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23話 妹のわがまま その1
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私はその日、本当に楽しい舞踏会を経験することが出来た。今までは目立ち過ぎずに過ごしていた為に、それほど楽しいと感じたことはなかったけれど。楽しさよりも、周囲の貴族たちとの友好関係に尽力する意味合いが強かったと思う。
「ユアン王子殿下、ベノム王子殿下……この度は本当にありがとうございました。おかげ様で思い出に残る舞踏会になったかと思います」
ユアン王子殿下、ベノム王子殿下の二人は私を屋敷の前まで送ってくれた。この時点で既に信じられない。私は馬車から降りると二人の王子殿下に深々と頭を下げている。とても不可思議な光景だった……。
「感謝の意を表明してくれるのは有り難い。なあ、ベノム?」
「ん……? う、うむ。そ、そうだな……」
「ベノム様……?」
ユアン王子殿下に話を振られたベノム様の様子がおかしいような。メープルを叱責していた時の覇気が感じられないというか。私とも視線を合わせていないし。
「ベノム様、その……どうかなさいましたでしょうか?」
「いや……な、なんでもない。うん」
「さ、左様でございますか……」
照れているのか、ベノム様はやはり私と視線を合わせようとしない。そういえば、ユアン様から私のことが好きだという事実を聞いていたけれど。それと何か関係あるのかしら?
「ははは、ベノム。なかなか、面白いぞ?」
「ユアン……お前、楽しんでいるな?」
「いやいや、済まない。騎士団長様の普段は決して見せない一面を見てしまったものでな」
「くっ……」
ユアン王子殿下もベノム様を楽しそうにからかっている。王位継承権という観点から見れば、微妙な間柄になる二人だけど、仲は良いみたいね。
私も話に入ろうかと思ったけれど、ベノム様に悪い気がしたのでやめておく。
「お父様の挨拶がなく、申し訳ありません」
「いや、構わないさ。私達がここへ来たのは、シャルナを送る為だからな。それに……今はアモネート伯爵と会うのもどうかと思うしな」
「そうだな……我々はここで別れた方が良いだろう」
「そうですね……お気遣いありがとうございます。ユアン様、ベノム様。それではこの辺りで失礼いたします」
「ああ、また会おう」
「はいっ!」
私は再び深々と頭を下げ、挨拶をした。そして、ユアン王子殿下達が馬車で帰っていくのを見送る……。
-------------------------------------
「お帰りなさいませ、シャルナお嬢様」
「ありがとう、ドルチェ」
私の帰りを玄関口で出迎えてくれたのは、メイドのドルチェ達だった。
「お父様たちは居ないの?」
特に出迎えてほしいというわけではないけれど、なんとなくドルチェに聞いてみる。
「いえ、旦那様はメープルお嬢様とお話をされていらっしゃいますが……」
「お父様と?」
「はい……」
他の使用人の態度も含めてのことだけど、ドルチェも歯切れの言葉になっている。これは何かあるわね……。
「二人はどこに居るの?」
「はい、旦那様のお部屋にいらっしゃいます」
「そう、ありがとう」
医務室に行ったきりメープルとは会っていないけど、無事に戻ってきているようね。私はドルチェにお礼を言って、すぐにお父様の部屋へ急いだ。
そして、お父様のお部屋の扉をノックしようとした時……メープルの声が聞こえてくる。
「お父様~~~!! 私は悔しいです! リシド様があんなお方だったなんて……!」
メープルの泣き声? が聞こえてくる……ん? リシド様と何かトラブルになっているの?
「ユアン王子殿下、ベノム王子殿下……この度は本当にありがとうございました。おかげ様で思い出に残る舞踏会になったかと思います」
ユアン王子殿下、ベノム王子殿下の二人は私を屋敷の前まで送ってくれた。この時点で既に信じられない。私は馬車から降りると二人の王子殿下に深々と頭を下げている。とても不可思議な光景だった……。
「感謝の意を表明してくれるのは有り難い。なあ、ベノム?」
「ん……? う、うむ。そ、そうだな……」
「ベノム様……?」
ユアン王子殿下に話を振られたベノム様の様子がおかしいような。メープルを叱責していた時の覇気が感じられないというか。私とも視線を合わせていないし。
「ベノム様、その……どうかなさいましたでしょうか?」
「いや……な、なんでもない。うん」
「さ、左様でございますか……」
照れているのか、ベノム様はやはり私と視線を合わせようとしない。そういえば、ユアン様から私のことが好きだという事実を聞いていたけれど。それと何か関係あるのかしら?
「ははは、ベノム。なかなか、面白いぞ?」
「ユアン……お前、楽しんでいるな?」
「いやいや、済まない。騎士団長様の普段は決して見せない一面を見てしまったものでな」
「くっ……」
ユアン王子殿下もベノム様を楽しそうにからかっている。王位継承権という観点から見れば、微妙な間柄になる二人だけど、仲は良いみたいね。
私も話に入ろうかと思ったけれど、ベノム様に悪い気がしたのでやめておく。
「お父様の挨拶がなく、申し訳ありません」
「いや、構わないさ。私達がここへ来たのは、シャルナを送る為だからな。それに……今はアモネート伯爵と会うのもどうかと思うしな」
「そうだな……我々はここで別れた方が良いだろう」
「そうですね……お気遣いありがとうございます。ユアン様、ベノム様。それではこの辺りで失礼いたします」
「ああ、また会おう」
「はいっ!」
私は再び深々と頭を下げ、挨拶をした。そして、ユアン王子殿下達が馬車で帰っていくのを見送る……。
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「お帰りなさいませ、シャルナお嬢様」
「ありがとう、ドルチェ」
私の帰りを玄関口で出迎えてくれたのは、メイドのドルチェ達だった。
「お父様たちは居ないの?」
特に出迎えてほしいというわけではないけれど、なんとなくドルチェに聞いてみる。
「いえ、旦那様はメープルお嬢様とお話をされていらっしゃいますが……」
「お父様と?」
「はい……」
他の使用人の態度も含めてのことだけど、ドルチェも歯切れの言葉になっている。これは何かあるわね……。
「二人はどこに居るの?」
「はい、旦那様のお部屋にいらっしゃいます」
「そう、ありがとう」
医務室に行ったきりメープルとは会っていないけど、無事に戻ってきているようね。私はドルチェにお礼を言って、すぐにお父様の部屋へ急いだ。
そして、お父様のお部屋の扉をノックしようとした時……メープルの声が聞こえてくる。
「お父様~~~!! 私は悔しいです! リシド様があんなお方だったなんて……!」
メープルの泣き声? が聞こえてくる……ん? リシド様と何かトラブルになっているの?
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