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第2章 七魔編-七魔団vsBOX・FORCE-
[第12話:Misericordia]
しおりを挟む第3真隊_
迅雷寺は考えていた。
現状打破の為の、最適案を…。
「…椎菜ちゃん?そんなに眉間に皺寄せたら、
せっかくの綺麗なお顔が台無しだぜ?」
リズは、難しい顔をする隊長の迅雷寺にそう言った。
「…すみません。どうしても、現実を受け入れられてないというか…。」
迅雷寺は、弱い声でそう言った。
「…無理ないわ。椎菜さん、樫間さんの事好きなんでしょ?」
古織は女の勘が鋭かった。
古織は、自らの爪を見ながらそう言った。
「えっ…ええっ!?…なんで…えぇ…まぁ…。」
迅雷寺は、急に核心を突かれてあからさまに動揺し、赤面した。
「…ほう。それはそれは。乙女心は辛いですなぁ。」
リズは、ニヤニヤしながらそう言った。
「そんな相手と戦う…ましてや、やむを得ない場合は殺せ。それが彩科院隊長の命令ですものね。
酷な話だわ。」
古織もまた、どこか余所事のようにそう言った。
「…私は、これまで隊長であったかっしーに、たくさん助けられて…。いつか部下として…いや、1人の人間として、それを返したい。そう考えていました…。
だけど今は、どうしたらそれが叶うのか…わからない。」
迅雷寺の表情は、再び曇ってしまった。
リズと古織は、そんな迅雷寺の姿を見て
互いに目を合わせて、やれやれといった身振りをした。
「…隊長がそんなんだと、私たち動けませんよ。
私はあくまで、現隊長である椎菜さんの指示に従うつもりです。」
古織は、厳しい言葉ながらも優しい口調でそう言った。
「…俺も芙美ちゃんと一緒。謙信さんが、椎菜ちゃんが隊長に相応しいと選んだんだ。それを信じるさ。」
リズも、迅雷寺を励ますようにそう言った。
「…2人の言う通りね。私がしっかりしないと。」
迅雷寺はそう言って、自分の両手で自分の頬を強く叩くと、気合を入れ直した。
_
一方、樫間率いる"七魔団"サイド。
こちらは、都内のとある路地裏の廃ビルに集っていた。
「皆、ご苦労。"BOX・FORCE"への奇襲攻撃は成功だ。」
樫間はそう言った。
しかし、その顔に喜びといった感情は存在していない。
「"日本特殊防衛組織"なんてくらいだから、どんなもんかと思ったけど…大したことなさそうだな。」
道影は余裕そうにそう言った。
「…どうかな。彼らが本気でくれば、それなりにいい勝負になると思うがな。」
チャンがそれをすぐに否定した。
相手の力を知る樫間とチャンは、余裕の隙を見せないようにしていた。
「これからどうするの?紘紀くん。私たち、彼らに喧嘩を吹っかけた以上、彼らと戦うんでしょ?」
東雲はすっかり、"七魔団"の団員としての風格を表していた。
「ああ。…次は、各部隊を襲撃する。」
樫間はそう言うと、廃ビルにあった壊れたホワイトボードを持ち出した。
そこに一頻りペンで何かを書くと、再び団員たちに言った。
「恐らく、現在の"BOX・FORCE"の陣営はこうだ。
部隊Aの隊長は彩科院鬼介、その下に咲波愛花、白峰渉。
部隊Bの隊長は矢島慎次、その下に抹梨洸、スミレ・エレーナ。
部隊Cの隊長はリズ・マーティン、その下に迅雷寺椎菜、新入隊員…。」
樫間がホワイトボードに書いた図式を指しながら説明した。
「襲撃時に現れた面々から算出するに、こんな感じだろう。
以前はそれ以外の者もいたが、あの場にいなかった。
彼らが本部内側に潜んでいるとは考えにくい。
今は、彼らの事は考えなくて大丈夫そうだ。」
樫間がそう言うと、道影が興味深そうに樫間に言った。
「ふぅん。その、彼らってのが仮に敵組織幹部に潜んでいたとしたら、俺たちの勝算はどうなるんだ?」
「…負けるかもしれない。まあ、その可能性は限りなく低い。安心しろ。」
道影の問いに、樫間はそう答えた。
「ほう。そうなのか。」
道影の反応は、どこかつまらなそうであった。
「なるほど。樫間の算出した敵組織論は、大分参考になるな。
恐らく彩科院鬼介、いや、クリスティー…クリス・ハンターが組み出しそうな組織形態だな。」
チャンが、樫間と道影の会話の後にそう見解を示した。
「…となると、厄介なのは彩科院率いる部隊Aか?」
チャンは、樫間にそう問いかけた。
「…いいや。彩科院鬼介など相手ではない。
厄介なのは、部隊Cだ。」
樫間はそう言った。
「…迅雷寺椎菜に新入隊員…。それに、隊長を担ってると思われるリズ。
3人とも力量が侮れない。警戒しないといけないかもしれない。」
樫間の話し方は慎重であった。
迅雷寺もリズも、樫間にとっては共闘した事のある相手だからこそ、その力量を恐れているのかもしれない。
「なるほど。では次はどう動くんだ?樫間。」
黙って話を聞いていた堀崎が、ふとそう発言して話を進めた。
「相手がこちらへの対抗策を見つけるより先に、攻撃を仕掛ける。3:2:2だ。
部隊A強襲班は道影、江神、堀崎。
部隊B強襲班はチャン、葉坂。
部隊C強襲班は俺と東雲で行く。」
樫間は、団員たちにそう指示した。
「具体的な強襲策は問わない。各々が最適な戦略で行ってくれ。」
そう言う樫間の目は、悪魔そのものであった。
「了解。蹴散らすぜ。」
そう言うと、道影は江神と堀崎を率いて暗闇に姿を消した。
「抜かるなよ。樫間。」
チャンはそう言うと、葉坂と共に姿を消した。
「…私は…どうしたらいいの?」
東雲は樫間の元に1人取り残され、不安そうにそう言った。
「主に新入隊員の相手を頼む。残りの2人は、俺が相手する。」
そう言うと、樫間は徐に東雲を抱き抱えた。
軽々持ち上げられ、東雲はされるがままであった。
「えっ…ちょっと…!」
恥じらいを見せる東雲を他所に、樫間は一言呟いた。
「この方が速い。大丈夫、落としはしない。」
そうして、七魔団は各々強襲へと飛び立っていった。
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