4 / 7
4話 パーティー その2
しおりを挟む「リオン……まさか、このパーティーで会えるとは思っていなかったわ……」
本当に想いが叶うなんて……神様は本当に存在するのかもしれない。目の前に立っている人物は、最近公爵になった幼馴染のリオン・ウェンガッタだ。身分が違うから普通の言葉で話して良いのかは微妙だけれど。
「いや、本当はこのパーティーには参加する気はなかったんだが、もしかしたらシャーリーに会えるかも、と思っていたからな」
「えっ……?」
「君が事前に予約していることは知っていたから」
そ、それって……つまりは私に会いたかったっていうこと? ど、どうしよう……なんて答えれば良いんだろうか。
「あ、あの、リオン……その気持ちはとても嬉しいんだけど……いきなりそんな」
「ん? シャーリーはアクウィル殿に婚約破棄をされたと聞いていたが、普通に来れないかと考えていたんだ。良かったよ、こうして会えて。落ち込んでいないか心配していたからな」
「……ええと、つまりこのパーティーにリオンが居るのは……」
「ああ、婚約破棄の件で心配だったからだな」
「……」
いえ、とても嬉しいことだけれど、なんだかふらついてしまいそうだった。つまりは私のことが好きとか、そういうことではないのか。でも、心配で来てくれたということは、まだ可能性は残っているかな? ただ、思いっきり勘違いをしてしまったけれど……。
-----------------------
「そうか……アクウィル殿は幼馴染との真実の愛に目覚めたから、婚約破棄をすると……」
「慰謝料を支払うからさっさと出て行けって感じだったわ……本当に最悪……」
「そうだな……確かに最悪だ、彼は……心中を察するよシャーリー、辛かっただろう?」
「ええ、ありがとう、リオン」
リオンだけは私の味方になってくれている……そんな気がしたけれど、おそらくこの直感は間違っていないはずだ。昔からの知り合いであるから彼の心は理解しているし、私に掛けてくれる言葉も本物だと理解することが出来る。
「アクウィル様の件も大変なんだけれど、お父様の件も大変で……」
「お父様と言うのは、クロース・ベルン伯爵のことか? 何かあったのか?」
「ええと……なんて言えば良いのか……」
しまった、アクウィル様の件とは違って家庭環境のことを言うのは難しいわ……特にパーティー会場で言うべきことではない。ベルン伯爵家の名前に泥を塗るわけにもいかないし。でも、リオンには知っていて貰いたい。
「ごめん、リオン。少し場所を変えない?」
「あ、ああ……構わないが」
「それでは少しだけ外へ出ましょう」
私はリオンを連れてパーティー会場から出て行った。
0
あなたにおすすめの小説
殿下はご存じないのでしょうか?
7
恋愛
「お前との婚約を破棄する!」
学園の卒業パーティーに、突如婚約破棄を言い渡されてしまった公爵令嬢、イディア・ディエンバラ。
婚約破棄の理由を聞くと、他に愛する女性ができたという。
その女性がどなたか尋ねると、第二殿下はある女性に愛の告白をする。
殿下はご存じないのでしょうか?
その方は――。
久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った
五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」
8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
飽きたと捨てられましたので
編端みどり
恋愛
飽きたから義理の妹と婚約者をチェンジしようと結婚式の前日に言われた。
計画通りだと、ルリィは内心ほくそ笑んだ。
横暴な婚約者と、居候なのに我が物顔で振る舞う父の愛人と、わがままな妹、仕事のフリをして遊び回る父。ルリィは偽物の家族を捨てることにした。
※7000文字前後、全5話のショートショートです。
※2024.8.29誤字報告頂きました。訂正しました。報告不要との事ですので承認はしていませんが、本当に助かりました。ありがとうございます。
悪役令嬢と呼ばれた彼女の本音は、婚約者だけが知っている
当麻月菜
恋愛
『昔のことは許してあげる。だから、どうぞ気軽に参加してね』
そんなことが書かれたお茶会の招待状を受け取ってしまった男爵令嬢のルシータのテンションは地の底に落ちていた。
実はルシータは、不本意ながら学園生活中に悪役令嬢というレッテルを貼られてしまい、卒業後も社交界に馴染むことができず、引きこもりの生活を送っている。
ちなみに率先してルシータを悪役令嬢呼ばわりしていたのは、招待状の送り主───アスティリアだったりもする。
もちろん不参加一択と心に決めるルシータだったけれど、婚約者のレオナードは今回に限ってやたらと参加を強く勧めてきて……。
※他のサイトにも重複投稿しています。でも、こちらが先行投稿です。
※たくさんのコメントありがとうございます!でも返信が遅くなって申し訳ありません(><)全て目を通しております。ゆっくり返信していきますので、気長に待ってもらえたら嬉しかったりします。
恩知らずの婚約破棄とその顛末
みっちぇる。
恋愛
シェリスは婚約者であったジェスに婚約解消を告げられる。
それも、婚約披露宴の前日に。
さらに婚約披露宴はパートナーを変えてそのまま開催予定だという!
家族の支えもあり、婚約披露宴に招待客として参加するシェリスだが……
好奇にさらされる彼女を助けた人は。
前後編+おまけ、執筆済みです。
【続編開始しました】
執筆しながらの更新ですので、のんびりお待ちいただけると嬉しいです。
矛盾が出たら修正するので、その時はお知らせいたします。
幼馴染、幼馴染、そんなに彼女のことが大切ですか。――いいでしょう、ならば、婚約破棄をしましょう。~病弱な幼馴染の彼女は、実は……~
銀灰
恋愛
テリシアの婚約者セシルは、病弱だという幼馴染にばかりかまけていた。
自身で稼ぐこともせず、幼馴染を庇護するため、テシリアに金を無心する毎日を送るセシル。
そんな関係に限界を感じ、テリシアはセシルに婚約破棄を突き付けた。
テリシアに見捨てられたセシルは、てっきりその幼馴染と添い遂げると思われたが――。
その幼馴染は、道化のようなとんでもない秘密を抱えていた!?
はたして、物語の結末は――?
婚約破棄でかまいません!だから私に自由を下さい!
桗梛葉 (たなは)
恋愛
第一皇太子のセヴラン殿下の誕生パーティーの真っ最中に、突然ノエリア令嬢に対する嫌がらせの濡れ衣を着せられたシリル。
シリルの話をろくに聞かないまま、婚約者だった第二皇太子ガイラスは婚約破棄を言い渡す。
その横にはたったいまシリルを陥れようとしているノエリア令嬢が並んでいた。
そんな2人の姿が思わず溢れた涙でどんどんぼやけていく……。
ざまぁ展開のハピエンです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる