やらかし夫夫(ふうふ)、番(つがい)になる

スメラギ

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やらかしたアルファのお話し…

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 『神門みかど』の姓になり、呼ばれ慣れた頃…
 ある意味で最悪であり、今後の人生を大きく変える転機が訪れた。

 美帆みほという名の女性のアルファだった。分かっているのは既婚者、という事だけだった。
 当時、会社の関係者の知り合い・・・・という事で会社へ出入りしていた。名乗った姓も『神無月かんなづき』ではなかったし、社長からの紹介もない…会社主催のパーティーにも不参加。
 よって社長夫人の顔は誰も知らなかった。

 他の男性社員と親密そうにしていても社長である『神無月かんなづき 弘樹ひろき』からのお咎めすらなかったからというのも社長夫人と気づかなかったのも理由の1つであった。

 ただ、本当に親密な関係を彼女と築いていた者は彼女の正体を知らされていたのかもしれない。

 その点、俺は簡単に切り捨てられる手駒の1つだったのだろう…。

 藤本ふじもとさんと結翔ゆいとと遊びつつも、埋まらないナニかを抱えながら日々を過ごしていると、彼女から連絡が入った。

 「貴方と同じ境遇・・・・で番の居ない可哀想なオメガを紹介してあげるわ」

 という内容のモノだった。今、思えばあんなに・・・・ピッタリと同じ境遇・・・・のオメガがなんているはずはない。
 アルファと違いオメガの精神力は弱いとされている…。なくしたのが『運命』であったのならば精神に相当なストレスがかかるはず…

 正気でいるのかも怪しいところだ…。

 その時の俺はその『オメガ』を幸せにしてあげないと…という単純な思考に埋め尽くされていた。

 俺の埋まらないナニかを埋める事ができるかもしれない。

 そう思ったのも俺の思考を鈍らせた要因の1つだった。

 が、現場へ行くと直ぐに自分の間違いに気づく事になる…。結果から言うと、そのオメガはめちゃめちゃ愛されていた。

 濃厚なアルファのフェロモンを身に纏い、泣きそうな顔で震えている姿を見て血の気が引いた。

 助けに来た相手を見てこの世の終わりを悟るほどだった。

 騙された。では済まされない事態に頭で考えるよりも先に身体が動き土下座をしていた。
 『つがい』である上に『運命』である『オメガ』に手を出されたアルファの怒りは相当なモノだったはずだ。

 軽傷で済んだのはただ単に運が良かっただけなのか…それとも、『神無月かんなづき 崇陽たかあき』による気紛れな恩情なのかもしれない。

 なにはともあれ、俺はチャンスをいただいた。『神無月かんなづき 崇陽たかあき』…以降は『崇陽たかあき様』と呼ぶ事にする。

 俺の身柄は崇陽たかあき様預かりとなり、職場を退職し、転職する事が決まった。俺の監視ー…というのも目的としてはあるのだろう…。

 さらに、強制的に崇陽たかあき様の逆鱗に触れてしまった『オメガ』を監視という名目で、番う事を条件に無罪放免となった。
 
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