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第13話、トムウッド殿下の思いがけない告白

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 今日は私、サヤカ聖女の披露パーティの日です。

 サヨや侍女たちに聖女らしく清楚な感じに着飾られて、王家からの迎えの馬車に乗り聖女騎士団に守られて王城に向かったのです。

 王城に着くと何と、トムウッド殿下が玄関まで迎えに出ていて、馬車に近づき手を差し伸べて私を馬車から降ろして其のままエスコートしてパーティの控室まで殿下の腕に私の手を添えて歩いたのです。

 その間、私の胸は五月蠅い程ドキドキして、私は、殿下の事が大好きで恋をしてる自覚をしました。

 でも相手は王国の王太子様なので、私の想いは片思いで終わると思うと悲しくなりました。

 控え室に着くと殿下は私を見つめて。

「大丈夫? あまり心配しないで良いからね、今日は僕が一緒にいて何か起きたら僕が対処するから安心しなさい」

「はい、ありがとうございます。宜しくお願いします」

「嫌だな、そんな他人行儀は止めてよ、僕の大好きなサヤカの為だったら苦にならないよ」

 私は殿下の言葉に耳を疑い。

「えっ? 殿下は私を女性として好きなのですか?」

「ン?気が付かなかったの?勿論そうだよ。サヤカの事が以前から大好きだよ、今すぐにでもお嫁さんにしたいくらいだよ」

 殿下の思いがけない告白に私の心臓が破裂して脳みそが弾け飛ぶのでは無いかと思う程にバクバクして、私は腰が砕けてしまい近くのソファーに座り込んだのです。

 殿下が追い打ちをかけるように。

「サヤカは僕の事を嫌いなの?」

 私は頭をブンブン振り、顔を真っ赤にして。

「大好きです」

 其れだけ言うのが精一杯でした。

 殿下が私の側に来て、綺麗な青い目で覗き込まれて(殿下、ち、近すぎです、その女性を破壊するような綺麗な顔を近づけないで下さい)と心の中で叫んだのです

 その時に、ドアをノックして陛下夫妻と私の両親が控室に入って来たのです。

 王妃様が首を傾げて。

「ン?・・・・何か甘い匂いがするわね」

 陛下がニヤッとして私と殿下を見て。

「甘い匂いの元は其の二人みたいだな」

 お父様とお母様が声を揃えて。

「娘は、まだ当分は嫁に出しませんから」

 私は、此の急な展開にただただ、赤い顔をして恥ずかしい思いで俯いていたのでした。

 殿下が小さな声で。

「急にゴメン、どうしても気持ちを抑えきれなかったから」

 私は、ただコックンと頭を縦に振り頷いたのでした。

 暫くするとパーティの係の者が来て。

「そろそろ、用意をお願いします。もう一度案内に来ますので」

 その言葉に私の両親が会場に向かい、その後に案内の人が来たので陛下夫妻の後をついて、殿下にエスコートされてパーティ会場に向かったのです。

 会場は王宮の一番広い大広間で行われており、私にとっては初めての場所なのです。

 ついこの間まで埃まみれの図書室に閉じ込められて虐待を受け、挙句に魔物の住む森に捨てられた私がこうして聖女となり、王宮の大広間で王国の主要な人たちに紹介されるとは夢にも思いませんでした。

 私を拾い、救ってくれた陛下夫妻や養女にして愛情を注いでくれたスタシャリ公爵夫妻とこんな私を大好きだと告白してくれたトムウッド殿下に心から感謝しているのです。

 大広間の会場に着くと司会者が。

「アスクルト王国、国王陛下タフパッド・アスクルト15世並びにスズリャ・アスクルト 王妃様の入場です」

 陛下夫妻が入場し、陛下が挨拶をして。

「皆の者、此の良き日に聖女様の披露パーティに集ってくれて礼を言う。早速、トムウッド王太子にエスコートさせてサヤカ聖女様に入場してもらおう」

 私は陛下の言葉が終わると殿下にエスコートされて会場に足を踏み入れたのです。

 私が会場の一段高い壇上に姿を現すと、会場から万雷の拍手が沸き起こったのでした。
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