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第4話
嗅覚――本能の覚醒
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実験三日目。高峯は宿泊室の狭いベッドで、佐藤の声がリフレインする悪夢にうなされて目を覚ました。
昨日までの実験で、彼の自律神経はすでに佐藤凛という個人にハックされ始めていた。
「おはようございます。顔色が一段と悪いですね、高峯さん。……本能が理性と戦っている証拠です」
朝の問診。佐藤は今日、白衣を羽織っているものの、ボタンは一つも留めていない。
それどころか、わざと高峯の至近距離に立ち、書類を覗き込ませるように身を乗り出す。
「今日の実験は『嗅覚』。第3検査室ではなく、このさらに狭い『高濃度芳香抽出室』で行います」
連れて行かれたのは、電話ボックスを少し大きくした程度の、全面ガラス張りの気密室だった。
二人が入れば、肩が触れ合うほどの狭さ。佐藤は高峯の背後に回り、彼の両手を背後で拘束具に固定した。
「嗅覚は五感の中で唯一、大脳辺縁系……つまり、感情や本能を司る部位に直接届く感覚です。高峯さん、私の『匂い』を分析してください」
佐藤凛の声とともに、密室に甘く、どこか陶酔を誘う霧が立ち込める。
「まずはこの香りを。特殊な調合を施した**『擬似媚薬成分』**の芳香です。鼻腔の粘膜から、あなたの本能を強制的にリラックスさせます」
高峯は抗えなかった。肺の奥までその甘い霧を吸い込むたびに、頭が芯から痺れ、全身の筋肉から力が抜けていく。意識が朦朧とする中で、佐藤が至近距離に踏み込んだ気配がした。
「視覚がない分、嗅ぎ分けられるはずです。……これは、私のどこに触れた白衣の匂いかしら?」
鼻先に押し当てられたのは、彼女が一日中着ていた白衣の襟元。そこから漂う、佐藤自身の体温で温められたうなじの匂いと、微かなシャンプーの残り香。
「……あ、佐藤さん、の……首の……」
「正解。では、次はもっと『深い』場所ですよ」
彼女は高峯の拘束された手を背後に回したまま、自身の身体を密着させる。
次に鼻腔を突いたのは、むせ返るような乳腺の匂い。Iカップの谷間に顔を埋められ、汗ばんだ肌から立ち上る濃密な胸の匂いが高峯の脳を焼く。
「くっ、あ……すごい、熱い匂いだ……」
「まだですよ。嗅覚の真髄は、生命の源に近い場所にあります」
佐藤はそう言うと、自身のミニスカートを捲り上げた。
カサリ、とナイロンが擦れる音の直後、高峯の鼻先に突き出されたのは、彼女が今しがた脱ぎ捨てたばかりのパンティだった。
「……っ!? これ、は……」
「私の分泌液と、朝から閉じ込められていた熱の匂い。……さあ、逃げずに吸い込みなさい。これが、あなたが本当に求めている『女』の正体よ」
目隠しをされた暗闇の中で、鼻腔に押し付けられる湿った布地の感触と、強烈な**「あそこの匂い」**。
清潔な研究員の仮面の下に隠されていた、生々しく、野卑なまでの雌の香気。
高峯は、理性が「汚らわしい」と拒絶する間もなく、本能がその匂いを貪るように深く、深く吸い込んでいた。
「はぁ、はぁ……佐藤、さん……俺、おかしくなりそうだ……っ!」
「いいですよ。その匂いで脳を支配されなさい。あなたはもう、私の匂いなしでは呼吸さえ満足にできなくなる」
数時間に及ぶ「芳香の檻」での調教。
実験が終わる頃、高峯は彼女の匂いに完全に毒され、荒い息を吐きながら、見えない彼女の体温を求めて虚空を彷徨っていた。
「……はあ、あぁぁ!」
自立(勃起)には至らないまでも、高峯の股間はこれまでにない熱を持ち、痙攣するように震えていた。
嗅覚という「原始的な感覚」を佐藤に完全に掌握された瞬間だった。
その夜。
宿泊室のベッドで、高峯は目隠しを外された後も、まだ鼻の奥に残る彼女の匂いに支配されていた。
佐藤がわざと置いていった「一日中彼女の肌に触れていたキャミソール」を、彼は震える手で手に取る。
「……これ、がないと……息が……」
彼は自分でも気づかないうちに、彼女の残り香を求める「匂いの奴隷」へと作り変えられていた。
翌日から始まる「視覚実験」で、その依存は決定的なものとなる。
