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第45話 会って欲しい方
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「ライさん……いえ、ライゼル様。これから会って欲しい方がいるのですが、よろしいですか?」
普段の能天気な様子はなりを潜め、キリリと凛々しい表情でシェフィはライゼルに向き直る。
(会ってほしい人……? いったい誰だ……?)
モノマフ王国から亡命しているシェフィの交友関係は広くはない。
せいぜいカチュアか、アニエスと親しいくらいなものだろう。
彼女らと会うためにこんな緊張した面持ちで頼みはしないので、そうなるとおのずと答えは限られてくる。
モノマフ王国の人間。それも、シェフィに関わりのある者。
まさか……
(シェフィのご両親に挨拶をしろ……ってことか!?)
話の流れからして、そうとしか考えられない。
たしかに、シェフィとは距離も縮まり、それなりに親しい仲となった。
しかし、いささか展開が急すぎるのではないだろうか。
付き合う付き合わない以前にいきなり結婚か。もう少し、段階を踏むなりできるだろうに。
「……すぐに会わないとダメなのか?」
「いえ、すぐに、っていうか、向こうもいろいろ準備があるんですけど、まあ可能な限り早急にといいますか……」
向こうも、という言い方をするということは、おそらく相手はシェフィの両親で決まりだ。
そして、この口ぶりから察するに、すでにある程度話を進めているとみて間違いない。
このまま断ってしまえば、シェフィに迷惑がかかるばかりか、向こうの面子も潰してしまうだろう。
「…………わかった。場所は開拓地でいいか?」
話の流れからして、おそらく相手はモノマフ王国の者。
であれば、なるべく国境にほど近い拠点ということで、開拓地がいいだろう。
「わかりました。では、そのように進めますね」
少しほっとした様子でその場を後にするシェフィ。
それにしても、いきなりシェフィの両親と会うことになるなど、思ってもみなかった。
……これはとんでもないことになりそうだ。
今後起こるであろう苦難を想像して、ライゼルがため息をついていると、部屋がノックされた。
「ライゼル様。少々よろしいですか?」
アニエスの声だ。
アニエスには残党狩りの他、こちらに降伏した者に対する扱いを任せていたため、おそらくそれらの報告だろう。
「ああ」
「失礼します」
アニエスが部屋に入ると、扉を閉める。
「バラギットの配下で主だった者は皆こちらに恭順の意を示しました。この地もおそらく早急に安定するかと」
「そうか」
アニエスの報告にほっとする。
何も起きなかった。すべてうまくいっている。
いい報告だ。こういうのを待っていた。
「それで、討ち取ったバラギットの側近、ローガインの首はいかがしましょう」
調べてみたところ、ローガインはバラギットの知恵袋として、今回の反乱に手を貸していた人物だ。
主に中央政界とのパイプ役となり、向こうとの橋渡しの他、反乱を起こすにあたって大義名分を作ったりと工作していたらしい。
こちらの慣例に元ずくのなら当然死罪の上打ち首獄門が妥当ではあるが、問題は中央政界におけるローガインの立ち位置だ。
なんでも、こちらに来る前は皇帝の側近として働いていたらしく、向こうにおける影響力は侮れないものがある。
それを、こちらが討ち取ったなどと喧伝すれば、あらぬ疑いをかけられ、最悪反逆罪の汚名を着せられる可能性もある。
そうなれば、当然ローガインの首はこちらで秘密裏に処理する必要があるのだが、どこに隠しても見つかりそうな気がしてしまい、今日の今日まで後回しにしてきた。
塩漬けにして腐敗を抑えたのは唯一の救いだが、一刻も早く処分したいものに変わりはない。
「……とりあえず、オーフェンに預けておけ。何かあってからでは遅いからな」
「はっ」
アニエスが頷く。
まったく、シェフィの両親に挨拶といい、ローガインの首といい、面倒ばかり増えていく。
「あっ……」
そういえば、シェフィに館で見つけた地図について聞くのを忘れていた。
「……まあいいか。後で聞けば」
普段の能天気な様子はなりを潜め、キリリと凛々しい表情でシェフィはライゼルに向き直る。
(会ってほしい人……? いったい誰だ……?)
