様」
「ええ、お願いね。それじゃあ」
私は自分を着飾る為に買い物に出かけないといけないのよ。退屈な書類仕事なんて、やってる暇はないの。私は適当な護衛を付けて、貴族街に出かけることにした。一般人が決して入ることの出来ない聖域。まさに、選ばれた者と愚民を分け隔てる領域と言えるのかもしれないわね。
……でも、ミゼル様との婚約生活をしていて気になっていることがある。それは、思っていた豪華な生活とは違う、ということだ……。
ミゼル・コーンス侯爵……元々は姉さまの婚約者だったけど、現在は私の婚約者になっている。えへへ、顔も格好良いし彼ほどの旦那様が居れば、他の貴族令嬢に対して優越感を抱けることは間違いないからね。姉様には悪いと思うけど、これが運命ってやつよ。
元々、姉さまは長女という立場にあるんだから頑張って当然なんだし……それで一定の信頼を得ているんだから、私が彼女の努力の恩恵に与ってもなんら問題はないでしょ。私は次女で自由な立場だし、お父様達も何も言わないしね!
イグリオ家の跡取りとしては、長男のバイアス・イグリオ兄さまがいらっしゃるわけだし、私の立場は本当に自由恋愛が可能だというわけね。それで、ミゼル・コーンス侯爵という上位貴族をゲットしたんだから、まったく問題はないでしょう。
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「……私がですか?」
「当たり前だろう? 他に誰にやらせるんだ? 王国内の重要な書類の纏めなど、メイド達に任せるわけにはいくまい? 頼んだぞ」
「は~い、畏まりました……」
不満があるとすれば……ミゼル様が私に仕事を押し付けて来る頻度だろうか? 私はまだ婚約者の立場なのに、たくさんの書類仕事を押し付けてくる。これでは、買い物に出かける時間もなくなってしまうんだけれど……。
「ねえ、そこのあなた」
「はい、シェリー様。如何なさいましたか?」
「私の代わりに、この書類を纏めておいてくれる?」
「えっ? しかし、それは……」
私は近くに居たメイドに仕事を押し付けることにした。ミゼル様の屋敷のメイドではあるけれど、彼の婚約者の私に逆らえるわけないわよね。
「なにかしら? 何か文句でもあるの?」
「い、いえ……決してそういうわけではございませんが……」
「ミゼル様には内緒で進めるのよ、いいわね? 私は他の仕事があるから……頼んだわよ」
「か、畏まりました……シェリー様」
「ええ、お願いね。それじゃあ」
私は自分を着飾る為に買い物に出かけないといけないのよ。退屈な書類仕事なんて、やってる暇はないの。私は適当な護衛を付けて、貴族街に出かけることにした。一般人が決して入ることの出来ない聖域。まさに、選ばれた者と愚民を分け隔てる領域と言えるのかもしれないわね。
……でも、ミゼル様との婚約生活をしていて気になっていることがある。それは、思っていた豪華な生活とは違う、ということだ……。
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