周りに愛される主人公

1章

20徹の決断

～ＮＯside～


徹はこの状況に困惑していた。

徹は今にも泣き出してしまいそうな蜜柑の顔を伺う。


徹は何故、蜜柑が泣き出しそうなのか全然分からなかった。

いつも蜜柑は徹の前で笑顔で、
泣いた所なんて大昔のことだ。

そんな蜜柑が、
教室でしかもクラスメイトがいる前で泣き出しそうだった。


蜜柑「…なんで、言ってくねぇんだよ、
俺ら幼馴染なのによ、、なんで」
徹「え、や、だって、え？？？」
花珠「あ～、徹が蜜柑泣かした～」


徹は泣きじゃくる蜜柑を見て自身の行いを反省した。


確かに幼馴染の蜜柑に黙ってしまったのは悪いと徹は心の中で謝った。


徹は蜜柑の頭に手を伸ばし
そして、頭を優しく撫でる。

よしよし


蜜柑「……バカ、徹のバカ、アホ、あんぽんたん、」
徹「うっ……ごもっともです。」
蜜柑「……クレープで許してやる。次の休みだ、分かったな」
徹「はい……」


徹はおずおず蜜柑の要求をのんだ。

徹にとって蜜柑の泣き顔は何よりも見たくないものだった。


蜜柑は昔から笑顔の方がいいと、徹は蜜柑に言っていた。
蜜柑は徹がそう言ってくれるのが嬉しいとその時から笑顔になってくれた。

徹は笑顔だった蜜柑を泣かせてしまって罪悪感を覚えてしまった。


徹「本当に、ごめん、ごめんなさい、
蜜柑、」
蜜柑「うぅ、なら、抱きしめていい？」
徹「うん、いいよ」


徹の承諾にすぐさま蜜柑は優しく徹を包み込む、教室は二人だけの甘い世界になっていた。

花珠はなんだこいつ、
と蜜柑を睨んでいた。

朝は不機嫌そうに花珠に八つ当たりしてた蜜柑だったが、徹の前では八つ当たりはしないようだ。

逆に不機嫌を利用して徹につけ込んだ。
猫かぶりとはこの事だと思った瞬間だ。

蜜柑の演技力は並じゃ出来ないほど素晴らしいものだった。


花珠はそれに見飽きたからか蜜柑の演技を見破るなんて容易かった。


蜜柑「次からは、俺に1番に相談して、
俺は徹の味方だからな、分かったか……」
徹「うん、分かったよ。次からは蜜柑に話すよ……ごめんな心配させて、」
蜜柑「まったくだよ。」


こいつ俳優目指せそ、
もうこの際、徹にバラすのもあるけどな
と花珠は思った。


花珠は蜜柑を羨ましく思った。


徹とは幼馴染で、顔で食ってていけるほど顔は整っており、
性格は残念だが、
何もかも完璧、
徹関連じゃなきゃ、
まともで将来有望なやつだ。


そう、
徹関連では蜜柑は厄介者だ。
狂信者のように怒り狂う時も結構ある。


徹「蜜柑に、迷惑かけたくなくてさ、
ごめんな……」
蜜柑「ばっか、昔は俺の方が迷惑かけてたんだから、少しくらいはお前も我儘言え」
花珠「はいはい、もういいだろ、やめろ」


2人の甘い雰囲気に花珠はクギを打つ
蜜柑は邪魔すんなと花珠に睨みをきかせる

徹は腑に落ちない表情で花珠を見る。
花珠は徹の表情を見て、
少し顔かひきつる。


慣れないのだ、
暗い顔の徹の表情に……

数日、
数週間、
数ヶ月見てもなれないだろう……


花珠「はぁ、揃いも揃って……」
蜜柑「なんだよ、」
徹「顔になんかついてた？？？」
花珠「んんや、似てんなーって」


2人は花珠の発言に？を浮かべる。
花珠は2人を無視して席に座る。

2人は顔を見合せて、
ぎこちない笑みで微笑んだ。

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蜜柑「で、どうすんだ？？？？？」
徹「え、何が？？？？」
花珠「光希先輩について、まさかこのままでいる気か？？？？」


徹は考えた素振りを見せて、
蜜柑達の険しい表情を見る

徹「……これから、か、」
蜜柑「……考える時間は必要だと思う。俺は徹の意見を尊重する。だけど、光希先輩と関わるのはやめた方がいい……」
花珠「それは俺も賛成だ。徹が光希先輩が好きなのは分かるが、あの人は多分、」


徹は自分の立場が変わっていたと気づいた
もしかしたら、俺の方が遊びで
あの人と付き合ってた。
そういう思考になってしまった。


徹は崖っぷちに立たせられている。
光希先輩を許して付き合い続けるか
意を決して別れるか……

その二択しかなかった。

葉澄徹は光希が大好きだ。
……
でも、それは、


本当に光希なのか、
徹は考えた末に……







距離を置くことを決めた