上 下
7 / 38

第7話、サヤカ、スタシャリ公爵で暮らし始める,2

しおりを挟む

  私は、スタシャリ公爵の養女になつてからは、本当に幸せな毎日を送っております。
 
 ヤサモリァお父様も王国の宰相と言う激務の合間に、私との時間を作り可愛がってくれています。

   お母様のセシャター公爵夫人は、公爵令嬢としての心構えや礼儀作法、言葉使いなどを教えてくれて其れは優しく、お母様の少し福やかな身体で(絶対太っている訳では無いのですから)抱きしめられると天にも昇る気持ちです。

  弟のガリュウは、照れ屋で時々可愛い意地悪を致しますが、可愛くてまるで男の子の天使みたいなのです。

  使用人の皆様もサヨを筆頭に私を可愛がり、料理長などは私の為に特別なケーキを作り、お母様から差別だと言われて臍を曲げられたくらいでした。

  今は、ダンスの練習をしているのです。
王宮でも習っていたのですが、やっと踊れる位なので、完璧に踊れるようにダンス教師にしごかれて?いるのです。

  身体も丈夫になり、身長も伸びて165cmになりました。

  今日はお父様が帰って来たなら武術の練習をお願いするつもりです。

  サヨは令嬢には必要が無いと言っていますが、お母様は。

「女性の騎士もいるから、護身の為なら良いかも知れないわね」

  と賛成してくれました。

  その晩に食事が終わり、食後のお茶を飲んでいる時に私はお父様に。

「お父様、護身の為に武術を習いたいのですがどう思いますか?」

「いや、流石に可愛いサヤカの頼みでもそれは駄目だ、綺麗な手に剣だこが出来るのは許せない」

  私はお父様が一番弱い上目使いで。

「お父様は私がもしも、暴漢に襲われた時に身を守れなくても良いのですか?」

  お父様は目を泳がせながら。

「んん~!! ・・・・其れは絶対嫌だ。
仕方が無い、長剣は駄目だが、短剣と護身術なら許可しよう」

「お父様ありがとうございます、大好きです」

 そんなお父様を見てお母様が。

「オッホホ、やっぱりね、貴方はサヤカに激甘ですからね」

  弟が口を尖がらせて。

「フン、どっちもどっちだよ、僕には厳しい癖にサヤカ姉さんには二人共めっちゃ甘いんだから嫌んなるよ」

「あら!私は女で公爵家を継ぐ事は無いけれど、ガリュウは公爵家を継ぐ身なのよ、お父様とお母様がガリュウに厳しいのは将来の貴方を考えた愛情の裏返しよ、その代わり私がガリュウを甘やかしているわよ」

「チェ! ・・本当は分かっているよ僕も、もうすぐ11歳に成るからいつまでも子供扱いは止めてよ」

「じゃー、今度から私も甘やかさないで厳しくしようかしら」

「サヤカ姉さんにまで厳しくされたら、息が詰まるから止めてよ」

  私たちのやり取りに、両親が目を見合わせて。

「本当の姉弟より仲が良いな」

  と呟いていたのは私たちの耳には届かなかったのでした。

  それから暫くして、私とガリュウに武術を教えてくれる二人の教師が来ました。

  ガリュウの教師は元騎士団長をしていた60代の男性で、私の教師は現役の若い女性騎士です。

  私は女性騎士に服装を用意されて、着替えて公爵家の私兵の訓練所に行き、教師の女性騎士は、挨拶もしない内に。

「最初は身体作りからです、訓練所を20周走りなさい」

 と言われて走り始めましたが、5周目位で息が上がり苦しくなりましたが、何とか最後はフラフラになりながら、歩くようになり20周したのです。

 そんな私を見て女性騎士は冷たく。

「お嬢様の気まぐれでは無さそうね、10日で20周くらいは最後まで走れるようにしなさい、今日は此処迄よ」

 そう言い捨てると帰ってしまったのでした。

 私は唖然として、挨拶も出来ずに見送り、悔しくなり、10日後には絶対に20周以上走れるように成ろうと決意したのです。

 其の事をお母様に話すとお母様は。

「そうなの?あの子らしいわね、でも悪い子では無いわよ、其の内に分かるわよ、ウッフフ」

 私は、お母様の最後の笑いが気になりましたが、次の日から本で覚えていた準備体操をしてから、力の配分を考えて走り最後まで歩かずに走る事が出来たのです。(自分で自分を褒めてあげたのですわ、ウフフ)

 10日後にあの女性騎士が来て訓練所に行き。

「20周走ってごらんなさい」

 私は軽々と20周走り女性騎士を見ると目を見開き驚いた顔をしていたので、褒めてくれるのかと思ったのですが冷たい顔になり。

「まぁまぁかな! じゃぁ、10日後には50週走れるようにしてね」

 そう言うと又、帰ってしまったので、私は流石に。

「それは無いでしょう」

 と呟いたのでした。

 其れから50週を走り始めて5日後には50週を軽く走れるようになったのです。

 久しぶりにダンスの教師が来て練習をしたのですが、何と驚くことに身体に羽が生えたみたいに軽やかに踊る事が出来て、自分でも吃驚したのです、ダンスの教師が。

「もう完璧です、ダンスは卒業です」

 私は走り込んで足腰が鍛えられたのでダンスを上手く踊れるようになったのだと気が付き、あの女性騎士に感謝したのです。

 其れにお風呂に入った時に気が付いたのですが、身体が引き締まりスタイルも良くなり、恥ずかしいのですが胸も大分大きくなっていたのでした。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ぶち殺してやる!

現代文学 / 完結 24h.ポイント:695pt お気に入り:0

腐違い貴婦人会に出席したら、今何故か騎士団長の妻をしてます…

BL / 連載中 24h.ポイント:25,356pt お気に入り:2,323

今宵、鼠の姫は皇子に鳴かされる

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:631pt お気に入り:10

異世界に転生した俺が、姫勇者様の料理番から最強の英雄になるまで

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:807

【壱】バケモノの供物

BL / 完結 24h.ポイント:276pt お気に入り:309

貞操逆転世界の男教師

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:175

処理中です...