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やらかしたアルファのお話し…
06
しおりを挟む「全く、人使いが荒いんだから~いや、この場合だと『鬼』使いになるのかねぇ」
なんて言いながら、俺を車に押し込んだ張本人…。
今まで見た『鬼』より格段に強い『鬼』がヘラヘラと笑っているが…本能的にコイツは危険な『鬼』だと知る…。
「あれぇ?怯えちゃってる?大丈夫だよ。ふふ、今の僕の機嫌はそこまで悪くはないからねぇ。」
そう言ってニンマリと底知れぬ笑みを浮かべている。正直、全く笑えない。そんな俺を乗せた車は緩やかに発進して目的地へと向かっているようだ。
「そうだ。君の事は庇護鬼である白蓮に調べさせたんだ~。ごめ~んね。『鬼』に『神門』の籍を与えられたベータ家系の養子君。生みの親に嬉々として養子に出されたんだって?しかも、その時に養父から生みの親へ相当な額の大金が支払われたみたいだねぇ。その証拠もぜ~んぶ譲渡して貰ったんだよ。強い『鬼』の特権ってヤツ?」
そう言ってあの時の書類をヒラヒラと楽しげに振っている。
「『神門』の所有権は僕の庇護鬼である『白蓮』になっているからね~。ま、悪用はされないから安心して良いよ~。ちなみに白蓮はコイツだから。」
そう言って運転席を指差す。バックミラー越しに目が合った。思っていたよりも強面である。
裏の世界に居そうなオーラを纏っている『鬼』。自然と身体に力が入る。
「あ~。白蓮だ。紹介通り、そこに居る『義輝』という『鬼』の庇護鬼だ。管理が面倒くさいという理由により『神門』を任された。問題を起こさない程度によろしく」
という意外な言葉に目をパチクリさせてしまった。
「いえ…こちらこそ、よろしくお願いします」
半ば呆然としてそう言うと軽く頷いて俺から完全に視線を外した。見てくれはアレだがー…この『義輝』という『鬼』よりヤバくない…そんな気がした…。
そして、その直感は間違ってはいなかったと後々、そう思うのだった…。
☆
放心状態に近い状態で流れ行く景色を見ていると…、とある建物の前で緩やかに車が停車する。
「ついたよ」と義輝という『鬼』の言葉に従って車を降りて、案内されるままに後ろをついて行く…。
そして、連れて来られた一室。中へ入るとベッドの上に気絶をしているのか…寝ているだけなのかは分からないが…目を閉じていても分かるほど可愛らしい容姿のオメガが横たわっていた。
「コレが君と番う『オメガ』だよ。」
そう言ってオメガの少年の首を保護していた首輪を取り外した。
「ごめんねぇ。番うまで部屋から出してあげられないんだ~」
なんて言っているが…全く悪いとは思っていないのだと声のトーンからして丸分かりである。
「軽食と水分は冷蔵庫にあるし、何なら電子レンジもあるから温めてね~。良かったねぇ。全て崇陽の手配だよ。浴室もトイレもあるから問題ないよね~。何かあれば白蓮にお願いしてね。ソコの電話でよろしく。白蓮に繋がるようになってるから~。それじゃ~僕、帰るから~」
そう言って、後ろ手に手を振って部屋を出て行った。しかも、義輝という『鬼』が部屋から出て直ぐに施錠された。音からして間違いないだろう。
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