妹に婚約者まで奪われました!~彼の本性を知って、なんとかしてと泣きつかれましたが、私は王子殿下と婚約中なので知りません~

ルイス

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52話 ユアンの想い その1

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(ユアン王子殿下視点)


 ブリスド宮殿の私の部屋……そう、今私は私室で読書を楽しんでいるのだ。以前から読みたいと思っていた「恋愛初心者は思考が読めない!」というタイトルの本だった。とある庶民作家が書いたらしいが、なかなか面白いと巷では評判なのだ。

 その本を仕入れることが出来た為、好物のクロワッサンを食べ、コーヒーを飲みながら優雅に読書とシャレこもうかと思っていたのだが……邪魔が入っていた。それも、とても厄介な邪魔者だ。


「どうして、貴殿がここに居るんだ? メープル・アモネート」

「いえ、本来であれば、もっと前から謝罪に来る予定だったのですが……再々教育が、思ったよりも過酷でございまして……」

「いや、そういうことはどうでもいいんだが……」


 本日、シャルナの妹であるメープル嬢の訪問の依頼があったのだ。いきなりのことで驚いたというよりは……あまりに意外な人物の訪問に驚いたと言った方が正しいかもしれない。なぜなら、彼女との直接的な接点などないに等しいからだ。

 そのために、入室の許可は出したが、自然と警戒心も生まれて来る。


「謝罪と言ったか? メープル嬢」

「はい……謝罪でございます」

「よく分からないな。それは何に対しての謝罪なのだ?」

「大きくは二つございます。片方は……以前の舞踏会のところで、ユアン様に無礼をはたらいてしまったことをお詫び申し上げたいと思っておりました」

 あの時か……まあ、大体は予想通りと言えようか。明らかにわざとらしい倒れ方だったからな。しかし、あの時の謝罪とは……なかなかどうして。


「申し訳ございませんでした、ユアン王子殿下」

「ああ、その言葉に嘘はないと感じるよ。ありがたく受け取っておこう」

「そう言っていただき、光栄でございます」

「それで、もう一つの謝罪というのは何なのだ?」


 う~む、話が彼女に向かってしまっているな。とても読書どころではなくなってきたぞ。しかし、メープル嬢の謝罪を聞くのも心地よい気がするな。まあ、読書は寝る前にでも出来るのだ……今は彼女に集中するとしようか。

「こちらは……もしかしますと、ユアン様にとっては失礼に当たる事柄かもしれません。最悪の場合、不敬罪に問われてしまうかも……」

「心配するな、内容次第であることは間違いないが、余程のことでなければ、貴殿に罪を着せようとは思っていない。それで?」

「はい……我が姉、シャルナのことでございます。ユアン様ではなく、ベノム第三王子殿下を選んだことについて謝罪させていただきたいと思っておりました。あの姉は人は良いですし、貴族間の人脈づくりも私とは比べ物にならない程だったのですが……肝心の恋愛そのものは、本当に初心者でございまして……」

「ああ……うむ、そうか……」


 姉妹揃って私の腹にボディーブローを与えて来るな……せっかく忘れかけていたのに。ただ、本気で謝罪に来ているメープル嬢を邪険にするわけにもいかないか。

 いや、違うな。忘れかけていたというのはただの言い訳でしかない。私は本心ではシャルナを諦めていないのだから……。
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