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第14話、サヤカ聖女の披露パーティで
しおりを挟む万雷の拍手で迎えられた私は、緊張の余り逃げ出したい思いでしたが何とか冷静を取り戻して挨拶をしたのです。
「只今、陛下よりご紹介にあずかりました聖女のサヤカ・スタシャリでございます。まだ年若い未熟者ですが王国の為に精一杯、聖女としての使命を全うする覚悟でございます。皆様のご指導を仰ぎながら聖女として頑張りますので宜しくお願い致します」
何とか無事に挨拶を終える事が出来てホッとすると、出席者から先程よりも大きな万雷の拍手が沸き起こり、隣の殿下が小さな声で。
「うん、良い挨拶だったよ、流石にサヤカ聖女だ」
次に三大公爵家の筆頭で前王の弟であるショウジャ・ランゴバル様が挨拶をして、正義感の強い武人で王国の将軍らしく綺麗に髭を蓄えた厳つい顔を綻ばせながら私の前に膝をつき。
「サヤカ・スタシャリ聖女様、聖女就任おめでとうございます。ショウジャ・ランゴバル公爵で将軍です。国民と軍部を代表してお祝いを申し上げます」
私の手を取り軽いキスをすると立ち上がり出席者に向かい。
「此の国難の時期に聖女になられたサヤカ・スタシャリ聖女様に害をなすものは、ショウジャ・ランゴバルが許さんと心得よ、以上だ」
そう言い放つと陛下が苦笑いをし、私が呆気にとられている間に自分の席に戻ったのでした。
スズリャ王妃様が挨拶に立ち。
「堅苦しい事はここまでです。後は皆さんパーティを楽しんで下さいね」
陛下が私に。
「立派な挨拶だったよ、よくやった」
王妃様も私の手を取り。
「サヤカは物凄いわね。何でも吸収して若いのに物怖じしなくてこの先が楽しみだわ」
「そんな事ないですよ。挨拶の時も逃げ出したい位でしたよ」
それからは、高位の貴族たちが次々に挨拶に訪れて対応に追われて大変でした。
最後に挨拶に来たのは三大公爵家のワルキュイ・ゴウマヤァ公爵でした。
太って腹の突き出た、脂ぎった顔で私を舐め回すように見てから言葉を発して。
「どれ、最後にわしが挨拶しようか、わしはワルキュイ・ゴウマヤァ公爵です。それにしてもサヤカ聖女様はお綺麗ですな、さぞ男に持てるでしょう、ワッハッハー、わしも若い時は王国一の美男子と言われたのですが、事業に成功して金回りが良くなり、美食の結果こんな身体になってしまいましたが、ワッハッハー」
私は、男の傲慢で無礼な態度に腹がたちましたが、それよりもゴウマヤァ公爵の後ろに付いて来た2人を見て身体中の血が逆流する思いがしたのでした。
何と! その2人は、忘れもしない私を虐待していた母娘だったのです。
母娘は、私が虐待して森に捨てた子供だとは気が付かないで、母親は狐顔の強欲そうな顔で歳に似合わない派手なドレス姿で私に。
「サヤカ聖女様、ごきげんよう。ゴウマヤァ公爵の妻のアバァリンです。よろしくお願いします」
娘は少し狐目の巨乳で色気たっぷりの美女だが、乳房がこぼれ落ちそうな胸の開いた真っ赤な派手なドレス姿で私を見下したような感じで。
「サヤカ聖女様、聖女に就任おめでとうございます」
直ぐに殿下の方に目をやり色気たっぷりにしなを作って。
「トムウッド王太子様、ごきげんよう、お久しぶりです。後でダンスをご一緒してくださいませ」
私は、何とか正気を保ちワルキュイ・ゴウマヤァ公爵を神の目で見て見たのです。
ワルキュイ・ゴウマヤァ公爵50歳
滅びた聖国の王妃の誘拐犯
ゴウマヤァ公爵家の入り婿
謀略に優れた詐欺師
弱い闇の魔法使い
王国を帝国に売り渡そうとしている、裏切り者。
何ともおぞましい悪人だったのです。
私は母娘の方は神の目で見る気にもなれず、見ませんでした。
ワルキュイ公爵に何処で何をしているのか分かるように、追跡の魔法と、記録の魔法を掛けたのです。
ゴウマヤァ公爵家の人達が私の前を去ると殿下が心配そうに私を見て小声で。
「サヤカ、大丈夫か?顔色が悪いよ」
「だ、大丈夫です、でも後で陛下夫妻と両親に話したい大切な話があります」
王妃様も私を見て。
「あの、傍若無人なゴウマヤァ公爵家の者たちのせいね、許せないわ。今に見ていなさい」
私は、心の底ではゴウマヤァ公爵家の人達を絶対に許さない!
証拠を集めて真実を暴き処刑台に送り、絶対に復讐をする決意をしたのでした。
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