モノマフ王国から亡命しているシェフィの交友関係は広くはない。
せいぜいカチュアか、アニエスと親しいくらいなものだろう。
彼女らと会うためにこんな緊張した面持ちで頼みはしないので、そうなるとおのずと答えは限られてくる。
モノマフ王国の人間。それも、シェフィに関わりのある者。
まさか……
(シェフィのご両親に挨拶をしろ……ってことか!?)
話の流れからして、そうとしか考えられない。
たしかに、シェフィとは距離も縮まり、それなりに親しい仲となった。
しかし、いささか展開が急すぎるのではないだろうか。
付き合う付き合わない以前にいきなり結婚か。もう少し、段階を踏むなりできるだろうに。
「……すぐに会わないとダメなのか?」
「いえ、すぐに、っていうか、向こうもいろいろ準備があるんですけど、まあ可能な限り早急にといいますか……」
向こうも、という言い方をするということは、おそらく相手はシェフィの両親で決まりだ。
そして、この口ぶりから察するに、すでにある程度話を進めているとみて間違いない。
このまま断ってしまえば、シェフィに迷惑がかかるばかりか、向こうの面子も潰してしまうだろう。
「…………わかった。場所は開拓地でいいか?」
話の流れからして、おそらく相手はモノマフ王国の者。
であれば、なるべく国境にほど近い拠点ということで、開拓地がいいだろう。
「わかりました。では、そのように進めますね」
少しほっとした様子でその場を後にするシェフィ。
それにしても、いきなりシェフィの両親と会うことになるなど、思ってもみなかった。
……これはとんでもないことになりそうだ。
今後起こるであろう苦難を想像して、ライゼルがため息をついていると、部屋がノックされた。
「ライゼル様。少々よろしいですか?」
アニエスの声だ。
アニエスには残党狩りの他、こちらに降伏した者に対する扱いを任せていたため、おそらくそれらの報告だろう。
「ああ」
「失礼します」
アニエスが部屋に入ると、扉を閉める。
「バラギットの配下で主だった者は皆こちらに恭順の意を示しました。この地もおそらく早急に安定するかと」
「そうか」
アニエスの報告にほっとする。
何も起きなかった。すべてうまくいっている。
いい報告だ。こういうのを待っていた。
「それで、討ち取ったバラギットの側近、ローガインの首はいかがしましょう」
調べてみたところ、ローガインはバラギットの知恵袋として、今回の反乱に手を貸していた人物だ。
主に中央政界とのパイプ役となり、向こうとの橋渡しの他、反乱を起こすにあたって大義名分を作ったりと工作していたらしい。
こちらの慣例に元ずくのなら当然死罪の上打ち首獄門が妥当ではあるが、問題は中央政界におけるローガインの立ち位置だ。
なんでも、こちらに来る前は皇帝の側近として働いていたらしく、向こうにおける影響力は侮れないものがある。
それを、こちらが討ち取ったなどと喧伝すれば、あらぬ疑いをかけられ、最悪反逆罪の汚名を着せられる可能性もある。
そうなれば、当然ローガインの首はこちらで秘密裏に処理する必要があるのだが、どこに隠しても見つかりそうな気がしてしまい、今日の今日まで後回しにしてきた。
塩漬けにして腐敗を抑えたのは唯一の救いだが、一刻も早く処分したいものに変わりはない。
「……とりあえず、オーフェンに預けておけ。何かあってからでは遅いからな」
「はっ」
アニエスが頷く。
まったく、シェフィの両親に挨拶といい、ローガインの首といい、面倒ばかり増えていく。
「あっ……」
そういえば、シェフィに館で見つけた地図について聞くのを忘れていた。
「……まあいいか。後で聞けば」
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