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12話 メープルの失態 その2
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「大丈夫か、メープル? 怪我はないんだな?」
「はい……大丈夫です……」
リシド様に助け起こされたメープルは、放心状態になっているように見えた。本来であれば、素敵な公爵様に助けられ、もっと明るくお礼を言うものだけれど。彼女は私の隣……ユアン王子殿下に視線を合わせている。
「ユアン様、何か問題が起きましたでしょうか?」
「いやいや、何も起きてはいないさ。ただ、一人の令嬢が転んだだけだ。特に怪我がないようで何よりだったな」
そう言いながら、ユアン様は近くの料理を食べることに集中し始めた。まるで、メープルのことなんて無視するかのように……。
「……」
メープルとユアン王子殿下の態度から私は今起こった事態を、何となく察することが出来た。メープルは、ユアン王子殿下に助けてもらう為に、わざわざ彼の隣で転んで見せたようね。優しいユアン王子殿下なら、格好よく自分を助け起こしてくれる、そのように連想して。
「シャルナ、君のことだから、もう既に予想が付いたのではないか?」
「そうですね……合っている保証はありませんが、大体は」
「流石は聡明なシャルナ・アモネートだ」
「いえ、とんでもないことです……」
けど、実際は違った。普通の状態だったとしても、ユアン王子殿下が婚約者の前で、令嬢を助け起こすとは考えにくい。ましてや今回は……。とても冷たい視線と、冷たい一言……もしかしたら、ユアン王子殿下は私のことを想ってそのようにしてくれたのかもしれない。
間違っていたら恥ずかしいけれど、そうであって欲しいと願っていた。久しぶりに自分の思い通りにいかなかった事象……それも、冷たくあしらわれてしまったメープルにとっては、大きなダメージとなっただろう。
「メープル、体調が優れないのか? 少し、端の方で休むとするか?」
「大丈夫ですよ、リシド様。先ほどから、何回も言ってます……」
フラフラとした足取りで、メープルは離れていく。それに付き添うように、リシド様も去って行った。やれやれ、リシド様も大変ね。
「行ったか。しかし、あの二人には立場をわきまえてもらう必要があるな」
「立場……で、ございますか?」
「その通りだ」
ユアン王子殿下は不敵な笑みを浮かべている。まだまだ、彼の攻撃は始まったばかりのようだ……。同情するつもりはないけど、二人には合掌をしておこうかしら。
「はい……大丈夫です……」
リシド様に助け起こされたメープルは、放心状態になっているように見えた。本来であれば、素敵な公爵様に助けられ、もっと明るくお礼を言うものだけれど。彼女は私の隣……ユアン王子殿下に視線を合わせている。
「ユアン様、何か問題が起きましたでしょうか?」
「いやいや、何も起きてはいないさ。ただ、一人の令嬢が転んだだけだ。特に怪我がないようで何よりだったな」
そう言いながら、ユアン様は近くの料理を食べることに集中し始めた。まるで、メープルのことなんて無視するかのように……。
「……」
メープルとユアン王子殿下の態度から私は今起こった事態を、何となく察することが出来た。メープルは、ユアン王子殿下に助けてもらう為に、わざわざ彼の隣で転んで見せたようね。優しいユアン王子殿下なら、格好よく自分を助け起こしてくれる、そのように連想して。
「シャルナ、君のことだから、もう既に予想が付いたのではないか?」
「そうですね……合っている保証はありませんが、大体は」
「流石は聡明なシャルナ・アモネートだ」
「いえ、とんでもないことです……」
けど、実際は違った。普通の状態だったとしても、ユアン王子殿下が婚約者の前で、令嬢を助け起こすとは考えにくい。ましてや今回は……。とても冷たい視線と、冷たい一言……もしかしたら、ユアン王子殿下は私のことを想ってそのようにしてくれたのかもしれない。
間違っていたら恥ずかしいけれど、そうであって欲しいと願っていた。久しぶりに自分の思い通りにいかなかった事象……それも、冷たくあしらわれてしまったメープルにとっては、大きなダメージとなっただろう。
「メープル、体調が優れないのか? 少し、端の方で休むとするか?」
「大丈夫ですよ、リシド様。先ほどから、何回も言ってます……」
フラフラとした足取りで、メープルは離れていく。それに付き添うように、リシド様も去って行った。やれやれ、リシド様も大変ね。
「行ったか。しかし、あの二人には立場をわきまえてもらう必要があるな」
「立場……で、ございますか?」
「その通りだ」
ユアン王子殿下は不敵な笑みを浮かべている。まだまだ、彼の攻撃は始まったばかりのようだ……。同情するつもりはないけど、二人には合掌をしておこうかしら。
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