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2話 パーティーへの参加 その1
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バルカン・ドネイブ侯爵との婚約解消はその後、無事に完了した。お父様やお母様の助力が大きかったのは言うまでもないけれど、とにかくバルカン様を納得させる形で終了したのだ。
それで、私はというと……意外にも婚約解消のショックが大きく残っていた。バルカン様への愛情はこれっぽっちも残っていないと断言できるけれど、何と言えばいいのだろうか、お父様達への申し訳なさでショックを感じていたのだった。
「気にする必要はないのだぞ、リリナ? お前の婚約解消の判断は正しかったのだし……」
「そうですよ、リリナ。あなたが気に病むことではないわ」
「ありがとうございます、お父様、お母様。そう言ってもらえるのはありがたいのですが……」
私はどうしても、自分を責めることをやめられなかった。せっかく、侯爵家との婚約が決まったのにそれをなくしてしまったのは、想像以上に私にダメージを与えていた……。
----------------------
「リリナ、ちょっと良いかしら?」
「お母様……はい、如何なさいましたでしょうか?」
それからしばらくしたある日、私の部屋にお母様が訪れた。一体、何のご用かしら……?
「リリナ……あなたの悩んでいる気持ちは、私としても嬉しいわ。そんな風に考えてくれる子に育ってくれて、本当に嬉しいと思っている」
「お母様……」
「でも、責任感が強いというのは必ずしもプラスの方向に進むわけでもないのよ。あなたにはもっと、前向きに生きて欲しいと思っているわ」
「前向きでございますか……?」
「ええ、この前の婚約解消なんて忘れるくらいに前向きに生きて欲しいの。と、いうわけで、今度のパーティーに参加して、良い人を見つけて来なさい」
意外な言葉がお母様から出て来た……まさか、次のパーティーに参加しろだなんて……。
「で、でもお母様……私の噂は広まっているでしょうし……」
「いいのよ、そんなこと。そんなことを気にしていたら、貴族令嬢なんて務まらないわよ。前向きに進んで、あなたの魅力を伝えて来なさい」
「お、お母様……」
いつもは控えめなお母様だけれど、この時は非常に強気な発言をしていた。もしかしたら、これがお母様の本性なのかもしれないけれど……。お父様は結構、尻に敷かれているのかもしれないわね。
でも、その強気な励ましは私に元気をくれた。瞳に生気が戻っていくのを感じる。
「畏まりました、お母様。これ以上ないお方を見つけてまいります」
「ええ、その調子よリリナ。あなたが本気を出せば、そのくらいワケないと信じているから」
「はいっ!」
よく分からないけれど、とても勇気を貰った気がする。根拠は何もないのだけれど、次のパーティーでは素敵な人が見つかる予感がしていた。
それで、私はというと……意外にも婚約解消のショックが大きく残っていた。バルカン様への愛情はこれっぽっちも残っていないと断言できるけれど、何と言えばいいのだろうか、お父様達への申し訳なさでショックを感じていたのだった。
「気にする必要はないのだぞ、リリナ? お前の婚約解消の判断は正しかったのだし……」
「そうですよ、リリナ。あなたが気に病むことではないわ」
「ありがとうございます、お父様、お母様。そう言ってもらえるのはありがたいのですが……」
私はどうしても、自分を責めることをやめられなかった。せっかく、侯爵家との婚約が決まったのにそれをなくしてしまったのは、想像以上に私にダメージを与えていた……。
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「リリナ、ちょっと良いかしら?」
「お母様……はい、如何なさいましたでしょうか?」
それからしばらくしたある日、私の部屋にお母様が訪れた。一体、何のご用かしら……?
「リリナ……あなたの悩んでいる気持ちは、私としても嬉しいわ。そんな風に考えてくれる子に育ってくれて、本当に嬉しいと思っている」
「お母様……」
「でも、責任感が強いというのは必ずしもプラスの方向に進むわけでもないのよ。あなたにはもっと、前向きに生きて欲しいと思っているわ」
「前向きでございますか……?」
「ええ、この前の婚約解消なんて忘れるくらいに前向きに生きて欲しいの。と、いうわけで、今度のパーティーに参加して、良い人を見つけて来なさい」
意外な言葉がお母様から出て来た……まさか、次のパーティーに参加しろだなんて……。
「で、でもお母様……私の噂は広まっているでしょうし……」
「いいのよ、そんなこと。そんなことを気にしていたら、貴族令嬢なんて務まらないわよ。前向きに進んで、あなたの魅力を伝えて来なさい」
「お、お母様……」
いつもは控えめなお母様だけれど、この時は非常に強気な発言をしていた。もしかしたら、これがお母様の本性なのかもしれないけれど……。お父様は結構、尻に敷かれているのかもしれないわね。
でも、その強気な励ましは私に元気をくれた。瞳に生気が戻っていくのを感じる。
「畏まりました、お母様。これ以上ないお方を見つけてまいります」
「ええ、その調子よリリナ。あなたが本気を出せば、そのくらいワケないと信じているから」
「はいっ!」
よく分からないけれど、とても勇気を貰った気がする。根拠は何もないのだけれど、次のパーティーでは素敵な人が見つかる予感がしていた。
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