王太子殿下に求婚された件~第七王子には婚約破棄されたけど、結果オーライです~

ルイス

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4話 噂は広まる その1

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 元婚約者、シャルナック王子殿下の不祥事……。婚約関係にあった私を振って、別の女性へと乗り換えようとしていた。普通であれば、王子殿下の強い権限により、世間や貴族間に知れ渡ることはないのかもしれないけれど……。


 噂の封じ込めを許さなかったのは、キニスン王太子殿下だった。私に謝罪をしてくださった王太子殿下は、同時にシャルナック王子殿下の婚約破棄の件についても、他の貴族の間に流布したのだった。


「あ、あの……王太子殿下……」


「……なんだ?」

「シャルナック王子殿下と私の件を、世間に知らせても良かったのでしょうか……?」


 私は穏便に済ませることを承諾したのに……これではシャルナック王子や王家に対しての風当たりが強くなってしまうんじゃ。私はそれを心配していた。

「私は事を穏便に済ませることを了承していましたのに……」

「事を穏便に済ませるというのは、あくまでもアンネリー殿の家系との間での話になる。シャルナックが行ったことをうやむやにしておくのは、今後の王家の在り方にも関わってくるからな」


 なるほど、と私は納得した。てっきり、穏便に済ませて欲しいというのは、世間に公表しないで欲しいという意味合いだと思っていたから……。ワーテルロー王家とバートン家との間での関係悪化を最小限に抑える為に、「穏便」という意味だったなんて……。

 自分の中で、王太子殿下への好感度が上昇していることに気付いた。流石は次期国王様よね。まあ、どのみち、貴族の間では婚約破棄なんていうネタを完全に封じ込めるのは不可能だったと思うけれど。


「……アンネリー殿、少しは落ち着いたか?」


 キニスン王太子殿下は、数日前の婚約破棄騒動を心配してか、バートン家の領地にある屋敷を訪ねてくれていた。もちろん、相応の護衛を付けてのことだけれど。

 金髪の長髪を後ろで束ね、サファイアブルーの瞳が美しい二枚目。キニスン王太子殿下は外見的にも完璧に国王という責務を全うしそうな雰囲気を有している。シャルナック王子殿下よりも上の存在……そんなお方に近付かれ、私は胸の高鳴りを止められないでいた。


「は、はい……少しは落ち着いております。これも全て、王太子殿下のおかげでございます」

「いや、私は何もしていないさ。それに……君のことは前から気になっていたからな」

「えっ?」


 王太子殿下のおっしゃった最後の言葉が上手く聞き取れなかった。私はもう一度、質問しようとしたところ……。

「姉さま! 姉さまは居られますか!?」

 勢いよく私の部屋をノックする音と、聞き覚えのある声がしてきた。妹のローラがどうやら帰って来たらしい。
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