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第5話、サヤカ養女に成る
しおりを挟むそれから私は、ダンスを集中的に練習をする毎日ですが、トムウッド殿下が時々忙しい政務の合間にやって来て、ダンスの練習の相手をして下さいます。
トムウッド殿下を練習の相手にして踊る時は胸がドキドキしてうるさいのです、特に青い瞳で見つめられますと、心臓が破裂するのではないかと思うくらいなので困っているのです。
そんなある日、陛下に呼ばれてサヨに付いて行くと、何時もの王族の住む所と違う広い応接室みたいな部屋に案内されたのです。
部屋の中には、陛下夫妻とトムウッド殿下と
初めて会う陛下夫妻と同じ位の多分、夫婦と思われる方がいたのです。
私は、陛下親子に礼をした後に初めての方に向かい微笑みながらカーテシーを致しました。
何故かその夫妻は目を見開き、驚いていました。
陛下がいつものように私の頭を軽く撫でて。
「紹介しよう、二人はヤサモリァ・スタシャリ公爵と奥さんのセシャターだ。ヤサモリァ公爵はこの国の宰相なのだよ」
私は陛下に次ぐ高位の貴族に驚きましたが。
「初めまして、サヤカと申します、宜しくお願い致します」
「私はヤサモリァ・スタシャリ公爵で妻のセシャターだ」
「初めまして、妻のセシャターですわ、それにしても綺麗で、可愛いお嬢さんですわね、思わず見とれてしまいまして、御免なさいね」
陛下が悔しそうな顔で。
「だろう、容姿だけでは無く心も綺麗で学問も教授クラスだぞ、王族は女性を養女に出来ないから悔しいが、お主に預ける事にしたのだが、将来はトムウッドの・・・・!
いや言わないでおくが、分かるだろう?」
「陛下、分かりました、ご安心下さい、その日まで私たちの娘として大事に育てますので」
私が何が何だか分からずに首を傾げてキョットーンとしていると、王妃様が。
「サヤカ、よく聞いて、貴女をいつまでも王族と一緒に暮らさせる事は出来ないのよ。だから信頼できるスタシャリ公爵夫妻の養女にすることにしたのよ、分かって頂戴ね」
私はトムウッド殿下を見て。
もう会えないのだと思い、胸が苦しくなり思わず王妃様に抱き付き涙を流しました。
王妃様も私を強く抱きしめて。
「大丈夫よ、会いたいと時はいつでもいらっしゃい、セシャターに言えばいつでも会えるわよ」
養女になる事は以前から聞いていたので分かっていたのですが、実際にこの日が来ると可愛がってくれた、陛下夫妻と二人の王子様との別れが寂しくて、その晩はベッドに入り枕に顔を押し当てて泣きながら寝てしまいました。
其れから1週間後に、スタシャリ公爵夫妻が馬車で私を迎えに来ました。
私は、陛下の家族に別れの挨拶をして、トムウッド殿下に手を取られて馬車に乗せて頂き、王宮を後にしたのです。
馬車は豪華な馬車で、警護の騎士たち10人が周りを警護しながら王都を進みました。
私は、王都の街を見るのは初めてなので窓から外を見ていると、セシャター公爵夫人が。
「そう言えば、サヤカが街を見るのは初めてだったわね、落ち着いたなら一緒に買い物に行きましょうね」
「本当ですか?嬉しいですわ、楽しみにしています」
窓の外の景色を見ている間にスタシャリ公爵家の屋敷に着いたのです。
屋敷は大きくて、門から玄関まで馬車に乗ったままで進み、途中には庭園が広がり色んな花が咲いていまして絵本で見た公園みたいでした。
玄関に着くと、使用人が並んで出迎えてくれて、一目で執事と分かるおじ様が進み出て、私の手を取り馬車から降ろしてくれて。
「ようこそ、スタシャリ公爵家に、使用人一同を代表して歓迎いたします」
私も精一杯の笑顔で使用人の皆さんに向かい。
「ありがとうございます、初めまして、サヤカと申します、此れから宜しくお願いします」
使用たちから。
「何て綺麗なお嬢様でしょう、まるで妖精みたい!!」
と賛辞の声が聞こえて、私は恥ずかしくなりました。
玄関を入ると。
「サヤカお嬢様いらっしゃいませ」
何と、サヨが出迎えてくれたのです。
「えっ? サヨ、何で此処にいるの?」
「王妃様とセシャター公爵夫人の計らいで、知らない人ばかりでは,何かと大変だろうと私を専属の侍女としたのですよ、驚きました?ウッフフ」
「驚いたわ、最後の日にも見えないから、お別れも出来ずに悲しかったのに、こういう事だったのね、王妃様とセシャター公爵夫人に感謝しないといけないわね」
サヨに案内されて私の部屋に行くと、二階のとても広くて庭園の見渡せる眺めのよい部屋で、奥には別に寝室がありました。
部屋は、白いバラ模様の壁紙で上品で可愛らしい飾りの照明が付けられていて、私は、お姫様が暮らすような立派な部屋なので驚き。
「私には、不相応で勿体ないわ」
と呟いたのですがサヨが。
「何を言っているのですか、サヤカ様は今日からサヤカ・スタシャリ公爵令嬢ですよ、自分を卑下するのは絶対お止め下さいね」
と強く叱られたのでした。
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