18 / 28
やらかしたアルファのお話し…
07
しおりを挟む取り敢えず、この子が目覚めるまで待つ事にした。
少年が寝ているベッドへ近づき、腰掛ける。そして、先程、白蓮という『鬼』がしれっと返してくれた鞄をあさる。
そして、お目当ての物、携帯を取り出す。
確認すると、上司と友人からおびただしい数の連絡が来ていたので、少年が寝ている間に連絡を入れる事にした。
外部との連絡を取れるようにしておいてくれたのは優しさなのか…それとも、忘れているだけなのか…もしくは、興味すらないのか…。
どちらにせよ、逃げる気はないが…、逃げ出せないのは確実なので、放っておかれているのだろう…。
ゲームで使用しているグループチャットを活用して2人同時に連絡を入れた。
時間帯的に既に帰宅済みであろう事は分かっていたので、直ぐに2人は呼びかけにこたえてくれた。
事の顛末を話すと上司である藤本さんは「だからか…」と何やら納得していた。どうやら既に崇陽様が動いているらしい。
俺の籍は既に崇陽様の傘下である会社に移る手続きが行われているようで、上司である彼の耳には入っているらしい。
何故、そうなったのか…詳細は聞かされていなかったようだが、俺の連絡により腑に落ちたようだ…。
友人となった結翔もまた然りー…である。
「ま、これもまた経験か…生活が落ち着いたら連絡してくれ。落ち着かなくても連絡してくれて良いぞ。相談にのるからいつでもしてこい」
「身体には気をつけろよ。お前、直ぐに不安定になるし…藤もっちんに相談し辛いなら俺にしてこいよ~大歓迎だぜ」
という2人に「ありがとう」とお礼を言って電話を切った。その後、養父にも連絡を入れたがー…『鬼』関係により全て筒抜けだったらしい。
確かに義輝という『鬼』も言っていた。『神門』の所有権が移ったと…。
流石は崇陽様の関係者。仕事が早い…。
「実害もないし…迷惑とかも被っていない…寧ろ、前よりも強い『鬼』と関係が築けたので、こちらとしては棚ボタものだ。だから気にしなくて良い。お前が今、すべき事は別にあるはずだ。あの崇陽様と取引をしたんだろう?実害がなければこちらとしては問題ないから現時点で俺が怒る理由がない。」
という言葉を頂いた。その後、一言、二言交わすと電話を切った。最後に労いの言葉をもらった。
「安心しろ。例え実害や損失が出たとしても簡単に切り捨てたりしないから…。それよりも、今やるべき事を頑張れよ」
そう言われた時に、何故か泣きそうになってしまったのは秘密だ。
電話が切れた直後、もぞりとベッドに横たわる塊が動いた。
覗き込むとオメガの少年の瞼が震え、覚醒が近い事を知らせてくる。
*
2
あなたにおすすめの小説
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募するお話に、真紀ちゃん(攻)視点を追加して、倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
《完結》僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ
MITARASI_
BL
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
続編執筆中
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
【完結】弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』
バナナ男さん
BL
優秀な騎士の家系である伯爵家の【クレパス家】に生まれた<グレイ>は、容姿、実力、共に恵まれず、常に平均以上が取れない事から両親に冷たく扱われて育った。 そんなある日、父が気まぐれに手を出した娼婦が生んだ子供、腹違いの弟<ルーカス>が家にやってくる。 その生まれから弟は自分以上に両親にも使用人達にも冷たく扱われ、グレイは初めて『褒められる』という行為を知る。 それに恐怖を感じつつ、グレイはルーカスに接触を試みるも「金に困った事がないお坊ちゃんが!」と手酷く拒絶されてしまい……。 最初ツンツン、のちヤンデレ執着に変化する美形の弟✕平凡な兄です。兄弟、ヤンデレなので、地雷の方はご注意下さいm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる