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第3話
聴覚――脳への直接介入
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実験二日目。
研究所内の簡易宿泊室で一夜を明かした高峯は、朝から第3検査室へと連行された。
昨夜、目を閉じれば浮かぶのは佐藤の白衣の下の黒レースと、耳に残る彼女の冷徹な声。一睡もできぬまま、彼は再びリクライニングチェアに固定された。
「おはようございます、高峯さん。……酷い顔ですね。寝不足ですか?」
佐藤は、今日は眼鏡をかけず、髪もうなじが強調されるようにさらに高くまとめ上げている。
彼女は無造作に、高峯の視界を遮る遮光ゴーグルと、重厚なヘッドホンを装着した。
「今日のテーマは『聴覚』。視覚を完全に遮断し、私の声だけであなたの脳を直接書き換えます」
視界が漆黒に染まり、高峯の感覚は耳一点に集中した。
装着された高性能ヘッドホンからは、鼓膜を直接撫でるような佐藤の声が響く。
「高峯さん。今日は耳だけで『実録データ』を体験していただきます。……逃げ場はありませんよ」
佐藤は高峯の耳元にマイクを近づけ、まずは自身の吐息を吹きかけた。
ヘッドホン越しに、熱を帯びた「フゥ……」という生々しい音が脳を震わせる。
「まずは、脳をリラックスさせましょうか。……ん、ちゅ……」
突如、耳元で響く**「チュパチュパ」と粘膜が触れ合う音**。彼女が自身の指や、あるいはマイクを直接愛撫しているかのような、濡れた音が鼓膜に突き刺さる。
高峯の背筋に、ゾクゾクとした電撃が走った。
「な……これ、何の音ですか……」
「私の口内(なか)の音ですよ。……次は、もっと深い音を」
続いて流れてきたのは、激しく舌が絡み合う**「ディープキスの音**。
ぐちゅり、という卑猥な音とともに、佐藤の荒い喘ぎ声がオーバーラップしてくる。
「はぁ、っ……ん……あ、そこ……っ」
ヘッドホンから聞こえる彼女の喘ぎは、普段の冷徹な彼女からは想像もつかないほど淫らで、甘い。
「……っ! 佐藤さん、これ、まさか……」
「ええ。以前の検体との実験記録、あるいは……私の『自習』の音かもしれませんね」
さらに追い打ちをかけるように、重低音の響く**「ハメている音」**が再生された。
肉と肉が激しくぶつかり合う、湿った、しかし重厚な打撃音。
それに合わせて、耳元で佐藤が「ふぅ……ふぅ……」と、実際に熱い吐息を直接吹きかけてくる。
「音が、リアルすぎて……っ……あ……」
「視覚がなくても、脳は勝手に『光景』を補完する。今、あなたは私の身体を……この音の通りに犯している自分を想像しているはずです」
音の暴力は止まらない。
ヘッドホンの右側からは激しい愛撫の音、左側からは佐藤の甘い囁き。
高峯は、実際にどこにも触れられていないはずなのに、耳から流し込まれる「淫らな音の洪水」だけで、身体が熱く、脈打つのを感じていた。
「どうしました? 股間が痙攣していますが……私の声と、この淫らな音だけで、勃起できそうですか?」
佐藤の冷徹な笑いを含んだ吐息が、耳たぶに直接かかった瞬間。
高峯は、音の迷宮の中で、理性が溶け出していく恐怖と快楽に身悶えした。
「やめ……やめてください、佐藤さん……!」
「嫌だという割に、心拍のビートは規則正しく跳ね上がっている。……私の音声が、あなたの脊髄を震わせている証拠です」
数時間に及ぶ「音声」による蹂躙。
実験の終盤、佐藤はヘッドホンの音量を最大にし、耳元で一言だけ、魂を揺さぶるような冷たい命令を投げかけた。
「立てなさい。……命令です」
その瞬間、高峯の体はビクンと大きく跳ねた。
結局、自立(勃起)には至らなかったものの、彼の脳内は佐藤の声で完全に「調教」の回路が形成されつつあった。
夕食時。宿泊室に食事を運んできた佐藤は、白衣を脱ぎ捨てていた。
黒いキャミソールとミニスカート。ガーターベルトに縁取られた絶対領域が、高峯の目の前を無防備に(あるいは意図的に)通り過ぎる。
「今日の実験データは上々です。……おやすみなさい、高峯さん。明日も朝から『嗅覚』のテストがありますから、体力を残しておいてくださいね」
去り際、彼女は不意に彼の頬を指先でなぞった。
その瞬間、高峯の耳の奥で、昼間の彼女の声がリフレインする。
「……っ」
一人残された宿泊室。高峯は、彼女に指定された「復習」をしようとするが、耳に粘りついた彼女の声が邪魔をして、自分一人の手では何一つ成し遂げられない自分に絶望する。
この研究所から出る頃には、自分はもう、この女の声なしでは生きていけなくなっているのではないか――。
