50 / 58
50話 恋愛初心者の成せる業 その1
しおりを挟む
(メープル視点)
「うわ~~、姉さまとうとう言っちゃいましたよ。馬鹿というかなんというか……」
「ふふふ、そういう割には嬉しそうじゃないか? メープルよ」
「何を言ってるんですか、リシド様。気持ち悪いですよ~?」
「私は一応、公爵という立場なんだがな……」
リシド様が何か言っているみたいだけれど、面倒くさいので無視することにする。
私とリシド様は、怪しまれない程度の変装をして、ブリスド宮殿のパーティーに参加していた。姉さまが阿呆なことをした場合は仕方ないので仲裁に入ってあげようかと思っていたけれど……。まあ、以前の舞踏会での失態の罪滅ぼしとしてね。
メリー・サンプライズ伯爵令嬢に虐められていたから、仕方なく助けてあげようかな、とか考えていたら……なんだか分からないけれど、シャルナ姉さまは完全論破したみたいだった。
姉さまのベノム王子殿下を選んだ理由を聞いたメリー様は、なんだか呆けた表情になっているし……。
メリー様はなんだか阿呆っぽく見えてしまった。まさか恋愛初心者の姉さまに、恋愛関係のことで言いくるめられるなんてね……馬鹿で世間知らずという意味では私と張り合えるのかもしれない。
姉さまの理論は完全に恋愛初心者だからこそ成せる業と言える……だからこそ何よりも強いのだけれど。
「あの、メープル。私の存在にはちゃんと気付いているか? このパーティーに参加出来たのも、私のおかげなんだぞ?」
なんだか雑音が酷いけど、とりあえず無視することにした。もちろん、再々教育中である私がこのパーティーに参加出来たことは、公爵様の権力のおかげということは分かっている。私だってそれくらいの分別は付けられるようになったつもりだ。
でも、それと同時にリシド様は調子に乗らせてはいけないという直感も生まれていた。だからこそ、しばらくはこういう態度でいこうと思っている。彼のことをより深く愛するためにも……。
------------------------------
(シャルナ視点に戻る)
「はっ!?」
「ど、どうかしましたか? メリー様……?」
私がベノム様を選んだ本当の理由……それを聞いた後、彼女はしばらくの間、無言になっていたけれど急に反応があったので驚いた。
「いえ……私のシャルナ様に対する想像が打ち砕かれたので、少々、驚いておりました」
「幻滅しましたか?」
「いえ、驚きはしましたが、シャルナ様の新しい視点を見つけることが出来て嬉しく思っています。ふふ、あなたは案外、夢見がちなお方だったのですね」
「そうですね……私は所詮は恋愛初心者ですので」
「なるほど、恋愛初心者ですか」
そう、私は恋愛初心者なのだ。だから、怖がる必要なんて何もないのだ。
「ええ。恋愛初心者な分、妹のメープルよりも現実的には生きられません。恋愛に関してはインパクトを重視してしまうのでしょうね」
「うふふっ、そういう面があるのはよろしいのではないですか? 若いうちにしか体験できないことですし。私もそういう強烈なインパクトのある恋愛をしてみたいですわ」
「メリー様なら可能でございますよ、家柄的にも上級貴族になりますし、何よりもお美しいのですから」
「そう言っていただき、光栄でございますわ」
この短い会話の間に、新たな絆が芽生えた気がした。私の今までの接触とは違う方向性で生まれた絆……この感覚は非常に重要かもしれない。
少し離れた場所でベノム様とリュート王女様が微笑んでいるのが見えた。会話はおそらく届いていないはずだけれど、私の表情から成功したことを察知してくれたようね。嬉しくなった私は二人に手を振って応えていた。
「うわ~~、姉さまとうとう言っちゃいましたよ。馬鹿というかなんというか……」
「ふふふ、そういう割には嬉しそうじゃないか? メープルよ」
「何を言ってるんですか、リシド様。気持ち悪いですよ~?」
「私は一応、公爵という立場なんだがな……」
リシド様が何か言っているみたいだけれど、面倒くさいので無視することにする。
私とリシド様は、怪しまれない程度の変装をして、ブリスド宮殿のパーティーに参加していた。姉さまが阿呆なことをした場合は仕方ないので仲裁に入ってあげようかと思っていたけれど……。まあ、以前の舞踏会での失態の罪滅ぼしとしてね。
メリー・サンプライズ伯爵令嬢に虐められていたから、仕方なく助けてあげようかな、とか考えていたら……なんだか分からないけれど、シャルナ姉さまは完全論破したみたいだった。
姉さまのベノム王子殿下を選んだ理由を聞いたメリー様は、なんだか呆けた表情になっているし……。
メリー様はなんだか阿呆っぽく見えてしまった。まさか恋愛初心者の姉さまに、恋愛関係のことで言いくるめられるなんてね……馬鹿で世間知らずという意味では私と張り合えるのかもしれない。
姉さまの理論は完全に恋愛初心者だからこそ成せる業と言える……だからこそ何よりも強いのだけれど。
「あの、メープル。私の存在にはちゃんと気付いているか? このパーティーに参加出来たのも、私のおかげなんだぞ?」
