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47話、帝国と公国が開戦
しおりを挟むハンドイが急いで来たのか息を切らして来て。
「敵が動き始めました。聖国ではなく帝国が兵を帝都に集めて攻撃の準備を始めました。何処に向かうかは、まだ分かりません」
「そうか、如何やら宣戦布告なしで始めるつもりみたいだな。帝国が攻撃を仕掛けるとしたら公国だろう。もしかしたら俺の領の可能性もあるが公国には連絡したか」
「はい、通信機で連絡しました」
ベレー帽特殊部隊にいつでも出撃出来る準備をさせて、サビオとドアイル帝国との境界線に建てた砦に移転した。
防御壁の上から、偵察用のドローンを飛ばして帝国側を偵察したが此の砦の近くには帝国軍の姿が見えなかった。
聖国に潜入しているサスハに連絡して様子を聞いたが聖国軍に動きは無かったのだ。
帝国が何処に進むのか分からないのでそのまま砦でドローンを飛ばして偵察していると、サビオが。
「もしかすると、帝国は公国と此処の二か所を同時に攻撃するつもりかも知れませんね」
「うん、その可能性もあると思うよ。帝国軍は5万もいるから、両面作戦も考えられるな」
ドローンを飛ばして偵察をしていると、やっと帝国軍を見つける事が出来た。
帝国軍の数は、思ったより少なく奴隷兵を先頭に2万人位で公国とリュウトの領地の分岐点に差し掛かり。
二手に分かれるか一方方向に進むのか見ていると全部が公国の方面に進んだのだ。
公国にいる、ナナファ―ナとライナに連絡を入れて。
「帝国軍2万が公国に向かったから、予定通りに準備をして作戦を実行してくれ」
「はーい、了解です。私たちで帝国軍を壊滅させますわ」
「ナナファ―ナとライナの実力は、堕天使との戦いまで隠しておきたいので、どうしても以外は公国軍に任せなさい」
側で聞いていたサビオが。
「流石にリュウトだな。本命には手の内を隠しておくつもりか」
「うん、今は前哨戦だからね。でも帝国軍はあの2万の兵士たちだけで公国と戦って勝てると思っているのかな」
「私も、そう思っていました。もしかしたら、後で魔物を召喚する作戦かもしれない」
「そうか、そうかも知れないな。此処はサビオに任せて俺は公国の様子を見に行くが何かあったら連絡してくれ」
領地の守りをサビオに任せて公国の砦に移転したのだ。
公国の砦に着くと、ナナファ―ナとライナが側に来てライナが。
「あれ、リュウトもう来たの。帝国軍の姿はまだ見えないわよ」
「うん、分かっているけど。もしかしたら魔物を召喚するかも知れないので様子を見に来た」
ナナファ―ナが自信満々に。
「S級魔物位の魔物なら、私たちで大丈夫なのに、でもリュウトの顔を見られたかから嬉しいわ。ウッフフ」
リュウトたちが話していると虎獣人の軍務大臣ザーガイが来て。
「リュウト様、久しぶりです。帝国軍がやっと動きましたな。これまでとは、違う我らの力を見せつけて帝国軍を壊滅して見せますぞ。ワッハハ」
「ザーガイは相変わらずだな、期待しているよ」
ザーガイは胸をドーンと叩いて。
「ガッハハー 任せて下さい」
公国軍の陣地を見て回ると、防御壁の上には、魔法部隊、弓部隊、魔銃部隊の遠距離を狙う為にリュウトが作ったライフル魔銃隊が配置に付いていた。
防御壁の門の前には、1万の兵士が戦いに備えて以前と違い自信に満ちた顔で待機している。
此処でもドローンを飛ばして帝国軍が来る方向を偵察していると、帝国軍が進んで来るのが見えて先陣は予想通りで。
盾にする為の千人位の奴隷兵で奴隷兵は獣人族が多く俺は何とか奴隷兵を助ける方法が無いか考えたのだ。
帝国軍は、防御壁が見えて来ると、進軍を止めて奴隷兵の後に魔法部隊、その両側に弓部隊その後ろに騎馬部隊、最後に本隊の布陣を敷き。
その中から将校と思われる髭面の男が使者の旗を掲げて防御壁に近づき、大声で。
「我々は、此の大陸を統一する為に公国に宣戦布告する。降伏するなら我が国の属国として自治権を認める。即刻降伏しないなら、踏み潰し全員を奴隷にする。返答せよ」
虎獣人の軍務大臣ザーガイが防御壁の上から使者を見下ろして。
「ガッハハー! 笑止、踏み潰されるのは帝国軍の方だ。帝国軍は馬鹿の集まりか貴様らの方こそ降伏した方が身のためだ」
使者の髭面の男は顔を真っ赤にして。
「何だとー! 後で後悔するが良い」
リュウトは、その様子を見てまるで前世の戦国時代の様な遣り取りに思わず笑ってしまった。
1時間ほどは、両軍の動きが無く帝国軍は防御壁があるので動けないでいた。
帝国の魔法部隊が火の玉で攻撃した来た。
ナナファ―ナがすぐさま結界を張ると、火の玉は防御壁の前で結界に当たり消滅してしまい。帝国軍の動きが止まってしまった。
如何やら魔物の召喚は無いと思い、奴隷兵を助ける為に考えていた方法を実行して防御壁の門を開けさせ本体の兵士2千を門の前に出して出陣させたのだ。
帝国軍は、それを見て奴隷兵に突撃を命じ。奴隷兵が突撃して来た。
味方の兵士は、適当に戦いながら退却して門の中に入ると、奴隷兵が退却した公国兵を追って防御壁の中に入って来たのだ。
奴隷兵と後ろの部隊との間に土魔法で50m位の幅、深さ10mの溝を作ると、帝国の部隊は進めなくなり、其処で止まったので防御壁の門を閉じたのだ。
虎獣人ザーガイが防御壁の中に入って来た獣人族の多い奴隷兵に向かい大声で。
「わしは、公国の軍務大臣のザーガイだ。我が同胞たちよ、ようこそ公国に。我々は君たちと戦う気は無い。歓迎して奴隷の首輪を外して上げるつもりだから武器を捨てて降伏して欲しい」
奴隷兵たちは、此の事の成り行きに戸惑っていた。奴隷兵の指揮官と思われるザーガイと同じ虎獣人が。
「それは本当かー! この奴隷の首輪が外せるのか」
ナナファ―ナが虎獣人に近づき。
「本当よ。手始めに貴方の奴隷の首輪を外して上げるわ」
ナナファ―ナが聖の光を虎獣人に放つと、奴隷首輪がポロリと外れて地面に落ちたのだ。
その様子を見ていた奴隷兵は、信じられないのかシーンとしたが直ぐに「ワァ―」と歓声が上がり。
『自由だー!! 自由になれる! 家族に会えるー!』
全員が武器を捨てて抱き合って喜びの声を上げたのだった。
リュウトは、防御壁の上からその様子を見て嬉しくて思わず涙が出そうになり、上を見て涙をとめたのだ。
リュウトとナナファ―ナが奴隷兵の首輪を外し終わり、ザーガイが解放された奴隷兵に向かい。
「此れで君たちは自由だ。家族の元に帰る者は帰るが良い、帝国と戦う者は此処に残っても良い。好きにしてくれ」
殆どの奴隷兵は、憎い帝国と戦う事を選んで公国軍に合流した。こうして帝国の奴隷兵たちを助ける事に成功したのである。
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