そんな予感が、暗い部屋の中で彼を支配していった。
【実験二日目:聴覚介入・終了】
【被験者の状態:音声刺激による強制興奮を確認。精神的依存の兆候あり】
研究所内の簡易宿泊室で一夜を明かした高峯は、朝から第3検査室へと連行された。
昨夜、目を閉じれば浮かぶのは佐藤の白衣の下の黒レースと、耳に残る彼女の冷徹な声。一睡もできぬまま、彼は再びリクライニングチェアに固定された。
「おはようございます、高峯さん。……酷い顔ですね。寝不足ですか?」
佐藤は、今日は眼鏡をかけず、髪もうなじが強調されるようにさらに高くまとめ上げている。
彼女は無造作に、高峯の視界を遮る遮光ゴーグルと、重厚なヘッドホンを装着した。
「今日のテーマは『聴覚』。視覚を完全に遮断し、私の声だけであなたの脳を直接書き換えます」
視界が漆黒に染まり、高峯の感覚は耳一点に集中した。
装着された高性能ヘッドホンからは、鼓膜を直接撫でるような佐藤の声が響く。
「高峯さん。今日は耳だけで『実録データ』を体験していただきます。……逃げ場はありませんよ」
佐藤は高峯の耳元にマイクを近づけ、まずは自身の吐息を吹きかけた。
ヘッドホン越しに、熱を帯びた「フゥ……」という生々しい音が脳を震わせる。
「まずは、脳をリラックスさせましょうか。……ん、ちゅ……」
突如、耳元で響く**「チュパチュパ」と粘膜が触れ合う音**。彼女が自身の指や、あるいはマイクを直接愛撫しているかのような、濡れた音が鼓膜に突き刺さる。
高峯の背筋に、ゾクゾクとした電撃が走った。
「な……これ、何の音ですか……」
「私の口内(なか)の音ですよ。……次は、もっと深い音を」
続いて流れてきたのは、激しく舌が絡み合う**「ディープキスの音**。
ぐちゅり、という卑猥な音とともに、佐藤の荒い喘ぎ声がオーバーラップしてくる。
「はぁ、っ……ん……あ、そこ……っ」
ヘッドホンから聞こえる彼女の喘ぎは、普段の冷徹な彼女からは想像もつかないほど淫らで、甘い。
「……っ! 佐藤さん、これ、まさか……」
「ええ。以前の検体との実験記録、あるいは……私の『自習』の音かもしれませんね」
さらに追い打ちをかけるように、重低音の響く**「ハメている音」**が再生された。
肉と肉が激しくぶつかり合う、湿った、しかし重厚な打撃音。
それに合わせて、耳元で佐藤が「ふぅ……ふぅ……」と、実際に熱い吐息を直接吹きかけてくる。
「音が、リアルすぎて……っ……あ……」
「視覚がなくても、脳は勝手に『光景』を補完する。今、あなたは私の身体を……この音の通りに犯している自分を想像しているはずです」
音の暴力は止まらない。
ヘッドホンの右側からは激しい愛撫の音、左側からは佐藤の甘い囁き。
高峯は、実際にどこにも触れられていないはずなのに、耳から流し込まれる「淫らな音の洪水」だけで、身体が熱く、脈打つのを感じていた。
「どうしました? 股間が痙攣していますが……私の声と、この淫らな音だけで、勃起できそうですか?」
佐藤の冷徹な笑いを含んだ吐息が、耳たぶに直接かかった瞬間。
高峯は、音の迷宮の中で、理性が溶け出していく恐怖と快楽に身悶えした。
「やめ……やめてください、佐藤さん……!」
「嫌だという割に、心拍のビートは規則正しく跳ね上がっている。……私の音声が、あなたの脊髄を震わせている証拠です」
数時間に及ぶ「音声」による蹂躙。
実験の終盤、佐藤はヘッドホンの音量を最大にし、耳元で一言だけ、魂を揺さぶるような冷たい命令を投げかけた。
「立てなさい。……命令です」
その瞬間、高峯の体はビクンと大きく跳ねた。
結局、自立(勃起)には至らなかったものの、彼の脳内は佐藤の声で完全に「調教」の回路が形成されつつあった。
夕食時。宿泊室に食事を運んできた佐藤は、白衣を脱ぎ捨てていた。
黒いキャミソールとミニスカート。ガーターベルトに縁取られた絶対領域が、高峯の目の前を無防備に(あるいは意図的に)通り過ぎる。
「今日の実験データは上々です。……おやすみなさい、高峯さん。明日も朝から『嗅覚』のテストがありますから、体力を残しておいてくださいね」
去り際、彼女は不意に彼の頬を指先でなぞった。
その瞬間、高峯の耳の奥で、昼間の彼女の声がリフレインする。
「……っ」
一人残された宿泊室。高峯は、彼女に指定された「復習」をしようとするが、耳に粘りついた彼女の声が邪魔をして、自分一人の手では何一つ成し遂げられない自分に絶望する。
この研究所から出る頃には、自分はもう、この女の声なしでは生きていけなくなっているのではないか――。
そんな予感が、暗い部屋の中で彼を支配していった。
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