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19話 想い その1
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兄上……トランス王子殿下のこと。確かに私は昔から王子殿下のことが好きだったと思う。偶にしか会えないから、ヒーローみたいな存在だったし。
「カイル……やっぱり気になる?」
「うん……そうだね」
「そっか……」
カイルと婚約関係になった以上、彼が気になっているんなら応えないといけない事柄よね。
「トランス王子……兄上のことは確かに好きだったわ。それは兄妹という意味合いじゃなく、もっと深い意味合いで……うん」
私はカイルに兄上の想いを話しているけれど、とても恥ずかしいわ……。なんていうか、二股かけてるような印象与えていないかとか心配になるし……。カイルの様子はチラチラと眺めているけれど、どう感じて聞いているんだろう?
「ま、そういうことなんだけど……」
「今でも、トランス王子殿下のことは好きなのかい?」
「ううん……て、言ったら嘘になっちゃうかな」
カイルのことはもちろん好きだけど、ここで「もう完全に吹っ切れたし、まったく気にしていないわ」とまでは言えなかった。だって今まで好きな人で、それで婚約はしばらくはいいかなって思ってた時もあったんだし。絶対実らない恋だとはわかっていたけれど、そんな夢物語に浸っておきたい自分も居たことは事実。
「でも、私はカイルのことを一番に考えているわ。それは事実よ、それに兄上とは血が繋がってるんだから、どうしようもないじゃない」
「まあ、それはそうなんだけどさ」
「……ごめんね。こんな歪な感情持ち合わせてる令嬢が相手で……」
「ううん、大丈夫だよ。そんなの全然……アリシアのことは昔から知ってるんだしさ」
「あ、ありがと……」
カイルは優しく微笑んでくれている。私の兄上への想いも取り込んだ上で、私のことを愛してくれてるんだろ思うと、嬉しさが込み上げてくる。
「でもさ……」
「何? カイル」
「僕としても、やっぱり少しだけ不安なところがあるんだ」
「う、うん。そうだよね、やっぱり……」
私の言葉だけで全て信じてくれるとは考えていない。私とカイルはまだ付き合ったばかりなんだから、これから時間を掛けてゆっくりとお互いの信頼関係を構築していけば──。
「……えっ!?」
そんなことを考えていた私に、カイルからの不意打ちが襲った。不意打ちって言うと聞こえが悪いけど……彼は私の手を取り手繰り寄せ、唇を奪っていった。
「カイル……やっぱり気になる?」
「うん……そうだね」
「そっか……」
カイルと婚約関係になった以上、彼が気になっているんなら応えないといけない事柄よね。
「トランス王子……兄上のことは確かに好きだったわ。それは兄妹という意味合いじゃなく、もっと深い意味合いで……うん」
私はカイルに兄上の想いを話しているけれど、とても恥ずかしいわ……。なんていうか、二股かけてるような印象与えていないかとか心配になるし……。カイルの様子はチラチラと眺めているけれど、どう感じて聞いているんだろう?
「ま、そういうことなんだけど……」
「今でも、トランス王子殿下のことは好きなのかい?」
「ううん……て、言ったら嘘になっちゃうかな」
カイルのことはもちろん好きだけど、ここで「もう完全に吹っ切れたし、まったく気にしていないわ」とまでは言えなかった。だって今まで好きな人で、それで婚約はしばらくはいいかなって思ってた時もあったんだし。絶対実らない恋だとはわかっていたけれど、そんな夢物語に浸っておきたい自分も居たことは事実。
「でも、私はカイルのことを一番に考えているわ。それは事実よ、それに兄上とは血が繋がってるんだから、どうしようもないじゃない」
「まあ、それはそうなんだけどさ」
「……ごめんね。こんな歪な感情持ち合わせてる令嬢が相手で……」
「ううん、大丈夫だよ。そんなの全然……アリシアのことは昔から知ってるんだしさ」
「あ、ありがと……」
カイルは優しく微笑んでくれている。私の兄上への想いも取り込んだ上で、私のことを愛してくれてるんだろ思うと、嬉しさが込み上げてくる。
「でもさ……」
「何? カイル」
「僕としても、やっぱり少しだけ不安なところがあるんだ」
「う、うん。そうだよね、やっぱり……」
私の言葉だけで全て信じてくれるとは考えていない。私とカイルはまだ付き合ったばかりなんだから、これから時間を掛けてゆっくりとお互いの信頼関係を構築していけば──。
「……えっ!?」
そんなことを考えていた私に、カイルからの不意打ちが襲った。不意打ちって言うと聞こえが悪いけど……彼は私の手を取り手繰り寄せ、唇を奪っていった。
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