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第15話、サヤカ聖女の出生が分かる
しおりを挟む聖女披露パーティの翌日に陛下夫妻と両親、トムウッド殿下それに特別にショウジャ・ランゴバル公爵で将軍にも集まって貰い、ワルキュイ・ゴウマヤァ公爵の母娘が私を虐待していた本人だと告げたのです。
皆さんが激高して特にショウジャ将軍が。
「何と!! 許せん! 今すぐわしが軍を引きつれて叩き潰してやる」
陛下が慌てて。
「叔父上、落ち着いて下さい、まだ話の途中です、それに確実な証拠が無いのです」
「構わん、証拠など、聖女様の証言だけで充分だ」
王妃様が。
「頭に血が上ると冷静な判断が出来ませんわよ、ショウジャ将軍、落ち着いてくださいませ」
「フゥー、悪かった、落ち着いたのでもう大丈夫だ」
それから、私が神の目で見た事を話すと、お父様が考え込み暫くして。
「滅びた聖国の王妃の誘拐犯がワルキュイ公爵だったとは、確か聖国は、人口1万人位の大陸でも一番小さな国でアリーナ女神の聖地があった場所なので神聖化されていた国だった。だから、どこの国も侵略しなかったのだが、アリーナ女神を信仰せず、ガーダ武神を国教とする帝国が侵略して聖国を亡ぼしたのは確か16年前で、その時の聖国の王妃はお腹が大きく身籠っていたのだ。然しその王妃は行方不明だったが、どうやらワルキュイ公爵に誘拐されたようだな」
王妃様が。
「もしかしたなら、サヤカは聖国の王妃が身籠っていた子では無いのでしょうか?」
お父様が続きを話して。
「状況から考えてそうだろう。ワルキュイ公爵がその後、小さな聖国の領地を帝国から買い取ったのも、王妃を誘拐して子供を産ませて引き取ったのも、何かの取引材料に使おうとしたが役に立たないので森に捨てさせたと考えるのが正解と思うが、だがあの私利私欲で動く男だけは絶対に許せん」
私は真実を知り身体が震えて大声で泣き伏して叫んだのです。
「ワァッ・・・! 許せない!!・・・ワァッ・・・・・・・」
ショウジャ将軍も。
「帝国もあの男も叩き潰してやる、証拠などどうでもいい、サヤカ聖女様の魔法とわしの軍事力で戦いましょう」
陛下が、怒り心頭の怒気を含んだ本気の顔で。
「あの男は王国の裁判で処刑して、早急に王国を安定させて国民を守る為に、帝国と戦い亡ぼしてやる」
殿下が決意して頷き、お母様が私を優しく抱きしめて黙って背中を撫でてくれたのです。
暫くして私は落ち着き涙を拭いて皆さんに。
「お見苦しい姿をみせてすみませんでした。チョット、テラスに出て夜風に当たって気持ちを落ち着かせてきます」
テラスに出て、王都の夜景を見ながら夜風に当たり、気持ちを落ち着かせていると、暫くして殿下が来て私の横に並び。
「サヤカ、大丈夫か?それにしてもサヤカが聖国の王女だったとは驚いたよ。悲しいけれど自分の出生が分かって良かったんじゃない」
「はい、あの汚いゴウマヤァ公爵の子供じゃ無いと分かったのは嬉しかったですわ。ウッフフ」
「其の笑顔だよ、やっぱり、サヤカは笑顔が一番似合うよ、サヤカがいつも笑顔でいられるように僕も頑張るから」
「泣いて化粧も取れた顔を余り見ないで下さいな、恥ずかしいですから」
「サヤカは化粧なんかしない素顔でも綺麗で可愛いよ、どんな姿の時でも僕はサヤカが大好きだよ、出来たら僕の事をトムと呼んで呉れないかな?」
私は、殿下の言葉に頭からボオゥ~と湯気が出るくらい顔を真っ赤にして小さな声で。
「はい、分かりました、え~と、ト、トム」
私は顔を見られるのが恥ずかしくトムの胸に頭を押し付けたのです。
其の頃、部屋の中ではショウジャ将軍が。
「それにしてもサヤカ聖女様は綺麗で可愛いし、性格も優しく、わしの息子の嫁にしてわしの娘にしたいのだが」
王妃様がとんでもないと、いう顔で
「何をおっしゃっているのやら、サヤカ聖女にはもうトムウッドという婚約者がいますのよ、サヤカが森に捨てられて死にかけていたのを助けて面倒を見て来たのはトムウッドですよ」
「そうだったのか、わしの息子の嫁にするのは諦めるが、娘みたいに可愛がって我慢するか」
宰相が怒りだして。
「いや、サヤカと殿下がいつ婚約したのですか? わが家では婚約の許可を出した記憶は無いのですが、どういう事ですか?」
宰相の奥さんが苦笑いをして。
「アナタ! いい加減にしなさい、陛下から養女にする時の言葉を思い出しなさい。それにあの2人が想いあっているのが分かるでしょうに」
「その位、分かっているが陛下たちに取られるのが悔しいのだ、フンッ」
王妃様が呆れた顔で。
「本当に、此処の男どもは玩具を取り合う子供みたいでしょうがないわね」
私とトム(トムと呼ぶのは恥ずかしいのですが)が部屋に戻ると陛下が何故か勝ち誇った顔で。
「2人の婚約発表は何時が良い?」
と聞いてきたのです。
私とトムが顔を見合わせてトムが。
「まだ、早いですよ、今のゴタゴタが片付き帝国との決着を付けた後です」
「仕方ないな、今回は婚約の内定に留めておこう」
陛下の言葉で何故か私とトムの婚約が内定したのです。
わたしの母親のセシャターが。
「サヤカはすっかり恋する乙女ね、私も、もう一度あの頃に戻りたいわ」
と呟いたのは空気に溶け込み誰にも聞こえなかったのでした。
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