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43話 ナチラス聖国の動向
しおりを挟むリュウトたちが、魔法の訓練を終えて砂漠から領地に戻ると、諜報部のハンドイがナチラス聖国とドアイル帝国のその後の動きを報告に来て。
「リュウト様、聖国と帝国の動きがおかしいく不気味なほどに何の動きも無いのですが」
「俺も、直ぐにでも何か仕掛けて来るか宣戦布告をしてくるかと思っていたが、意外だな」
「はい、両国には50人の諜報員が監視していますが軍の移動も無く、普段と変わりなく諜報員たちも余りにも動きが無く静かなので戸惑っています」
「分かった。引き続き監視の手を緩めずに何か動きがあったら知らせてくれ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その頃ナチラス聖国の大聖堂の奥の部屋では、堕天使でサリスン・ナチラス教皇と聖騎士団長で魔人ゲドウに同じく二人の第一分身(子供?)で魔人の今は帝国のギャラン新皇帝の3人が密談をしていたのだ。
堕天使の教皇が苦々しそうに。
「巫女長がまた失敗をしおって、あの突然、現れたリュウト公爵の母親を拉致して人質にして、リュウト公爵誘き出して殺そうとしたが母親の誘拐に失敗したのじゃ」
ギャランが軽蔑した顔で。
「彼女にオスガン王国を任したのは間違いだったようですな」
「そうかもしれない。どうも、あのリュウトと言う者が現れてからは失敗続きじゃわい。あ奴に邪魔をされてことごとく失敗しているのだ。ゲドウはどう思うのじゃ」
「そうですな、教皇様はリュウトと言う者が龍神王かと疑っているのですか?わしも疑っているのですが、もし、龍神王なら2千年前の様に直ぐにでも我々を倒しに来ると思うのです。未だにそんな動きを見せないのと言う事は龍神王と違うのかもしれませんな」
「ふむぅ、其処なんじゃ。素性を調べさしたが貧民街生まれなのにどういうわけか母親が孤児院の園長になり、リュウトはその息子だが、短期間で騎士爵から、天使教会の追放と反逆を企てたゾンダイ公爵を倒した功績で、異例な事に公爵になったらしい。もし、あ奴が龍神王なら我々が堕天使と知っていて、ゲドウの言う通り直ぐにでも倒しに来るはずだ。今だに倒しに来ないのは、どうしてか分からんのじゃ。だから龍神王かどうか判断出来ずに迷っているのじゃ。2人はどう思う」
ギャランが恐る恐る発言して。
「そのリュウトと言う者が龍神王だった場合は、我々に勝ち目はあるのでしょうか」
「馬鹿者! 何を言うか。堕天使から魔人に昇格したわしらは、この世界最強で他にもわしらの分身がいる。、魔物を召喚出来る今は、2千年前の様に負けるはずが無く。今回は此の大陸どころか天界までも我々の支配下にしてくれるわ」
「そうよのぅ~。前回はA級魔物までしか召喚出来なかったが、今回はSS級魔物も召喚出来そうで数も前回は5千だった。今回は5万の魔物を召喚出来そうだと報告が来ておる。それに前回は、龍神王の配下に4人の強力な魔法使いと吸血王がいたが、今回はいないみたいだ」
ギャランが喜んで。
「それなら、軟弱な人間の兵士に頼らなくても勝てますな」
「馬鹿者、人間の兵士は捨て駒にして戦えばこちらが有利に戦えるのを忘れるな」
「はい、承知しています。奴隷兵も増やしております、実際に魔物を召喚する所を見てみたいです」
「よかろう。私についてまいれ」
教皇に付いて飛んで行き、広い荒れ地に降りると教会のような建物があり。中に入ると50人の巫女がいて教皇の姿を見ると全員が膝を付いて。
「教皇様、いらっしゃいませ」
「召喚の方は上手くいっておるか」
「はい、S級の魔物は召喚出来るようになり、今はSS級魔物の召喚出来るように励んでおります」
「そうか、ではS級魔物を召喚して見せてくれ」
巫女の一人が召喚魔法を使い始めると、
最初に黒い霧が立ち込めその中にゆらゆらと真っ黒な洞窟が現れて、その洞窟の中から、鎧姿の巨大なオーガが斧を持った姿で現れたのだ。
豚顔のオーガは体長が5m位ありオーガの中の王、オーガキングで其の斧を一振りすれば人間の兵士なら20人以上は吹き飛ばす力があると言われている。
「あの魔物を、一度にどの位召喚できる」
「はい、千体は可能です。もう少し下級の普通のオークとゴブリンキングなら1万体が可能です」
付いて来たギャランは喜色満面の笑顔で。
「教皇様、素晴らしいですな。此れならゲドウ様の言う、天界を手に入れるのも可能だと思います」
「巫女よ、SS級魔物を召喚出来るにはいつ頃になる」
「はい、早ければ半年後、遅くとも1年後には召喚が可能になります」
「ゲドウよ、此の巫女たちがSS級魔物を召喚出来る様になったら知らせよ。その時こそ我々がこの世界と天界を手に入れる為に立ち上る時だ。それまでは敵に特に龍神王と思われるリュウト公爵には知られないようにしなさい」
「はい、承知致しました。表だった行動は控えます」
こうして、聖国と帝国は不気味な程、鳴りを潜めていたのだ。
教皇とゲドウは大聖堂に帰り、2人と別れたギャランは帝国に帰ったのである。
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