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3話 パーティー その1
しおりを挟む私はその日、以前から予定していたパーティーに出席していた。二人の付き人を連れて……。
「シャーリー様、無理に参加する必要はなかったのではないですか?」
「そうも言っていられないわ……婚約破棄はされたけれど、いつまでも悲しんでいられないから」
アクウィル様の婚約破棄もそうだけれど、お父様に激怒されたことはさらにショックと言っても過言ではなかった。私の中での動揺も大きかったので、行動で忘れようとしているのだ。新たな出会いを求めている、という背景もあるけれど……。
「しかし、クロース様の機嫌を損ねてしまうかもしれませんよ?」
「パーティーに出席しない方がお父様の機嫌を損なうと思うけれど……」
お父様はベルン伯爵家に誇りを持っている……だから、その名で出席を予定していた以上は全うしなければならないはずだ。予定していたパーティーを欠席するのは、ベルン伯爵家に傷を付けるようなものだろうから……。
「お父様はベルン家に傷を付けなければ、怒らないでしょう?」
「確かにそうかもしれませんが、今回は勝手が違います……」
「どういう意味?」
「いえ、つまりは……」
「……?」
付き人は周囲を見渡していた。なんだかさっきから視線は感じていたけれど……ああ、そういうことか。ついつい、失念していたわ。私がどういう立場なのかを。
「私は現在、婚約破棄の件について噂される立場だったわね」
「そういうことです。欠席をされた方が今回ばかりはダメージが少なかったでしょう」
「でも、今更よね……」
「ですね……」
はっきり言ってもっと早くに言って欲しかったわ。それに今から帰っても、おそらく意味がない……慌てて帰ったという風に噂されるだけだろう。それならば、このまま出席し続けた方が印象も良くなるというものだ。多分……。
「あれ……まさかとは思うが……」
「えっ?」
この声は……聞き覚えのある声が私の耳に届いた。私は自然とそちらに視線を合わせる。そこに立っていたのは……。
「シャーリーか?」
「リオン……?」
現在は公爵となっているはずのリオン・ウェンガッタとの再会だった……会いたいとは思っていたけれど、まさかそれが実現するなんて。神様って本当に居るのかもしれないわね。
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