妹に婚約者まで奪われました!~彼の本性を知って、なんとかしてと泣きつかれましたが、私は王子殿下と婚約中なので知りません~

ルイス

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50話 恋愛初心者の成せる業 その1

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(メープル視点)

「うわ~~、姉さまとうとう言っちゃいましたよ。馬鹿というかなんというか……」

「ふふふ、そういう割には嬉しそうじゃないか? メープルよ」

「何を言ってるんですか、リシド様。気持ち悪いですよ~?」

「私は一応、公爵という立場なんだがな……」


 リシド様が何か言っているみたいだけれど、面倒くさいので無視することにする。


 私とリシド様は、怪しまれない程度の変装をして、ブリスド宮殿のパーティーに参加していた。姉さまが阿呆なことをした場合は仕方ないので仲裁に入ってあげようかと思っていたけれど……。まあ、以前の舞踏会での失態の罪滅ぼしとしてね。

 メリー・サンプライズ伯爵令嬢に虐められていたから、仕方なく助けてあげようかな、とか考えていたら……なんだか分からないけれど、シャルナ姉さまは完全論破したみたいだった。

 姉さまのベノム王子殿下を選んだ理由を聞いたメリー様は、なんだか呆けた表情になっているし……。

 メリー様はなんだか阿呆っぽく見えてしまった。まさか恋愛初心者の姉さまに、恋愛関係のことで言いくるめられるなんてね……馬鹿で世間知らずという意味では私と張り合えるのかもしれない。

 姉さまの理論は完全に恋愛初心者だからこそ成せる業と言える……だからこそ何よりも強いのだけれど。

「あの、メープル。私の存在にはちゃんと気付いているか? このパーティーに参加出来たのも、私のおかげなんだぞ?」

 なんだか雑音が酷いけど、とりあえず無視することにした。もちろん、再々教育中である私がこのパーティーに参加出来たことは、公爵様の権力のおかげということは分かっている。私だってそれくらいの分別は付けられるようになったつもりだ。

 でも、それと同時にリシド様は調子に乗らせてはいけないという直感も生まれていた。だからこそ、しばらくはこういう態度でいこうと思っている。彼のことをより深く愛するためにも……。



------------------------------



(シャルナ視点に戻る)


「はっ!?」

「ど、どうかしましたか? メリー様……?」


 私がベノム様を選んだ本当の理由……それを聞いた後、彼女はしばらくの間、無言になっていたけれど急に反応があったので驚いた。

「いえ……私のシャルナ様に対する想像が打ち砕かれたので、少々、驚いておりました」

「幻滅しましたか?」

「いえ、驚きはしましたが、シャルナ様の新しい視点を見つけることが出来て嬉しく思っています。ふふ、あなたは案外、夢見がちなお方だったのですね」

「そうですね……私は所詮は恋愛初心者ですので」

「なるほど、恋愛初心者ですか」


 そう、私は恋愛初心者なのだ。だから、怖がる必要なんて何もないのだ。


「ええ。恋愛初心者な分、妹のメープルよりも現実的には生きられません。恋愛に関してはインパクトを重視してしまうのでしょうね」

「うふふっ、そういう面があるのはよろしいのではないですか? 若いうちにしか体験できないことですし。私もそういう強烈なインパクトのある恋愛をしてみたいですわ」

「メリー様なら可能でございますよ、家柄的にも上級貴族になりますし、何よりもお美しいのですから」

「そう言っていただき、光栄でございますわ」

 この短い会話の間に、新たな絆が芽生えた気がした。私の今までの接触とは違う方向性で生まれた絆……この感覚は非常に重要かもしれない。

 少し離れた場所でベノム様とリュート王女様が微笑んでいるのが見えた。会話はおそらく届いていないはずだけれど、私の表情から成功したことを察知してくれたようね。嬉しくなった私は二人に手を振って応えていた。
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