【実験三日目:嗅覚介入・終了】
【被験者の状態:嗅覚による脳の情動回路のハックを完了。臨界点まで、あと一歩】
昨日までの実験で、彼の自律神経はすでに佐藤凛という個人にハックされ始めていた。
「おはようございます。顔色が一段と悪いですね、高峯さん。……本能が理性と戦っている証拠です」
朝の問診。佐藤は今日、白衣を羽織っているものの、ボタンは一つも留めていない。
それどころか、わざと高峯の至近距離に立ち、書類を覗き込ませるように身を乗り出す。
「今日の実験は『嗅覚』。第3検査室ではなく、このさらに狭い『高濃度芳香抽出室』で行います」
連れて行かれたのは、電話ボックスを少し大きくした程度の、全面ガラス張りの気密室だった。
二人が入れば、肩が触れ合うほどの狭さ。佐藤は高峯の背後に回り、彼の両手を背後で拘束具に固定した。
「嗅覚は五感の中で唯一、大脳辺縁系……つまり、感情や本能を司る部位に直接届く感覚です。高峯さん、私の『匂い』を分析してください」
佐藤凛の声とともに、密室に甘く、どこか陶酔を誘う霧が立ち込める。
「まずはこの香りを。特殊な調合を施した**『擬似媚薬成分』**の芳香です。鼻腔の粘膜から、あなたの本能を強制的にリラックスさせます」
高峯は抗えなかった。肺の奥までその甘い霧を吸い込むたびに、頭が芯から痺れ、全身の筋肉から力が抜けていく。意識が朦朧とする中で、佐藤が至近距離に踏み込んだ気配がした。
「視覚がない分、嗅ぎ分けられるはずです。……これは、私のどこに触れた白衣の匂いかしら?」
鼻先に押し当てられたのは、彼女が一日中着ていた白衣の襟元。そこから漂う、佐藤自身の体温で温められたうなじの匂いと、微かなシャンプーの残り香。
「……あ、佐藤さん、の……首の……」
「正解。では、次はもっと『深い』場所ですよ」
彼女は高峯の拘束された手を背後に回したまま、自身の身体を密着させる。
次に鼻腔を突いたのは、むせ返るような乳腺の匂い。Iカップの谷間に顔を埋められ、汗ばんだ肌から立ち上る濃密な胸の匂いが高峯の脳を焼く。
「くっ、あ……すごい、熱い匂いだ……」
「まだですよ。嗅覚の真髄は、生命の源に近い場所にあります」
佐藤はそう言うと、自身のミニスカートを捲り上げた。
カサリ、とナイロンが擦れる音の直後、高峯の鼻先に突き出されたのは、彼女が今しがた脱ぎ捨てたばかりのパンティだった。
「……っ!? これ、は……」
「私の分泌液と、朝から閉じ込められていた熱の匂い。……さあ、逃げずに吸い込みなさい。これが、あなたが本当に求めている『女』の正体よ」
目隠しをされた暗闇の中で、鼻腔に押し付けられる湿った布地の感触と、強烈な**「あそこの匂い」**。
清潔な研究員の仮面の下に隠されていた、生々しく、野卑なまでの雌の香気。
高峯は、理性が「汚らわしい」と拒絶する間もなく、本能がその匂いを貪るように深く、深く吸い込んでいた。
「はぁ、はぁ……佐藤、さん……俺、おかしくなりそうだ……っ!」
「いいですよ。その匂いで脳を支配されなさい。あなたはもう、私の匂いなしでは呼吸さえ満足にできなくなる」
数時間に及ぶ「芳香の檻」での調教。
実験が終わる頃、高峯は彼女の匂いに完全に毒され、荒い息を吐きながら、見えない彼女の体温を求めて虚空を彷徨っていた。
「……はあ、あぁぁ!」
自立(勃起)には至らないまでも、高峯の股間はこれまでにない熱を持ち、痙攣するように震えていた。
嗅覚という「原始的な感覚」を佐藤に完全に掌握された瞬間だった。
その夜。
宿泊室のベッドで、高峯は目隠しを外された後も、まだ鼻の奥に残る彼女の匂いに支配されていた。
佐藤がわざと置いていった「一日中彼女の肌に触れていたキャミソール」を、彼は震える手で手に取る。
「……これ、がないと……息が……」
彼は自分でも気づかないうちに、彼女の残り香を求める「匂いの奴隷」へと作り変えられていた。
翌日から始まる「視覚実験」で、その依存は決定的なものとなる。
【実験三日目:嗅覚介入・終了】
【被験者の状態:嗅覚による脳の情動回路のハックを完了。臨界点まで、あと一歩】
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