なんだか雑音が酷いけど、とりあえず無視することにした。もちろん、再々教育中である私がこのパーティーに参加出来たことは、公爵様の権力のおかげということは分かっている。私だってそれくらいの分別は付けられるようになったつもりだ。
でも、それと同時にリシド様は調子に乗らせてはいけないという直感も生まれていた。だからこそ、しばらくはこういう態度でいこうと思っている。彼のことをより深く愛するためにも……。
------------------------------
(シャルナ視点に戻る)
「はっ!?」
「ど、どうかしましたか? メリー様……?」
私がベノム様を選んだ本当の理由……それを聞いた後、彼女はしばらくの間、無言になっていたけれど急に反応があったので驚いた。
「いえ……私のシャルナ様に対する想像が打ち砕かれたので、少々、驚いておりました」
「幻滅しましたか?」
「いえ、驚きはしましたが、シャルナ様の新しい視点を見つけることが出来て嬉しく思っています。ふふ、あなたは案外、夢見がちなお方だったのですね」
「そうですね……私は所詮は恋愛初心者ですので」
「なるほど、恋愛初心者ですか」
そう、私は恋愛初心者なのだ。だから、怖がる必要なんて何もないのだ。
「ええ。恋愛初心者な分、妹のメープルよりも現実的には生きられません。恋愛に関してはインパクトを重視してしまうのでしょうね」
「うふふっ、そういう面があるのはよろしいのではないですか? 若いうちにしか体験できないことですし。私もそういう強烈なインパクトのある恋愛をしてみたいですわ」
「メリー様なら可能でございますよ、家柄的にも上級貴族になりますし、何よりもお美しいのですから」
「そう言っていただき、光栄でございますわ」
この短い会話の間に、新たな絆が芽生えた気がした。私の今までの接触とは違う方向性で生まれた絆……この感覚は非常に重要かもしれない。
少し離れた場所でベノム様とリュート王女様が微笑んでいるのが見えた。会話はおそらく届いていないはずだけれど、私の表情から成功したことを察知してくれたようね。嬉しくなった私は二人に手を振って応えていた。
10
あなたにおすすめの小説
俺の婚約者は地味で陰気臭い女なはずだが、どうも違うらしい。
ミミリン
恋愛
ある世界の貴族である俺。婚約者のアリスはいつもボサボサの髪の毛とぶかぶかの制服を着ていて陰気な女だ。幼馴染のアンジェリカからは良くない話も聞いている。
俺と婚約していても話は続かないし、婚約者としての役目も担う気はないようだ。
そんな婚約者のアリスがある日、俺のメイドがふるまった紅茶を俺の目の前でわざとこぼし続けた。
こんな女とは婚約解消だ。
この日から俺とアリスの関係が少しずつ変わっていく。
【完結】熟成されて育ちきったお花畑に抗います。離婚?いえ、今回は国を潰してあげますわ
との
恋愛
2月のコンテストで沢山の応援をいただき、感謝です。
「王家の念願は今度こそ叶うのか!?」とまで言われるビルワーツ侯爵家令嬢との婚約ですが、毎回婚約破棄してきたのは王家から。
政より自分達の欲を優先して国を傾けて、その度に王命で『婚約』を申しつけてくる。その挙句、大勢の前で『婚約破棄だ!』と叫ぶ愚か者達にはもううんざり。
ビルワーツ侯爵家の資産を手に入れたい者達に翻弄されるのは、もうおしまいにいたしましょう。
地獄のような人生から巻き戻ったと気付き、新たなスタートを切ったエレーナは⋯⋯幸せを掴むために全ての力を振り絞ります。
全てを捨てるのか、それとも叩き壊すのか⋯⋯。
祖父、母、エレーナ⋯⋯三世代続いた王家とビルワーツ侯爵家の争いは、今回で終止符を打ってみせます。
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結迄予約投稿済。
R15は念の為・・
継母や義妹に家事を押し付けられていた灰被り令嬢は、嫁ぎ先では感謝されました
今川幸乃
恋愛
貧乏貴族ローウェル男爵家の娘キャロルは父親の継母エイダと、彼女が連れてきた連れ子のジェーン、使用人のハンナに嫌がらせされ、仕事を押し付けられる日々を送っていた。
そんなある日、キャロルはローウェル家よりもさらに貧乏と噂のアーノルド家に嫁に出されてしまう。
しかし婚約相手のブラッドは家は貧しいものの、優しい性格で才気に溢れていた。
また、アーノルド家の人々は家事万能で文句ひとつ言わずに家事を手伝うキャロルに感謝するのだった。
一方、キャロルがいなくなった後のローウェル家は家事が終わらずに滅茶苦茶になっていくのであった。
※4/20 完結していたのに完結をつけ忘れてましたので完結にしました。
持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
セントフェアファクス皇国徒士家、レイ家の長女ラナはどうしても持参金を用意できなかった。だから幼馴染のニコラに自分から婚約破棄を申し出た。しかし自分はともかく妹たちは幸せにしたたい。だから得意の槍術を生かして冒険者として生きていく決断をした。
