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23話 シャロム辺境伯領地で
しおりを挟むシャロム辺境伯領都は、高い防御壁に囲まれていて、王都とは比べようがないがそれなりに賑やかだった。
しかし活気が無く、道行く人も元気がなさそうだ。
シャロム辺境伯の屋敷は、まるで城塞みたいでいざという時には住民たちを避難させる為の場所と準備もあり。
シャロム辺境伯が住民を大切にしているのが伝わった。
屋敷の中に入ると、中は貴族には珍しく質素で実用的な作りでシャロム辺境伯の人柄を表している。
その晩は、歓迎会が開かれてガンゾイ辺境伯が。
「大したお持て成しも出来なくて申し訳ない。我慢してください。此の領地は貧しくてナチラス聖国に対する備える事が精一杯で、領民は天使教会のある所に流失して残っているのは、龍神教の熱心な信徒ばかりになってしまい。住民が少なく困っているのです」
リュウトは、領内を通過中に感じた事を伝えた。
「此の領地の気候は良いのに作物が育たないのは、川が少なく土地が乾燥して荒れ地が多いのが原因と思います。近くに大きな河は無いのですか」
「領内の外れの北の方に大きな河はあるのだが、何分にも少し遠すぎて魔獣の多い森の中なのです」
「そうですか、明日は領内を見て回っても良いですか」
「自由に見て回って良い案を考えてくれたらありがたい。よろしく頼む」
次の日の朝早くから、ガンゾイ辺境伯が案内役になり、車で魔獣が住む森の中の河を見に行ったのだ。
森の入り口に近づき、車をマジックバックに入れて森の中を進むと、B級魔獣までの魔獣が50匹くらい出た。
リュウト以外の3人が難なく倒して進むと、ゴウゴウと音がして幅が300m以上はある大きな河があり大量の水が流れているではないか。
リュウトは、それを見て喜び。
「ガンゾイ、此れなら領内を作物の出来る土地に出来るよ」
「本当ですか? 此処から領内迄は遠すぎて疎水工事を進めるのは無理だと思います。それに工事は完成まで何年も掛かります」
「大丈夫だよ! 任せて」
河から100m位離れた所から土魔法で川を掘り始めて、あっという間に森の外まで幅40m深さ10m位の川を作り。
車に乗り込み車の進む速さで川を掘り進み、領内の荒れ地を流れて本流の南の下流に合流するようにその日の内にしたのだ。
ガンゾイが驚いていたが、次の日から荒れ地を土魔法で開墾し、森から落ち葉の貯まった栄養のある腐葉土を運び作物の出来る土地に変えて。
掘った川から更に支流を作り、開墾した土地に流れるようにした。
最後に森の中の残して置いた100mを本流に繋ぐと。
本流から水がゴウゴウと音を立てて新しく作った川に流れ出して荒れ地だった土地に流れ込み、わずか1週間で不毛の荒れ地が豊かな農地に変わっている。
わずか1週間で領内の荒れ地が豊かな農地に変わったのには、領主のガンゾイは勿論、見ていて領民や農民が驚き信じられなく。
更に此の土地に会う農作物を農民に配り、農作物に促進魔法を掛けて短期間で収穫すると奇跡だと騒ぎ。
「リュウト様は、神様だ」
と言い、尊敬して感謝していたのだ。
辺境伯領に来てから、1か月の間に農地改革や領兵、主な領民の鑑定をして適正な職業を教えた時は、鑑定の魔道具を早く完成させなくてはと思ったのだ。
そんな事をしている間に、ダンライとサヨナァは、領兵には過酷な訓練をさせ、森に連れて行き魔獣と戦わせて領兵は悲鳴を上げている。
だが、此の過酷な訓練で領兵たちは、最初は倒せなかったB級魔獣を簡単に倒せる実力を付けたのだ。
ナナファ―ナは、何処に行くのもリュウトと一緒に行動してノートに必要な事を記入して秘書の役目をしている。
そんなある日に、沼地に稲を見つけて辺境拍地は前世の東北に似ていたので、米を特産地にする為に、農民に栽培方法を教えて促進魔法で育てて稲を刈り取り。
領民に食べさせると好評で、更に取れた米で日本酒を作り試飲させると絶賛されて特産品とし。
その他にもブドウ等の果物も作りワイン作りも成功したのだ。
最初は促進魔法を使い短期間で試験的に色んな作物を作ったが、後は栽培方法を書いたノートを渡して農民が自分たちで栽培出来るようにして置いた。
2か月近く伯爵領内で活動して領民からは神のように崇められている。
龍人王とは公表出来ないのでガンゾイが龍神教の信徒だと言うと。
「リュウト様は、龍人王様が遣わされた使徒様だ」
と言い始めて、この地に一つある龍神教会にお参りする信徒が増えた。
後に、シャロム辺境伯領は農作物の生産地と酒とワインの生産地として有名になり、王都に次ぐ都市に発展した。
そんなある日に、リュウトとナナファ―ナは領都を見渡せる丘の上に夜景を見に来ていて。
「リュウトは、凄いわね。たった2か月でこの地を此処まで変えるなんて領民が神様だと言うのも分かるわ」
「僕は自分の出来る事をしただけだよ。僕にこんな能力を与えてくれたラブシャーヌ創造の女神様に感謝しているよ。おかげで大好きなナナファ―ナに出会いたしね」
「ん~、リュウトは最近、口が上手くなったわね。私が喜ぶような言葉を何気なく言えるし、他の女性を口説かないでよ。この国は男性が女性の半分で、奥さんを5人まで持つことが認められているからリュウトなら女性が群がりそうで心配なのよ」
「僕は、ナナファ―ナ以外には興味が無いから、心配しなくて大丈夫だよ」
2人は、寄り添い満天の星空の下で抱き合い初めてのキスを交わしたのであった
その晩にベッド入ったリュウトは、気が付くと見た事の無い白亜の小さいが綺麗な宮殿の前の綺麗な噴水が噴き出ている庭にいるではないか。
此れは夢だと思っていると、宮殿の中から真っ白な布をドレスの様に纏った、綺麗な女性が現れて。
「驚いているかしら。私は創造の女神ラブシャーヌよ。私の世界に合う優秀な魂を探していた時に貴方が死んで、貴方の魂が探していた魂だったので新しく生命を与えて龍神王として蘇らせたのよ」
リュウトは、此れが夢では無いと思い。
「どうして、凡人の僕を選んだのですか?」
「ウッフフ、選んだ理由はないわ。ただあなたの魂は驚くほど純粋で綺麗だったから選んだのよ、迷惑だったかしら」
「いえ、第二の人生をありがとうございます。今は感謝しています」
「オッホホ、貴方は正直ね。リュウトを呼んだのは、封印しておいた力を全開にする為よ。鑑定の魔道具が使えないのも時期が来るまで封印していたからなの。
この世界を守るためには、貴方の力が必要でそろそろリュウトの力を全開にしなければいけない時期に来たのよ。ちょっと、我慢してね」
創造の女神ラブシャーヌがそう言うと身体が光始めて燃えるように熱くなり意識を無くなしたのである。
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