妹に婚約者まで奪われました!~彼の本性を知って、なんとかしてと泣きつかれましたが、私は王子殿下と婚約中なので知りません~

ルイス

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15話 王族 その2

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「た、大変です! ユアン様!」

「落ち着くんだ、シャルナ? 何を慌てているんだ?」

「メープルが、第三王子殿下達の元へ向かっているのですよ!? なにやら危険な香りが致します!」


 冷静沈着なユアン王子殿下と比べ、私はとても取り乱していた。それもそのはず……私の妹が、ユアン王子殿下に無礼を働いた直後なのだから。実際には王子殿下の前で倒れただけだから、無礼には該当しないのだけど。

 でも、その目的は私からすれば許せるものではなかった。妹のメープルはリシド様を私から奪っただけでなく、ユアン王子殿下まで奪おうとしていた……。

 ユアン王子殿下を奪おうとしていたなんて、私ごときが言い出せるものではないけれど、それでも心情的にはそんな感じだったのだ。リシド様もおそらくそのことに気付いた……先ほどまでしていた二人の会話は、そのことに関するものだと思う。

 そして……メープルはリシド様の言葉に耳を傾けることなく、他の王族に手を出そうとしている。当たらずとも遠からず……いえ、確実に当たっている気さえするわ。

「まあ、シャルナは静かに見ているだけでいいさ」

「ユアン様……?」


 ここまで来てもユアン王子殿下は余裕の態度だった。何か作戦でもあるのだろうか?


「既に弟達にはシャルナの身に起きたことは話してある。彼らの会話が聞こえる位置まで移動しようか」

「は、はい」


 ユアン王子殿下の後を追うように私は歩き出した。



---------------------------------------


(メープル視点)


「きゃあ!」

「むっ、なんだ……!?」


 私はリシド様の制止を振り切るように、再び派手に転んでみせた。ベノム第三王子殿下の近くに上手く近づくように。位置的に彼らは私の婚約者の存在を確認できないはず。


「大丈夫か?」

「も、申し訳ありません……ベノム様……」


 私は完全にか弱い美少女を演じてみせた。美少女というのは、誰もが認知しているけれど、か弱さの部分は作らないと、なかなか難しいしね。もう完璧にぶりっ子してみせ、私はベノム第三王子殿下の手に触れた。

「よっと」


 ベノム王子殿下は武人出で立ち……実際に、レイブン王国の騎士団長もしているくらいだし。私は簡単に引き上げられてしまった。すごい……夜の方でもきっと、満足させてくれそうな印象があるわ。リシド様はそっちは……イマイチだし。

「ケガはなさそうだな? ええと……貴殿は……」

「はい。私はメープル・アモネートと申します。以後、お見知りおきを……」


 私はロングスカートを軽くつまんで、完璧に挨拶をしてみせた。この挨拶で今まで、何人もの殿方を虜にしてきた……まだ、私は16歳なのになんて罪な女かしら。うふふふふ、シャルナ姉さまなんて相手にならないわ。


「兄上、彼女は……あれですね」

「バール……うむ、そうだな」

「……?」


 私は確かに完璧に可愛らしい挨拶をしたはずだけれど……実際に周囲の貴族の何人かは顔を赤らめているし。でもベノム王子殿下やバール王子殿下は違った。


「ああ……あの恥知らずな家系の妹か」

「えっ?」


 なんだか空気がおかしい……ベノム第三王子殿下、バール第四王子殿下共に見下したような視線を送ってきている。ど、どういうこと……?




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