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16話 恥知らず その1
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(メープル視点)
「恥知らずな家系……なんと言ったかな」
「アモネート伯爵家ですね、お兄様」
「そうだ、確かアモネートだったな。ユアンからもそう聞いていた」
恥知らずな家系……? 確かに騎士団長を務める武人、ベノム第三王子殿下は言った。私を見据えて、見下すような視線を送り続けながら……。同時にリュート王女様も会話に割って入っている。
ど、どういうことよ……恥知らずって。きっと、シャルナ姉さまのことを言っているのよね。だって、私は恥知らずなんて悪口、今まで言われたことはないもの。父さまや母様はもちろん、姉さまにも言われたことはない。逆に姉さまは、父さまに呼び出されて怒られることは多かったはず。
私は姉さまみたいな出来損ないじゃなくて、真の伯爵令嬢なの。恥知らずとは無縁な……一番遠い存在よ。
「恥知らず……」
「ん? なにか言いたいことでもあるのか、メープル嬢」
ベノム王子殿下の視線は相変わらずだったけれど、恥知らずの対象が分かったから怖くはないわ。どういう作戦で行こうかしら……ベノム第三王子と軍師としても有名な博士の異名を持つバール第四王子。どちらも二枚目だけれど、私はナヨナヨした人って嫌いなのよね。
やっぱり、夜を楽しませてくれるお方でないと。そうなるとやっぱり、ベノム王子殿下に絞った方が良さそうね。
「ベノム様……恥知らずな点、本当に申し訳ありません……」
「ほう、そんな言葉を出せるのか。意外だな」
「兄上に聞いていた話とは違うのかもしれませんね……」
なんだか話が噛み合ってないような気がするけど、気のせいかしらね。よ~し、私の転げ落ち作戦で彼らの歩みや関心を得られたし、一気に距離を縮めてやるんだから。
-------------------------------------------------
(シャルナ視点)
「ははは、なんだか面白いことになってるな。聞いていて飽きないというか……」
「うう、恥ずかしいです……」
「おいおい、シャルナが恥ずかしがることではないだろう? 妹にとっては良い経験になるだろうし」
メープルはおそらく、「恥知らず」という言葉を自分に対するものだとは思っていない。彼女は今まで気遣いや苦労とは無縁の生活を送っていたから。世界は自分を中心に回っているとさえ考えているはず。私や父さま達が言われているのだと勘違いしているのだろう。
本当に恥ずかしい……周りの貴族の方々の注目を浴びているところがさらに恥ずかしかった。
「ちなみにベノムの言葉であった、恥知らずな家系というものだが、シャルナのことは含まれていないから安心してほしい」
「そうなのですか……?」
ベノム王子殿下は「恥知らずな家系」と言っていた。それは、妹のメープルを生み出してしまった責任が私にもあるのだという戒めを言ったと思っていたけれど。
「シャルナの両親は恥知らずに含んでいるだろうが……まあ、なんだ。あまり認めたくはないが、ベノムは君のことを好いているからな」
「ええっ? そ、それは……!」
「いつもパーティで貴族たちと話す姿勢に感銘を受けていたのだそうだ」
ユアン王子殿下も同じようなことを言ってくれていたけれど、まさかベノム王子殿下にも見られていたなんて……! アモネート家の長女として恥ずかしくない態度を出していたけれど、思わぬところで大きく好印象を与えていたみたいね。
「恥知らずな家系……なんと言ったかな」
「アモネート伯爵家ですね、お兄様」
「そうだ、確かアモネートだったな。ユアンからもそう聞いていた」
恥知らずな家系……? 確かに騎士団長を務める武人、ベノム第三王子殿下は言った。私を見据えて、見下すような視線を送り続けながら……。同時にリュート王女様も会話に割って入っている。
ど、どういうことよ……恥知らずって。きっと、シャルナ姉さまのことを言っているのよね。だって、私は恥知らずなんて悪口、今まで言われたことはないもの。父さまや母様はもちろん、姉さまにも言われたことはない。逆に姉さまは、父さまに呼び出されて怒られることは多かったはず。
私は姉さまみたいな出来損ないじゃなくて、真の伯爵令嬢なの。恥知らずとは無縁な……一番遠い存在よ。
「恥知らず……」
「ん? なにか言いたいことでもあるのか、メープル嬢」
ベノム王子殿下の視線は相変わらずだったけれど、恥知らずの対象が分かったから怖くはないわ。どういう作戦で行こうかしら……ベノム第三王子と軍師としても有名な博士の異名を持つバール第四王子。どちらも二枚目だけれど、私はナヨナヨした人って嫌いなのよね。
やっぱり、夜を楽しませてくれるお方でないと。そうなるとやっぱり、ベノム王子殿下に絞った方が良さそうね。
「ベノム様……恥知らずな点、本当に申し訳ありません……」
「ほう、そんな言葉を出せるのか。意外だな」
「兄上に聞いていた話とは違うのかもしれませんね……」
なんだか話が噛み合ってないような気がするけど、気のせいかしらね。よ~し、私の転げ落ち作戦で彼らの歩みや関心を得られたし、一気に距離を縮めてやるんだから。
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(シャルナ視点)
「ははは、なんだか面白いことになってるな。聞いていて飽きないというか……」
「うう、恥ずかしいです……」
「おいおい、シャルナが恥ずかしがることではないだろう? 妹にとっては良い経験になるだろうし」
メープルはおそらく、「恥知らず」という言葉を自分に対するものだとは思っていない。彼女は今まで気遣いや苦労とは無縁の生活を送っていたから。世界は自分を中心に回っているとさえ考えているはず。私や父さま達が言われているのだと勘違いしているのだろう。
本当に恥ずかしい……周りの貴族の方々の注目を浴びているところがさらに恥ずかしかった。
「ちなみにベノムの言葉であった、恥知らずな家系というものだが、シャルナのことは含まれていないから安心してほしい」
「そうなのですか……?」
ベノム王子殿下は「恥知らずな家系」と言っていた。それは、妹のメープルを生み出してしまった責任が私にもあるのだという戒めを言ったと思っていたけれど。
「シャルナの両親は恥知らずに含んでいるだろうが……まあ、なんだ。あまり認めたくはないが、ベノムは君のことを好いているからな」
「ええっ? そ、それは……!」
「いつもパーティで貴族たちと話す姿勢に感銘を受けていたのだそうだ」
ユアン王子殿下も同じようなことを言ってくれていたけれど、まさかベノム王子殿下にも見られていたなんて……! アモネート家の長女として恥ずかしくない態度を出していたけれど、思わぬところで大きく好印象を与えていたみたいね。
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