BOX・FORCE

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第1章:NAMELESS編-終焉-

[第40話:Nastatium]

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時は、"第2次NAMELESS大戦"から4ヶ月後…



とある田舎の墓地を迅雷寺は訪れた。


「…師匠。私達、勝ちました。師匠のおかげです。」

桂家と書かれたお墓に、迅雷寺は菊を供えた。
そして線香を上げ、手を合わせた。

「…師匠。どうか、行方不明の蒼松隊長、獅蘭くん、ジャックさん、そして、かっしーをお守りください。私達が再び平和な世界を手に入れられたのは、彼らのおかげです。師匠。そちらでも、どうかお元気で…。」

迅雷寺は、目に涙を浮かべながら、そう言った。
すると、1枚の葉が風に乗って、迅雷寺の頭に乗った。

(椎菜。どうか私の事は心配しないで。君は、これからの輝かしい未来を精一杯生きなさい。そして、私の弟子として、桂流を伝え続けなさい。)

迅雷寺の頭に、桂の声が響いた。
…気がした。




「洸~ご飯まだー?」

矢島は、リビングのソファーに座り、テレビを見ながら言った。
第2部隊のシェアハウスには今、蒼松に代わって矢島が住んでいた。

「はいはい。できましたよ~。」

沫梨は、両手に料理の乗った皿を持ちながら、台所から返事をした。

「ただいま~。」

そこへ咲波が帰宅し、2人のいるリビングに現れた。

「愛花お帰り…って、髪の毛!どうしたの!?」

沫梨は、咲波の姿を見るなり大声を出した。
咲波はロングヘアをバッサリ切り、ショートヘアになっていた。

「んー、切っちゃった!なんかさ、もう色々終わったし、心機一転って感じで。」

咲波がそう言うと、矢島がテレビを消してソファーから立ち上がった。

「さてはあれだな?失恋ってやつ?」

矢島はニヤニヤしながら、咲波を見て言った。

「うるさいですよ矢島さん。殴りますよ?」

咲波はそう言って、右手を上げて殴るフリをした。

「おいおい、髪切って性格も変わったか?じょーだん、じょーだんだって。」

矢島は苦笑いしながら言った。

「さ、冷めないうちに食べましょう。いただきまーす!」

咲波はそう言うと、椅子に座って食事を始めた。
3人は、これまでの激しい戦いを忘れたように、楽しく笑いながら食卓を囲んだ。




夜になり、所変わってそこは高層ビルの上階にある、高級レストランの窓側席。

菊野が窓の外の景色を眺めていると、トイレから戻った白峰が席に着いた。
2人は、それぞれお洒落なスーツとドレスに身を包んでいた。

「それにしても、渉さんがこんなお店用意してくれたなんて、意外だったなぁ~。」

菊野は、白峰の姿を見るとそう言った。
普段のサバサバした姿から一変、髪をお洒落に整え、メイクも落ち着いた感じに仕上げ、大人の女性になっていた。
一方の白峰も、髪型を変え、優しい目で菊野を見つめていた。

「知り合いが教えてくれた。
たまには、こういう店で食事もいいだろ?」

白峰は、微笑みながら菊野に言った。
食事もひと段落し、食後の紅茶を飲みながら2人は談笑している。

「それに…言ってたろ?こういう店で…。」

そう言うと、白峰は何やら足元に手を伸ばした。
すると両腕を後ろに隠し、再び立ち上がって菊野の近くに寄った。

「…き、菊の家の君に、この花は合ってないかもしれないけど…薔薇の部隊に所属していた君には、合ってるかもしれないね。これが君への俺からのメッセージだ。受け取ってくれるかい?」

そう言うと、両手を前に出し、
白峰は108本の薔薇の花束を菊野に差し出した。

「…えっ…ええっ?ええっと…これはその…。」

菊野は驚き、そして恥ずかしそうに赤面し慌てながら言った。
その様子を同じように頬を赤らめながら見つめていた白峰は、一呼吸置き深呼吸をすると、落ち着いた声で言った。

「里海、俺と結婚してください。」

白峰は、菊野に真っ直ぐ視線を向けた。
菊野は驚いた表情を見せ、2、3度視線を泳がせながら、混乱していた。
すっと息を吸い、落ち着きを取り戻した菊野が口を開くと、その目には少し涙が浮かんでいた。

「渉さん。私、人としても全然強くないし、刀の事になると周りの事見えなくなっちゃうけど…こんな私を、これからもよろしくお願いします。」

そう言って薔薇を受け取った。
花束を抱え、その胸に秘めた思いをやっと打ち明けられた菊野は、安心したように泣き出した。
白峰は、そんな菊野をそっと後ろから抱きしめた。




時は経ち、"第2次NAMELESS大戦"から2年。

とある会議室に、残されたBOX・FORCEメンバーは集められた。
そこには、メンバー以外にも数人見慣れない人物も揃っていた。
2年ぶりの再会に、皆それぞれ驚きながらも笑顔を見せていた。

そこへ、1人の人物が現れた。

「みんな、久しぶり。元気にしてた?」

その人物は、クリスティーナ・パンダであった。
相変わらずパンダの被り物を被った頭に、服は白衣ではなく珍しくスーツ姿になっていた。

「ここに集まってもらったのは、
君達のこれからについて、正式に政府からの要請通達をする為だ。」

そう言うと、パンダは資料を全員に配り始めた。
その表紙には、『BOX・FORCE 国家特殊防衛軍 要請』と書かれていた。

「みんなにはこれまでNAMELESSと戦う為に、BOX・FORCEとして戦ってもらった。そして、その成果は各方面にかなり盛大な評価を頂いている。
その結果、今回正式にBOX・FORCEは国家特殊防衛軍として、国が認める組織としての活動できることになった。」

パンダが資料を見ながら説明を続けた。

「それに伴い、新生BOX・FORCEとして新しい部隊編成を勝手に選別させてもらった。資料の3ページ目を見てくれ。」

一同が資料の指定ページを開くと、そこには新たな部隊編成が書かれていた。

「まず"第1真隊だいいちしんたい"。隊長は彩科院 鬼介さいかいん きすけ。君だ。」

パンダは彩科院を見てそう言った。
彩科院は、ふんと顔を背けたが不満そうな顔はしていなかった。

「鬼介に続いて、咲波と白峰。
3人で"第1真隊"として、皆を引っ張ってくれ。」

「「了解。」」

パンダがそう言うと、白峰と咲波が返事をした。

「そして、"第2真隊"。隊長は、矢島。」

パンダは、矢島を真っ直ぐ見てそう言った。

「えぇっ!?俺がっすか?」

矢島は驚いた表情で、自分を指差しそう言った。
周囲の視線が、一斉に矢島に集まった。

「第2次大戦の、ラスコ戦での活躍への評価は高い。矢島ならできるはずだ。」

パンダは動揺する矢島の背中を押すように、矢島にそう言った。

「…うっす。しゃーねー。ならやるしかないか。」

矢島は少し不安そうな表情を見せるも、決意に燃える目をして言った。

「そして、沫梨とスミレ。
君ら2人が矢島を支えてやってくれ。」

「了解!」

パンダがそう言うと、沫梨は返事をした。
スミレは何も言わずに黙って頷いた。

「そして…"第3真隊"。隊長は迅雷寺。」

「…は、はい!」

迅雷寺は、戸惑いながらも返事をした。

「これは…桂からの遺言だ。
誰に何を言われようと、桂が選んだのだ。間違い無いと信じているよ。」

パンダは、不安そうな迅雷寺に向けて安心させるような口調で言った。

「そしてメンバーは、リズと古織。」

パンダがそう言った。

「ほーい。仰せの通り。」

リズはどこかテキトーに返事をした。
その後、見慣れない顔の1人の女性が立ち上がった。

「皆様、初めましてになると思います。諜報員として活動していました、古織 芙美華ふるおり ふみかです。以後お見知り置きを。」

そう言うと、古織は一礼して着席した。

「以上。新生BOX・FORCE改め、『日本特殊防衛組織BOX・FORCE』だ。」

パンダはそう言うと、彩科院を見た。

「んじゃ、新第1隊長の鬼介。最後一言。」

パンダがそう言うと、
彩科院は立ち上がるや否や机を一発叩いて言った。

「俺たちは、これ以上この日本に、そしてBOX・FORCEに、2度と大きな被害を与える事はしない。その為に存在する。いいな!」

彩科院は、気迫に溢れた表情で叫んだ。

「「「了解っ!!」」」





その夜、とある裏路地に7人の人影が集まっていた。
7人は何やら黒いローブに包まれ、そのローブのフードを全員が被っていた。

「…なるほどな。まさか、あの人が黒幕とはね…。」

1人の男はそう言うと、フードを外した。
その人物は、チャン・リーフォンであった。

「…要は、"BOX・FORCE"を叩いて、そいつを炙り出せばいいんだな?」

チャンの横に胡座を掻いて座っていた人影は、そう言った。

すると、7人の中心的な立ち位置にいる人物が立ち上がり、ローブを脱いで畳みながら言った。

「…"BOX・FORCE"を潰し、真の目的を食い止める。それが俺たち、"七魔団しちまだん"のやるべき事だ。そしてその真の目的を実行しようとしている人物。…クリスティーナ・パンダを…殺す。」

右腕に抱えたローブの端を、強く握りしめてその人物はそう言った。

その人物は…

「俺が…"BOX・FORCE"を潰すっ!」



【第1章:NAMELESS編 完結】
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