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2話 何かがおかしい
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「初めまして、エレナ・ランカスター侯爵令嬢様。私はアミーナ・ファルスと申します」
「エレナ・ランカスターと申します。よろしくお願い致します」
私とアミーナ様は簡易的ではあるけれど、挨拶を交わした。その様子を満足そうな笑みで見ているのは、リグリット・バークス公爵令息様だ。私の婚約者様になる。
こうやって、私達3人が貴族街で会うだけでも、なかなか難しい事情を抱えていたりする。まずは、護衛兵の問題だ。
ダイダロス王国では基本的に、伯爵家系以上の人物には護衛が付けられる。御者のみ、メイドのみということは非常に稀な事態であった。つまり、私達3人が出会うだけでも、それぞれの護衛が何人も周囲を囲んでいるわけで……。
なかなかに厳重な警備体制となっていた。
「リグリット……久しぶりね」
「そうだな、アミーナ。相変わらず、君は美しいよ」
「まあ! リグリットったら……!」
「……」
別にヤキモチを妬いているわけではないけれど……私が目の前に居る状況での会話としては、少々、踏み込み過ぎていないかしら? そんなことを私は考えていた。それだけなら問題はなかったのだけれど……二人の会話はさらにエスカレートしていった。
「懐かしいわね、貴族街……久しぶりだわ」
「そうだな……君が長期遠征に行っていた間にも貴族街は色々と変わった。今度、新しく出来た店などを案内するよ」
「あら、駄目だわ、リグリット。婚約者のエレナ様がいらっしゃるのに……」
「エレナなら、問題なく承諾してくれるさ。まったく問題はないよ」
「あら、そうなの? それならお願いしようかしら!」
「もちろんだよ、よろこんで」
傍から見ればカップル同士にしか見えない……とても、私がリグリット様と婚約しているとは映らないだろう。いくら、相手が幼馴染とはいえ、少々、行きすぎな気がする。婚約者である私を完全に置いてけぼりにしているし。
嫉妬とかそういうこととは別に、リグリット様の態度に私は疑問が生まれていた。彼は幼馴染であるアミーナ様に肩入れ過ぎているのでは……? そんな気がしてしまう。
「あ、あの……リグリット様!」
「なんだ? エレナ?」
大事な時に邪魔をするなよ……リグリット様は完全にそのように言っている。
「あの、リグリット様……」
「なんだ!?」
明らかに強いリグリット様の語気……どういうことかしら?
「あの、この後のパーティーのことなのですが……」
本日はパーティーの予定も控えている。その打ち合わせも兼ねているはずだけれど、彼は完全に忘れているようだった。
「ああ……そういえばパーティーがあったか。見ての通り、私はアミーナとの時間を出来るだけ取りたいと思っているのだ。エレナに全て任せるよ」
「えっ? そ、そんな……!」
今回のパーティーはリグリット様が主催しているんですけど……そう言おうと思ったけれど、彼には聞こえなかったようだ。おかしい……今までは順調に動いていた歯車が、潤滑油不足で止まっていく気配が濃厚になっていた。
「どうした? 何か不満でもあるのか?」
「い、いえ……決して、そういうわけではないですが……」
「なら、任せても大丈夫だな。エレナならしっかりとこなしてくれるだろう? 私に恥だけはかかせるなよ」
「……」
やっぱりおかしい……アミーナ様に夢中になっているリグリット様は、今までの彼とは明らかに異なっているような……そんな気がしてしまう。
でも、こんなことは些細なことでしかなかった。リグリット様の今後の変貌に比べれば……。
「エレナ・ランカスターと申します。よろしくお願い致します」
私とアミーナ様は簡易的ではあるけれど、挨拶を交わした。その様子を満足そうな笑みで見ているのは、リグリット・バークス公爵令息様だ。私の婚約者様になる。
こうやって、私達3人が貴族街で会うだけでも、なかなか難しい事情を抱えていたりする。まずは、護衛兵の問題だ。
ダイダロス王国では基本的に、伯爵家系以上の人物には護衛が付けられる。御者のみ、メイドのみということは非常に稀な事態であった。つまり、私達3人が出会うだけでも、それぞれの護衛が何人も周囲を囲んでいるわけで……。
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「まあ! リグリットったら……!」
「……」
別にヤキモチを妬いているわけではないけれど……私が目の前に居る状況での会話としては、少々、踏み込み過ぎていないかしら? そんなことを私は考えていた。それだけなら問題はなかったのだけれど……二人の会話はさらにエスカレートしていった。
「懐かしいわね、貴族街……久しぶりだわ」
「そうだな……君が長期遠征に行っていた間にも貴族街は色々と変わった。今度、新しく出来た店などを案内するよ」
「あら、駄目だわ、リグリット。婚約者のエレナ様がいらっしゃるのに……」
「エレナなら、問題なく承諾してくれるさ。まったく問題はないよ」
「あら、そうなの? それならお願いしようかしら!」
「もちろんだよ、よろこんで」
傍から見ればカップル同士にしか見えない……とても、私がリグリット様と婚約しているとは映らないだろう。いくら、相手が幼馴染とはいえ、少々、行きすぎな気がする。婚約者である私を完全に置いてけぼりにしているし。
嫉妬とかそういうこととは別に、リグリット様の態度に私は疑問が生まれていた。彼は幼馴染であるアミーナ様に肩入れ過ぎているのでは……? そんな気がしてしまう。
「あ、あの……リグリット様!」
「なんだ? エレナ?」
大事な時に邪魔をするなよ……リグリット様は完全にそのように言っている。
「あの、リグリット様……」
「なんだ!?」
明らかに強いリグリット様の語気……どういうことかしら?
「あの、この後のパーティーのことなのですが……」
本日はパーティーの予定も控えている。その打ち合わせも兼ねているはずだけれど、彼は完全に忘れているようだった。
「ああ……そういえばパーティーがあったか。見ての通り、私はアミーナとの時間を出来るだけ取りたいと思っているのだ。エレナに全て任せるよ」
「えっ? そ、そんな……!」
今回のパーティーはリグリット様が主催しているんですけど……そう言おうと思ったけれど、彼には聞こえなかったようだ。おかしい……今までは順調に動いていた歯車が、潤滑油不足で止まっていく気配が濃厚になっていた。
「どうした? 何か不満でもあるのか?」
「い、いえ……決して、そういうわけではないですが……」
「なら、任せても大丈夫だな。エレナならしっかりとこなしてくれるだろう? 私に恥だけはかかせるなよ」
「……」
やっぱりおかしい……アミーナ様に夢中になっているリグリット様は、今までの彼とは明らかに異なっているような……そんな気がしてしまう。
でも、こんなことは些細なことでしかなかった。リグリット様の今後の変貌に比べれば……。
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