やらかし夫夫(ふうふ)、番(つがい)になる

スメラギ

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やらかしたオメガのお話し…

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 僕はヘナヘナと力なくその場に座り込んでしまっていた。腰が抜けてしまった。

 「おい。大丈夫か?」

 という泰虎やすとらさんの声に半ば呆然として顔を上げる。

 「顔色が悪いな。」

 そう言ってしゃがみ込んで僕を覗き込んできた。
 身体が震えて血の気が引いているのは自分でも自覚がある。泰虎やすとらさんは僕を案じ…危害を加えてくるつもりはない…。そんな事は分かっているがー…気持ちとは裏腹に思わず身体が…、本能が逃げをうつ…。
 そんな僕の様子を見た泰虎やすとらさんは溜息を付いてあかしを見た。

 「あかし、お前…周囲に「俺は女のオメガしか抱かない」と豪語していたはずだが?」
 「いや~、仕方ねーじゃん。ちょっと、興奮するような表情してくるし…『男のオメガもイケるんじゃね?』と思ったわけよ」

 そう言って肩を竦めている…。
 そして、僕を見てニヤリと笑う。

 「そう、その顔…『信じていたのに』って怯える。その顔が俺を興奮させんだよ。やべぇ…勃った」

 なんてニヤニヤと笑いながら言った直後、泰虎やすとらさんに容赦なく叩かれていた。

 「無駄に怖がらせるな。」
 「イタタ…容赦ねーな。一応、弁えてるっつーの…それで?何しに来たんだよ?予定では来んの明日じゃなかったか?」
 「あぁ、その予定だったがー…、状況が変わった。崇陽たかあきからの指示があったと言えば理解できるか?」

 そう言われて、あかしの事とは別の…身体の奥底から湧き上がってくる…本能に刻まれたあの時の・・・・恐怖が再び蘇ってきた…。

 あの・・威圧フェロモンが強制的に思い出させられる。

 「雪斗ゆきとの血の気が引いたんだけど…コレ大丈夫か?」
 「相当な威圧フェロモンを浴びたんだろ。『人間』のアルファにとって、オメガが自分の『運命』だったのならば…それはかなり・・・特別な存在らしい…。自分にとっての特別なオメガが危害を加えられそうになった。となったならばー…アルファの怒りは相当だったはずだ。」

 そう言って息をついていた。
 僕は何度か唾液を飲み下し、カラカラになっていた喉を潤すと声を絞り出した。

 「や、泰虎やすとらさん…一体、な、何をさせられるのでしょう…?」
 「とある・・・アルファと番ってもらう事になった。」

 という言葉を聞いて頭の中が真っ白になった…。
 僕が言葉を発するよりも早く…泰虎やすとらさんがさらに僕へと近づいて来た。今、自分の置かれている状況を正しく理解する暇もなく…

 少しの衝撃の後に意識が暗転し始める…。

 完全に暗転する直後…「俺よりも泰虎やすとらの方が酷ぇじゃん。」というあかしと思しき声と共に首筋に鋭い痛みが走った。

 ココで僕の意識は完全に途切れた…。
 
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