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3話 パーティーへの参加 その2
しおりを挟む「ふう……緊張いたします……」
「あらあら、お母様にも言われたのでしょ? 前向きに進みなさいって」
「確かに言われましたが……」
私はマリナ姉さまと一緒に、とあるパーティーに参加していた。姉さまが一緒なのは、私に気を遣ってくれた結果である。
「それなら、しっかりしなさい。もう既にパーティー会場には入っているのよ? どうしようもないでしょう?」
マリナ姉さまの言う通りだった。周囲は既に貴族の方々で埋め尽くされている。何人かの人とは目が合ったりしたけれど、別段、私のことを笑いものにしているとか、そういう雰囲気はなかった。
「他の貴族の方々も忙しいのよ。コネクション作りに必死だったりとかで……リリナのことばかりに構っていられないのでしょうね」
「な、なるほど……」
私は婚約解消の噂をされる恐怖があって、パーティーへの参加は尻込みしていたけれど、自意識過剰だったのかもしれないわね。この雰囲気なら、バルカン様とのことを忘れる為に、思い切り楽しんだ方が幸せかもしれない。
まあ、お母様には素敵な男性を見つけて来ますと言ってあるし、本当に前向きに臨まないといけないしね。
「うんうん、やっぱりリリナは笑っている方が可愛いわ。その笑顔で何人か虜にしてきなさいよ」
「いえ……姉さま。そんな簡単にはいきませんよ……」
良くも悪くも、私は婚約解消をした身なのだから。貴族令息の方々が私を選ぶとは、簡単には思えなかった。マリナ姉さまは美しいから、すぐに相手なんて見つかると思うけれど。彼女の場合は既に、意中の人が居るけれどね。
「私は姉さまとは違います。私のことを愛してくれるお方が、そう簡単に現れるとは思っておりませんし……」
「そうかしら? あなたはモテる方だと思うけれど」
「……?」
マリナ姉さまは不思議そうに私を見ている。私がモテる? まさか……お世辞を言ってくれるのは嬉しかったけれど、そんなはずがなかった。ほら、周囲からの視線が集まって来ているし……きっと、婚約解消をした人物だと認知され始めて来たのね。
「リリナ・クラスト伯爵令嬢ではないか?」
「その隣はマリナ・クラスト伯爵令嬢ですわね……相変わらず、お美しいですわ」
「リリナ様も、この半年ほどで本当にお美しくなられましたな」
……? なんだか、美しいというワードが聞こえて来るのだけれど……どういうことかしら? 姉さまが美しいのは前から分かっているけれど、私にも言っていない……?
「知らなかったの、リリナ? あなたがバルカン・ドネイブ侯爵と婚約をしていたから、誰も声を掛けて来なかったのよ? それから、あなたは確かにこの半年間で美しく成長したと思うわ。特にスタイルなんかがね」
「ね、姉さま……? そ、それは……!」
確かに私は16歳の成長期と言えばそうだけれど……まさか、周囲の貴族は私の外見のことを言っていたなんて。
そんな中、私に近づいて来る一人の男性の姿があった。
これは……マリナ姉さまに用事がある、なんてオチじゃないわよね……?
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