婚約者は妹の御下がりでした?~妹に婚約破棄された田舎貴族の奇跡~
tartan321
恋愛
私よりも美しく、そして、貴族社会の華ともいえる妹のローズが、私に紹介してくれた婚約者は、田舎貴族の伯爵、ロンメルだった。
正直言って、公爵家の令嬢である私マリアが田舎貴族と婚約するのは、問題があると思ったが、ロンメルは素朴でいい人間だった。
ところが、このロンメル、単なる田舎貴族ではなくて……。
【完結】離縁王妃アデリアは故郷で聖姫と崇められています ~冤罪で捨てられた王妃、地元に戻ったら領民に愛され「聖姫」と呼ばれていました~
猫燕
恋愛
「――そなたとの婚姻を破棄する。即刻、王宮を去れ」
王妃としての5年間、私はただ国を支えていただけだった。
王妃アデリアは、側妃ラウラの嘘と王の独断により、「毒を盛った」という冤罪で突然の離縁を言い渡された。「ただちに城を去れ」と宣告されたアデリアは静かに王宮を去り、生まれ故郷・ターヴァへと向かう。
しかし、領地の国境を越えた彼女を待っていたのは、驚くべき光景だった。
迎えに来たのは何百もの領民、兄、彼女の帰還に歓喜する侍女たち。
かつて王宮で軽んじられ続けたアデリアの政策は、故郷では“奇跡”として受け継がれ、領地を繁栄へ導いていたのだ。実際は薬学・医療・農政・内政の天才で、治癒魔法まで操る超有能王妃だった。
故郷の温かさに癒やされ、彼女の有能さが改めて証明されると、その評判は瞬く間に近隣諸国へ広がり──
“冷徹の皇帝”と恐れられる隣国の若き皇帝・カリオンが現れる。
皇帝は彼女の才覚と優しさに心を奪われ、「私はあなたを守りたい」と静かに誓う。
冷徹と恐れられる彼が、なぜかターヴァ領に何度も通うようになり――「君の価値を、誰よりも私が知っている」「アデリア・ターヴァ。君の全てを、私のものにしたい」
一方その頃――アデリアを失った王国は急速に荒れ、疫病、飢饉、魔物被害が連鎖し、内政は崩壊。国王はようやく“失ったものの価値”を理解し始めるが、もう遅い。
追放された王妃は、故郷で神と崇められ、最強の溺愛皇帝に娶られる!「あなたが望むなら、帝国も全部君のものだ」――これは、誰からも理解されなかった“本物の聖女”が、
ようやく正当に愛され、報われる物語。
※「小説家になろう」にも投稿しています
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ化企画進行中「妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
部屋にこもって絵ばかり描いていた私は、聖女の仕事を果たさない役立たずとして、王太子殿下に婚約破棄を言い渡されました。
絵を描くことは国王陛下の許可を得ていましたし、国中に結界を張る仕事はきちんとこなしていたのですが……。
王太子殿下は私の話に聞く耳を持たず、腹違い妹のミラに最高聖女の地位を与え、自身の婚約者になさいました。
最高聖女の地位を追われ無一文で追い出された私は、幼なじみを頼り海を越えて隣国へ。
私の描いた絵には神や精霊の加護が宿るようで、ハルシュタイン国は私の描いた絵の力で発展したようなのです。
えっ? 私がいなくなって精霊の加護がなくなった? 妹のミラでは魔力量が足りなくて国中に結界を張れない?
私は隣国の皇太子様に溺愛されているので今更そんなこと言われても困ります。
というより海が荒れて祖国との国交が途絶えたので、祖国が危機的状況にあることすら知りません。
小説家になろう、アルファポリス、pixivに投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
小説家になろうランキング、異世界恋愛/日間2位、日間総合2位。週間総合3位。
pixivオリジナル小説ウィークリーランキング5位に入った小説です。
【改稿版について】
コミカライズ化にあたり、作中の矛盾点などを修正しようと思い全文改稿しました。
ですが……改稿する必要はなかったようです。
おそらくコミカライズの「原作」は、改稿前のものになるんじゃないのかなぁ………多分。その辺良くわかりません。
なので、改稿版と差し替えではなく、改稿前のデータと、改稿後のデータを分けて投稿します。
小説家になろうさんに問い合わせたところ、改稿版をアップすることは問題ないようです。
よろしければこちらも読んでいただければ幸いです。
※改稿版は以下の3人の名前を変更しています。
・一人目(ヒロイン)
✕リーゼロッテ・ニクラス(変更前)
◯リアーナ・ニクラス(変更後)
・二人目(鍛冶屋)
✕デリー(変更前)
◯ドミニク(変更後)
・三人目(お針子)
✕ゲレ(変更前)
◯ゲルダ(変更後)
※下記二人の一人称を変更
へーウィットの一人称→✕僕◯俺
アルドリックの一人称→✕私◯僕
※コミカライズ化がスタートする前に規約に従いこちらの先品は削除します。
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる