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第1章:NAMELESS編-渋谷戦

[第26話:Asparagus]

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渋谷スクランブル交差点で、3つの人影が対峙する_


「…いいか白峰…恐らくチャンと沫梨が戦線復帰できる可能性は0だと思った方がいい。こいつは、俺達でぶちのめす…。」

獅蘭は、ニヤリと笑みを浮かべ、固唾を飲んだ。

「…言われなくても…ノックアウトしますっ!!」

白峰はそう言うと、両拳から炎のようなオーラを吹き出した。

「…ふっ…そうじゃねぇとなぁ?白峰。」

獅蘭も、手にした"永猿棒"に橙色のオーラを纏わせた。

獅蘭と白峰は、ウルセウスに向かって同時に飛び出すと、ウルセウスの周囲を囲うようにそれぞれ拳と"永猿棒"を振るった。

「…"炎凰装えんおうそう炎鳥翔飛拳フルフレイムスクリュー"っ!」

「…"斉天大聖:兆覇門ちょうはもん"っ!」

2人の渾身の一振りは、ウルセウスを挟み撃ちした。
しかしウルセウスは、最も簡単に片腕ずつその攻撃を受け止めた。

「…くそっ…何か勝機はねぇのかよ…」

獅蘭は険しい表情でそう呟いた。

「…攻撃は当たっても避けられるか、受け止められてしまう…ヤツの動きを封じて叩くしか…。」

白峰は、早くも次の攻撃体制に入りながらそう呟いた。

「…っつ!!それだっ!!」

獅蘭は突然そう叫んだ。
叫び声に驚き、白峰は攻撃体制を辞めた。

「…なんですかっ…!びっくりしたなぁ…」

白峰は呆れた表情で獅蘭に言った。
獅蘭を見ると、彼は既に何かを悟ったように迷いのない表情でウルセウスを見つめている。

「…いいか白峰ぇ…お前はそこで突っ立って、俺が合図するまでに、その拳にありったけのエネルギー溜めとけっ!」

獅蘭はそう言うと、ニヤッと笑みを浮かべた。

「…行くぜぇ…持ってくれよ。俺の身体ぁぁぁ!!」

獅蘭は、叫び声と共にウルセウスに向かって突っ込んだ。

「…"斉天大聖:完全開門アンリミテッド"っ!!」

獅蘭は、これまでとは違う澄んだオレンジ色のオーラに包まれ、一瞬にしてウルセウスとの距離を詰めた。

「…いい加減分かれよ…何度やっても結果は同じだっ!!」

正面から向かってくる獅蘭に対し、ウルセウスは暗黒のオーラを纏った右腕を引き、攻撃体制に入った。

ウルセウスが攻撃を放とうとすると、正面から向かってきたはずの獅蘭の姿が一瞬にして目の前に迫っていた。

「…終わりだ、クソ野郎っ!!」

獅蘭は、左手でウルセウスの顔を掴むと、ウルセウスの背後に回り、"永猿棒"を背中に突き刺した。

「…"斉天解放せいてんかいほう: 京垓門けいがいもん"っ!!」

"永猿棒"は、勢いよくウルセウスの身体に纏わりつき、ウルセウスの動きを封じた。

「…まだまだぁぁ!!"斉天封式せいてんふうしき: 垓猿之閂がいえんのかんぬき"」

獅蘭は、右手に持つ"永猿棒"を思いっきり引っ張り、ウルセウスの正面にできた2つの輪っかに突き通した。

"永猿棒"により、身動きの自由を封じられたウルセウスは、必死に抵抗する。

「…貴様…何をするつもりだ…!」

背後にて、"閂"を押さえる獅蘭を睨みつけ、ウルセウスは言った。

「…何するかって?…いいぜ。少しヒントをやろう。テメェは今、俺の"門"に閉じ込められている。俺は、テメェを死んでも門から出さねぇ…。"門"ごと、テメェをぶっ殺すっ!」

獅蘭はそう言うと、正面に向かい立つ白峰に向かって叫んだ。

「白峰ぇぇ!!今だ!やれぇ!!貫け!!」

白峰の右腕には、彼の持つエネルギーの殆どが溜まり切っていた。
白峰は、獅蘭の叫びを聞いて驚きを隠せずにいた。

「…貫け…だと!?」

「ごちゃごちゃ考えんじゃねぇ!!テメェは、こいつをぶっ潰すことだけ考えやがれ!!」

獅蘭がそう叫ぶと、ウルセウスはさらに抵抗した。

「…させる…かっ!!」

ウルセウスは暗黒のオーラを放ちながら、獅蘭の"永猿棒"を必死に振り解こうとしている。

「…どうなっても…知りませんよっ!」

白峰は戸惑いを払って覚悟を決めた表情で、ジッと獅蘭とウルセウスを見た。

「…"焔焱之一閃えんえんのいっせん"っ…」

白峰は、引いた右腕に溜め込んだエネルギーを、一気に拳に集めた。
そして次の瞬間、そのエネルギーを寸分の狂いもなく、ウルセウスの胸元中心に撃ち放った。

「…ぐっ…グハァッ…!!」

ウルセウスの黒く鋼鉄のような肌は、鋭い炎によって、徐々に焼かれていく。

「…白峰ぇ!!そんなんじゃやれねぇ!!底力…出しやがれぇ!!!」

獅蘭は、必死にウルセウスの動きを封じながら、白峰に向かって叫んだ。

「…どうなっても…しらねぇっ!!!」

白峰の叫び声と共に炎の威力は増し、ウルセウスの身体を焼き貫いた。

背後でウルセウスの動きを封じていた獅蘭と共に、ウルセウスの姿は爆風にかき消された。


「…どうなった…。」

白峰は、力の反動によりその場に立ち尽くすのがやっとであった。

すると、爆風が晴れて、そこには胸部にぽっかりと穴の空いたウルセウスが立っていた。

「…まさか…ここまでとはな…。」

ウルセウスの身体が、次第に薄く消えかかっていく。

「…好きにはさせないさ…。その為に俺たちが存在する…。」

白峰は、笑みを浮かべてそう言った。

「…ふっ…ヴァリアルもやられたか…。だがな…バキ…オラは…こんなもんじゃ…ねぇ…。」

そう言うと、ウルセウスの姿は消失した。

「…バキオラ…。隊長…頼んだよ…。」

白峰は、そう言い残すと地面に倒れた。



同時刻、お台場。

海岸沿いにあるテレビ局の球体展望台の上に、2人の人影があった。
そこへ、第2部隊改、矢島を除く蒼松、蓮田、スミレが到着する。

「あらやだ。わざわざこんな危ないところに来てくれたの?」

2人の人影のうち、女と思われる方はそう言った。

「ていうか、初めましてよね?あたしはラスコ・テキーラ。んで、こっちがラスコ・ローム。よろしくね♪」

ラスコ・テキーラと名乗る女は、特殊な編み込みを入れた緑色の髪を靡かせながら、そう言ってウインクした。
隣にいる、ラスコ・ロームと呼ばれる人影は、真っ黒のローブに身を包み、フードを深くかぶっているので、その正体は分からない。

「まあ、そうは言ってもあなた達とは今日でお別れなんですけどね…残念ねぇ♪」

ラスコ・テキーラはそう言うと、黒いオーラに身を包んだ。

「あ、そうそう!初めましてでもないのよね。この前あなた達のお友達、1人潰したからねぇ♪」

ラスコ・テキーラのオーラは、みるみる大きくなり、やがてラスコ・ロームの姿も包んだ。

「…おい、それってまさか…。」

蒼松はそう言うと、目の前の2人の姿に固唾を飲んだ。

『ソウヨォ!アタシタチハ2リデ1ツッ!ラスコ・ロームナノヨォォォォォォッ!』

ラスコ・テキーラの黒いオーラは、テレビ局の建物と同じほどの高さまで広がった。
そして、それはみるみる形を整え、巨大な恐竜のような姿になった。

「…おいおい、こいつこの前の…。」

蓮田は、ラスコ・ロームを名乗る巨大怪獣を見て、そう言った。

「…こいつを目の当たりにしたら、蒼松隊長がこの前言ってた事も、ちょっとは当たってるのかもしれないね…。」

スミレも、驚いた表情でそう言った。

「"ラスコ・ローム"。それが"四神"の最後の1人ってわけか…」

蒼松はそう言うと、"白愉兎ラッキーラビッツ"を構えた。
蓮田とスミレも、それぞれ"箱装ボックス・アーマー"を解放し構えた。

すると、一同の上空から1人の人影が現れた。

「俺たちの相手はこいつか。こりゃ殺り甲斐がありそうだぜ。」

その人物は、両腕と両脚を鋼鉄の装甲に包み、全身を水のような青いオーラに包んでいる。
その右手には、一本の細く長い槍を持っていた。

「…矢島さん!?なんで!?」

蒼松は、驚いたようにその姿を見た。
その人物は、矢島であった。

「何だ?この前もそんな反応してたな?俺が出てきちゃダメか?」

矢島は、呆れたように笑いながら言った。

「…ダメって…まだ完治してないんじゃ…。」

蓮田は、心配そうに矢島を見つめた。

「こんな怪我、大した事ねぇよ。それより、俺はやっと辿り着いたかもしれねぇんだ。こいつらを潰せば、親父の仇を取れるかもしれねぇってな。」

矢島はそう言うと、ラスコ・ロームを見てニヤリと笑みを浮かべた。

「…それは…どういう…。」

蒼松がそう言いかけると、遮るように矢島が叫んだ。

「話は後だ!今はこいつを潰す。それだけ考えてりゃいいんだよ!行くぞっ!!」

矢島はそう叫ぶと、ラスコ・ロームに向かって突っ込んだ。
3人も、矢島に続いて巨大な壁に向かった。

ラスコ・ロームの伸ばす巨大な腕が、4人の姿を包み込む…。





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